返詩31



あたしは忘れ物


存在すら忘れられているというのに
今あたしはここで


呼吸をし
涙を流し
血を滴らせている


こんなことってないわ


誰にも思い出してもらえずに存在することが
どれだけ辛く悲しいか


でもそれが
忘れ物の運命だということを
あたしも心のどこかでわかってる


そんなあたしは
やっぱりワスレモノ




実に不思議である



ここで
自分が
音楽を造っている


音楽は素直だ
話しかければちゃんと応えてくれる
マリンバも素直だ
笑いかければ笑い返してくれる


弾けるような音
心に沁みる音
自分だけにしか出せない音


今日もマリンバと共に過ごす
おはよう こんにちは おやすみ




いつまでも少女だと思っているでしょ?
違うのよ ホントは


あなたが好きだって気持ち
バレないようにしてるだけ


近すぎず遠すぎず居心地が良い位置
でもどこか切ない位置


大丈夫
好きにならないよ
困らせたりしないから


あなたとの別れが来るその日まで
傍にいさせてほしいの




これ以上私の心をかき乱さないで
早く私の中から消えて
息が出来ないの


私のことなんて何とも思っていないくせに
笑いかけて 優しくして
もう迷惑なのよ


貴方のその優しさが
どれだけ私を苦しめてるか知らないでしょう?


心のどこかで期待して
また絶望を感じる


苦しいの
苦しいのよ


貴方なんて だいっきらい


でも
そう言えない私も だいっきらい




「笑ってよ、泣かないでよ。」
君はいつもそう言って僕に笑いかけたね


君と過ごした時間は
長いようで短かった


本当に幸せだった
このまま時が止まってしまえばいいのに
そう思ったこともあった


君は居なくなってしまったけれど
君との思い出は無くならないから
鮮やかに僕の中で今も生き続けているから


今日も僕は写真の中の君に
空の向こうにいる君に
笑いかける


「僕は今も笑っているよ」