竹の油抜きと晒し


 切り出してきた青竹は、そのままではまだ竹工芸材料にはなりません。魚を入れるビクとか日用品としてのザルなど、いわゆる青竹細工ではそのまま利用しますが、花籠などには油を抜き、日に晒してから材料とします。こうする事で汚れも一緒に取り除き、丈夫で色艶のいい竹材になります。


 ものの本によりますと、油の抜き方に苛性ソーダの溶液を使う方法があるようですが、我々シロウトには化学薬品の扱いとか、そもそも長い竹を丸ごと入れられるだけの釜もありませんので、火に炙って油を抜く方法が最適でしょう。これなら器具やら装備は一切必要ありません。台所のガス台を借り切り、あとはボロ布と根気があれば十分です。家人の非難には堪えなければいけません。“なーんで夕方になるとやりだすのォー、お勝手の邪魔せんといて。”

  切り出した青竹は1、2ヶ月は陰干しして、(後年、切り出してすぐ油抜き作業をしてもいいのかなと?)ある程度水分が抜けたあたりで油抜きの工程に入ります。

  ガスに火をつけ、丸竹のまま炙ります。一点ばかり炙ってはムラになってしまいますのでこまめに竹を回しながら、前後しながら、滲んできた油をボロ布で拭っていきます。特に拭い取った部分とこれからの部分との境目あたりがムラになりやすいので、極力、炙ることと拭き取ることの両方が不連続にならないようにする必要があります。一尋ほどの丸竹1本処理するのでも結構しんどい作業です。

  次の作業は天日干し。天日に晒すことで竹の青みが段々消え、安定した象牙色になっていきますが、この場合もムラにならないようこまめに竹を回転させてやります。2週間くらいで概ね安定した色に落ち着きますが、1ヶ月程干したほうが乾燥していいと思います。これで一連の作業は完了します。
 それでもまだ水分が残っており、保存する間に更に乾燥が進みます。水分がきれいに抜けた竹は、ナタを入れると大変気持ちよく割れます。
 


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