蛍光灯の光が目に滲みる中


憶えているのは






揺れる漆黒の髪と


大きな瞳と


赤い赤い・・・











    goodbye ネバーランド
                           さ よ な ら ネ バ ー ラ ン ド      
















思考能力停止。





チクタク チクタク

時計の音だけが、静まりかえった部屋の中を散歩する。




ああ。頭上の蛍光灯が眩しい。

おもわず、俺は目を細める。








「眩しい?」

「ああ。」

眩しいのは、まぁいいとして。

とりあえず、君に聞かなくちゃいけないことがある。







「・・・・で、今自分が何をしているのか分かってる?」

「ええ。もちろんよ。」


真顔でさらりと答える君に、俺はただ黙っているしかなくて。






チクタク チクタク

再び静けさを取り戻した部屋の中を、時計の音がまた散歩し始める。










未だに蛍光灯の眩しさに目を細めながら、俺は考えていた。


今日は、日曜日。

今いるのは、俺の部屋。

学校が休みってこともあって、二人で会ってた。







まぁ、そこまでは至って普通。


・・・待て。何かがおかしい。

俺の目線の先にあるのは、眩しい蛍光灯と、君の顔。





「・・・・この状況は何?」

「ただ、したいと思ったからしてるだけです。」



・・・ほう。

そりゃまた、大胆なことで。

君にしちゃあ珍しいじゃないか。





俺をベッドの上に押し倒すなんてさ。





何考えてるか知らないけど、まぁせっかくだから聞いてやるよ。

「それであんたのお望みは?」



「あなたがほしい。」




君の口から出た言葉は、あまりにも唐突で。

「ねぇねぇ、なんでウェンディはネバーランドに残らずに、現実へ戻ったと思う?」

しかも、不思議な質問付き。



「・・・『ウェンディ』?『ネバーランド』?」

質問に対してクエスチョンマークを浮かべていると、ほっぺたを膨らました君にデコピンされた。

「もうっ、ピーターパンの物語のことよ。」







あぁ、あれ。

空を飛ぶ緑のガキに、片手を失くしたマヌケな船長が出てくるあれね。



でもさ、この状況とそれって関係ないんじゃ・・・


そんな俺の心の呟きに構わず、君の口は次々と喋り出す。

「私思うんだ。きっと彼女は、大人になりたかったからよ。」



さぁ、とうとう始まりました。

牧野つくしによる、勝手な解釈話。



「彼女はネバーランドへ行って気づいたのよ、『永遠ってそんなに大切なものなのか』って。」

「へー。」

またいつもの事だ、と聞き流すと軽く頬を抓られた。


「ちょっと真面目に聞いてってば!」





オイオイオイ。

この体勢と状況をつくっておきながら、よくそんなこと言えるな。


仮にも今、君は俺を押し倒しているってことを、お忘れになっていらっしゃるのでは?

俺だって、健全なひとりの男の子なんですけど。

・・・・・・ったく。





全く危機感のない君に、心の中で軽く舌打ちをした。

そろそろ俺、限界。






残っていた一欠片の理性を振り絞る。

「・・・で、結局何が言いたいの?」






「私は、もうウェンディのように大人になることを恐れていないわ。」




ゆっくりと君の顔が近づいてきた。

そして、いつの間にか眩しかったはずの蛍光灯の光が、君の顔で遮られて。


代わりに待ち望んでいた言葉が降ってきた。






「私を大人にして。」






待ってました、と言わんばかりの笑顔で俺は答えてやった。

「了解。」


















蛍光灯の光が目に滲みる中

憶えているのは





揺れる漆黒の髪と

大きな瞳と

赤い赤い・・・





         君の唇










05/7/1


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ハイ、今ココ笑うところですよー。←冷や汗ダラダラ;

「何書いてんのコイツ」とゲラゲラ笑い飛ばしてやってください。

それにしても・・・強気なつくしちゃんにバンザイvv


ネバーランド・・・・・ちょっと行きたいかもー。

あ、そういやまだピーターパン2見てないや。

今度レンタル屋で借りこよっかな。(独り言でかい)