すごく、

単純に、

、だと思った














占主義論














ああ、苛々する。

どうして彼女は、そんなにも他人の為に尽くすのだろうか。

俺のことだけ心配してくれればいいのに。






ソファーに座る彼女の膝の上に頭をのせる。

所謂、膝枕ってやつ。



でも、何故だか膝枕にしては似付かわしくない俺と彼女の表情。





俺は、膨れっ面。

彼女は、困り顔。






「・・そんなの無理に決まってるじゃないの。」

俺の頭をポンと叩いて言う彼女。




困る原因をつくったのは俺。

それは分かってるんだけど。

・・・どうしても嫌なんだ。





「なんで?」

「なんでって・・・だってしょうがないじゃない。」

「しょうがなくない。」






一歩も引かない俺を見て、なお困る彼女。


いつもそうやって俺の事を考えていて。

俺だけを見ててよ。

好きなんだ。

好きで好きで好きで。


このままだと、俺がどうにかなる。








「だって急に・・・“俺以外のやつと話すな”だなんて。」

「だめなの?」

「だめとかじゃなくって。」

「じゃあいいじゃん。」

「よくないっ!!」









単なる俺の理不尽であって、我が侭であって。




正しいのは、彼女。

間違ってるのは、俺。





俺以外の人とは話すな、なんて無理に決まってる。

でも、嫌なんだ。





もっと本音を言ってしまえば。



彼女の口から他の男の名前が出てくるのが。

彼女が誰かと笑って話しているのが。

俺以外の人と時間を過ごしているのが。



全部気に入らない。

それでさえ、俺の心を燻らせるのには十分すぎるほどなんだから。








でも、俺だって正直困ってる。

あんな言葉、口から出るなんて思ってもみなかったから。





------------“俺以外のやつと話すな”





束縛はきらい。

相手の自由を奪ってまで自分の事を思っていて欲しい、だなんて我が侭は押しつけたくない。



でも、今の俺はどうだ。

独占しようとしているじゃないか、彼女を。

あれほどしないようにと心に決めたくせに。













矛盾だらけの、どうしようもない独占主義論。












「じゃあ、せめて。」

今は俺だけを見ていて、と彼女の頭を引き寄せ口付ける。






独占主義論なんて、所詮ただの戯言。


この執拗なまでの独占欲は。

俺を狂わせた君のせいなんだから。





06/8/13

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【嫉妬】をテーマに。

独占欲が強そうですよね、ルイルイは。

でもいいんです。類くんは王子だから何をやっても許されるんです。笑