お酒情報

第15話 日本のクラフトジン

 数年前から、海外から輸入されたクラフトジンが見受けられるようになり、今年に入って静かなブームとなりつつあります。近年になり、ボタニカルという言葉を耳にすると思いますが、植物の風味で味、香り付けされたお酒なのです。
 「クラフトジンって何?」と思う方も多いので、簡単に説明すると、少量生産かつ、こだわりを持って造られたお酒で、地ビール(クラフトビール)を想像していただけると、雰囲気がつかめると思います。
 通常のジンは、大量生産が可能な連続式蒸留器で造られるのですが、クラフトジンは、手間のかかる単式蒸留器が使われます。つまりウイスキーのシングルモルトの蒸留の仕方と同じということです。単式蒸留のメリットは、素材の味や風味が損なわれず製造ができるという部分です。
 クラフトジンには、基本となるアルコールにする穀物類に定義などありません。生産するにあたり、地元の特色を出して造れたりしています。
 そんな中、日本初となるクラフトジン専用の蒸留所が、2016年に京都で誕生しました。社名はストレートに「京都蒸留所」となっております。その蒸留所から送り出されたクラフトジンの名前は、「季の美 KINOBI」といいます。
 お米から造られた蒸留酒と京都伏見の名水がベースとなり、ジンには必須のジュニパーベリーが入り、京都の玉露、柚子(ユズ)、檜(ヒノキ)、山椒(サンショウ)、レモンピール、生姜(ショウガ)など、11種類の香味で仕上げられています。
 アルコール度数は45度ですが、喉に引っかかる感じもなく、米特有の柔らかな飲み口と甘味を感じ、絶妙なバランスの香りが、心地よい余韻で残ります。
 


 宮下酒造からも、クラフトジン岡山というお酒が販売されております。こちらも単式蒸留器で米から造るスピリッツをベースに11種類の香味植物をフレーバードし、さらに、国内初となる、樫(カシ)の空き樽に入れて熟成させて造っており、黄金色をしたクラフトジンを販売しております。この他にも、鹿児島県マルス津貫蒸留所「Japanese GIN 和美人」、サントリー「ROKUー六ー」、和歌山県中野BC株式会社「槙 KOZUE」、宮城県焼酎蔵京屋酒造「油津吟 YUZUGIN」、茨城県明利酒類「プレミアムクラフト和GIN」と続々と販売されています。海外では、クラフトジン愛好家の協会などもあり、今後、伸びてきそうなお酒の世界を、早めにたしなんでみてはいかがでしょうか。(参考:岐阜新聞電子版)