もくもくもく

空に立ち上ってゆく煙

空気と混じり消えてゆく様子は とても神秘的



けれど 素敵だと思ったら大間違い

それを吸ってしまえば最後なの



けほけほけほ

息も出来なくなってしまう


















NOT SMOKING?


















「おはよ、牧野。」

「おは・・・。」




何かに違和感を感じた。

よく駅の雑踏の中などで嗅いだことのある匂い。

でもここは学校の非常階段。

そんなはず・・・。





ちらりと彼の方を見る。

ああ、なんてこと。





彼の右手の人差し指と中指の間に軽く挟まれた、細い筒。

彼の頭上を曇らせている白く透き通るような煙。

まるで映画のワンシーンのように綺麗な彼。

・・・・いや、最後のは私の感想だけれど。





「ちょっと、花沢る...」

びゅう、と私がいる方向に風が吹き、運悪く煙を吸う羽目になった。

口から入り込んだ煙は私の身体を犯してゆく。



「けほこほ。」

何よりこの咽せるような独特の香りが苦手だった。

肺に入った煙にまだ違和感を感じつつ。

にっこりと笑顔でいる彼に問いつめた。





「・・・それは何ですか。」

「煙草。」

「・・・どうして吸っているのですか。」

「なんとなく。」



なんとなくって。

ああ、そうね。

彼はいつでも自由な人だった。





ふぅ、と溜め息をつく私を見て、彼は首を傾げた。

それはそれは可愛らしく。




「牧野は煙草キライ?」

「はい。大キライです。」

「ふーん。」



ほんとに聞いただけ、というような感じで未だ彼は吸い続ける。

もくもくもく。

彼の口から煙が吐き出される。

そんな彼の行動を見て、溜め息混じりに私は呟いた。




「あのね、ご存じだとは思いますが【煙草は20歳から】って決められてますよ。」

「そんな話もあったかもねー。」

空を見上げながら、煙をぽかりと浮かべる彼。




あったかもねーって。

いい加減なんだから、もう。





それに煙草なんて。

「大体美味しくないでしょ?煙なんだもの。」

「そんなことないよ。なんなら試してみる?」

え?、と言うよりも早く。



























苦くて、もやもやとして、変な感じ。

でもね、なんだか・・・。





「ほら。美味しかったでしょ?」

ニヤリと笑う彼の思うつぼで悔しいのだけれど。

不覚にも彼の唇から入り込んだ煙が甘く感じたのです。





06/5/6


・・・・・・・・・・・

未成年なのに煙草吸わせてしまいました。どうか見逃してあげてください。深々))


私は煙草を吸う人は基本好きではないのですが、どうしても類くんに吸わせてみたかった・・・!!

そして、煙草を片手にちょっとイジワルな類くんを書いてみたかった・・・!!

それでもって煙草吸ったままチューさせてみたかった・・・!!


煙草は20歳からです。よい子もわるい子も20歳までは吸わないようにネッ。