君と僕の距離の間は

15センチ




近いようで遠い

そんな位置関係
















永遠の15センチ















俺は最近、学校に来るのが好きだ。

別に勉強がしたい、とかいうんじゃない。

ただ、会いたい子がいるから。

そろそろ、来る時間なんだけど...






トテテ トテテ



あ。

来た。







「おっはよー、花沢類。」

非常階段の下から、笑顔でやって来る君。


「おはよ、牧野。」

いつもと同じ、非常階段での日常会話。






「今日も、いい天気だね。」

「うん。」


階段に腰を下ろし、二人で空を見上げる。

俺と牧野の距離は、15センチ。







太陽は、元気よく輝き、透き通った青い青い空は、どこまでも続いていた。

そのまま空と見つめ合いながら、しばらくの沈黙が流れる。

これも今では、当たり前の日常になっている。


でも、嫌な感じの沈黙ではなく、柔らかく温かい感じの沈黙。

この時が、一番落ち着く。



青空の下、ポカポカと気持ちの良い太陽の光を浴びたら、だんだん眠くなるのが俺という人間。

ウトウトと眠りかけている最中だった。








「・・・・・ん?」

ふと、自分の左の肩に重みを感じた。


「・・・・・牧野?」

重みの方に視線をずらすと、そこには俺の肩に頭を乗せ、眠りについている牧野の姿。



小さな子供のようにスヤスヤと眠る牧野を見て、思わず呟いた。

「プッ。いつもは『すぐ寝ちゃうんだから』とか言うくせに、自分の方が早く寝てるじゃん。」





クスッと小さく笑ってから、牧野の頭を撫でてやる。

撫でる度、黒くて艶のある綺麗な髪は、俺の指をすり抜けていく。

いつもは開かれている君の大きな瞳は固く閉じられ、何も映さない。

・・・俺の瞳には、いつも君が映っているのに。







「ねぇ、牧野。もしも・・・・もしも俺が、もっと早く自分の気持ちに気が付いて、
 牧野の手を離さなかったら・・・今、君は俺の傍にいてくれたのかな?」





自分の行動は、間違っていなかったと思う。


でも

後悔していないといえば、嘘になる。


昔も、今も、俺は君だけをの事を・・・・・。









俺は、そっと牧野を抱きしめた。

起こさないように、そっとそっと。


俺と君の距離は、0センチ。

もう間には、何もない。


ずっと俺の傍にいてくれよ。

牧野。














「ん〜・・・・どう・・みょうじ・・・・。」


抱きしめた矢先、君の口から零れた言葉は、俺の胸を貫いた。

それも、ひと突きで息が出来なくなるほど。


俺はこんなに近くにいるのに、こんなにも君は遠い。


俺は、ゆっくりと抱きしめていた牧野の身体を、自分から離した。

俺と牧野の距離は、また15センチ。









「おーい、牧野。」

優しく俺の隣で眠っている君に、声をかける。


「ん・・・・なに?どうかした?」

とろんとした目で俺を見つめる君。


寝ぼけた君は、本当にかわいくて。





どれだけ俺が、君のことを想っているのか知っているのか?

そんな目で見ないでくれ。


自分が抑えられなくなるから。


そんな出かかった言葉をやっとのことで飲み込んだ。






「・・・いつも『すぐ寝ちゃうんだから』って注意する人は、どこの誰だったかなー?」

「た・・・たまたまよ!たまたま!!」

「嘘付け。」




ニヤリと笑い、牧野のおでこにデコピンをした。

「む〜!!嘘じゃないもん!!」









ほっぺを膨らまして怒る君。

そんな君が、愛しいと感じる俺。




毎日喋って、笑って、いつも隣同士の俺と君。


それでも俺と君の距離は、やっぱり15センチ。

縮めても縮めても、縮まることのない永遠の15センチ。





05/4/11


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類くん、つくしに片想い中。しかも、ちょっと失恋入ってたり・・・。


類ファンの方、ゴメンナサイ!!どうか石は投げないでください;痛いから(汗)


いつもラブラブさせているので、たまには類→つくしも良いかとvv

むー・・・今度は、類←つくしもやってみようかなぁ。おもしろそうvv