エフロレッセンス(白華)

  

【原因】
原因には大別して次の3点があげられる。
@セメントモルタルやコンクリートの結合水以外の余剰水が乾燥するにつれて表面に溶けやすい物質を含んだままでにじみ出てくるため。
Aセメントモルタルやコンクリート自体は気乾状態に落ち着いていたがほかの部分から水が侵入して可溶成分を溶かし
  ひび割れなどから表面に出てきて乾燥し折出したため。
Bセメントモルタルやコンクリートの表面が外気温の低下によって結露を生じその結露水を吸収してそれが可溶成分を溶かし
  ひび割れなどから表面に出てきて乾燥し折出したため。

【可溶成分】
可溶成分はセメント中の水酸化石灰・苦土・石灰の硫酸塩や硫化物などである。
したがってエフロレッセンスの中には硫酸ソーダ・硫酸カリ・炭酸ソーダ・硫酸石灰・重炭酸ソーダ・炭酸石灰・珪酸ソーダ・硫酸マグネシウムなどが
検出されるがパナジウムやクロム・モリブデンの塩類も含まれているとの報告もある。
またセメントモルタルに発生したエフロレッセンスには炭酸カルシウムや炭酸ソーダが多く含まれてるし
れんがから発生したエフロレッセンスには硫酸ソーダや硫酸カリなどが多いという。
炭酸カルシウムはセメントが水で硬化するときに生ずる水酸化カルシウムが供給源であるが
これは鍾乳洞の天井から垂れ下がっている鍾乳石と同質のものである。

【危険なエフロレッセンス】
最も危険なエフロレッセンスは原因Aに基づくものである。
これは雨水などがひび割れや笠木の割れ部分などからコンクリート壁体に侵入してそれが表面に出てきたことを示すもので
いずれタイルの剥落や鉄筋の腐食膨張を生ずる原因となるものである。
雨水の浸入しやすい部分としては屋上の笠木とその周辺・外部開口部まわりや外部へ突出している庇部分・外壁の出隅・入隅部分などがあげられる。

【処理・対策】
外壁などに生じたエフロレッセンスはブラシなどで除去できるが
壁体内に水分が侵入すれば再び発生するので
根本的な対策としては雨水の浸入部分を発見して改修を行い雨水の連続した供給を絶つことである。
夏期は気温が高いので壁体内に侵入した雨水や使用水は壁体内で蒸発してしまい外に流出してこないので白華にならない場合が多いが
見えないだけで壁体内にはエフロレッセンスができている。
したがって冬期になると壁体にエフロレッセンスが生じやすく夏は生じにくいことがあるので発生しなくなった場合でも安心できない。
通年で現象を観測する必要がある。
撥水剤や防水剤を外壁に塗布する効果は期待できない。
また塩酸などで洗い流せば一応は落ちるが再発することが多く塩酸などで鉄部の発錆があるので実施は見合わせたい。

【豆知識】
門塀などから出ている少量のエフロなどは
わざわざ業務用の洗剤を購入しなくてもトイレ用の洗剤『サンポール』又は同等品で十分落とせます。

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