お酒情報


第9話

地ビール「木曽路ビール」 



 地ビールは、各地に続々と誕生し、今や240事業(252ブルーワリー)となっているということです。酒に目がない私のことですから、訪れる先々で地ビールを目にすれば、すかさず飲んでいます。2月10日(土)、昼神温泉に行った帰り、南木曽温泉郷「ホテル木曽路」を訪れたところ、地ビール「木曽路ビール」があると言うことなので、早速賞味し、お土産としても買い込みました。その時、1,000円お買い上げ毎にくじが引けるということなので息子が引いてみると、なんと、特賞「1年間無料入浴券」が当たってしまいました。といってもそう何回も来れるわけはありません。なにか別の物と交換できませんかと聞いたところ、地ビール1ケースを頂けることとなりました。私達は帰り道、別の物に当たらないよう気を付けながら、ほくほく顔で帰路に着きました。

 なお、木曽路ビールでは、発泡酒「初恋エール」、ピルスナー、ペールエール、アルト、ポーターの5種類のビールが楽しめます。おいしい地ビール醸造に欠かせないのが水です。木曽路ビールは森林の澄んだ空気の中、日本有数の名水域である南木曽岳の清らかな水を使用。その水と厳選された原材料(麦芽・ホップ)を使用し、こだわりをもって醸造しています。立ち寄られた際は、是非一度お味わい下さい。

       

         <地ビールについて> 

 94年酒造法の改正により規制が緩和され製造免許に必要な最低酒造量が2000キロリットルから60キロリットルに引き下げられて、小口の投資でもビール醸造が可能になり、各地に地ビールの醸造所(マイクロブルワリー)と併設直営のブルーパブ&レストランが誕生している。

 一般に、ビール醸造は麦芽を粉砕して湯に溶かし、麦芽に含まれる糖化酵素により大麦(澱粉)を糖化させ、ホップを加えて煮沸した麦汁に酵母を加えて 糖分をアルコールと炭酸ガスに分解させることにより製造される。ビールを飲んだとき感ずる苦味はホップから出ている。またホップは香り付けや防腐剤としての役割を持つ ビール製造になくてはならない植物である。

 ビールの味や風味は異なる麦芽を組み合わせることにより個性が生まれてくる。地ビールは市販のピルスナータイプ(ラガービール)と異なり 低温発酵で熱処理していないのが特徴である。目の粗いフィルターで濾過しているので酵母が生きたまま入っている。酵母にはビタミン・ミネラル・植物繊維が豊富に含まれているので健康によい。ただ光が当たったり、高温の場所では、品質が劣化しやすい 。その点、醸造所併設のブルーパブで飲むビールは出来立ての最高の味が楽しめる訳である。

 ビールは日本の酒税法上では、原料中の麦芽は重量の三分の二以上、そのほかの原料はホップと定められた澱粉質のみと定められている。麦芽が三分の二以下だったり フルーツなどが加えられていると発泡酒といい区別しているが地ビールには、発泡酒も含まれる。またビールは、原料は麦芽であるが小麦・トウモロコシ・米など副原料を使って発酵させることもできる。

         <ビールの種類>

 ビールのタイプは、上面発酵(エール)・下面発酵(ラガー)・自然発酵の三種類の醸造法によって大別され、更に麦汁濃度・ホップの量などの違いから更に細かく分類される。

■上面発酵(エール):発酵中に酵母が上に浮上するのでこの名前がある。20〜25度の常温で発酵させるのが特徴 。冷やすことなく飲める。地ビールは殆どがこのタイプ。外国では2000年以上の歴史を持ち、イギリスでは今でも盛んに行われている。常温短期間の貯蔵が特徴。

・ベルエール :英国のビールの名醸地バートン・アポン・トレントで誕生したエールの代表酒。19世紀後半インドまでの航海に耐えるよう高濃度でホップの添加量の多いビールが開発され、それを国内向けに作ったビール。

・ピターエール:ベールエールの樽詰め生ビール(加熱処理しないビール)。英国のもっともポピュラーなビール 。色は薄いブラウン・甘みが少ないがフルーティー。ベルエールより麦汁濃度がやや低く、よりホップをきかせたドライな味。

・ポーター  :約300年前ベルエールと新旧ブラウンエールの三種をブレンドして新品種を生み出した。ロースト麦芽による香ばしい風味と苦味が特徴の黒ビール。

・スタウト  :ギネス社がポーターの製造法を改良しより黒く、よりホップのきいた、芳醇でより麦芽濃度の高いビールを開発 。高濃度のストロングスタウト・甘みのあるスイートスタウト・広く愛飲さえるドライスタウトの三種ある。

・ケルシュ  :ドイツのケルンの上面発酵ビール。適温は13度位で、冷やしすぎると口当たりが堅くなりおいしくない。

・アルト   :ドイツのデュッセルドルフで醸造されるビール。ドイツ語でアルトは古いの意味。12〜13世紀の英国の古い醸造法によって北ドイツで作られた本格的エールが前身 。美しい赤紫褐色・きめ細かい白い泡・麦汁濃度はは12%と低めだが、上面発酵酵母特有の上品な香り・しっかりした苦味のあるビール。

・ヴァイツェン:ヴァイチェン酵母で発酵させたドイツの伝統的小麦ビール。ホップ風味は弱いが小麦独特の風味と酸味があり飲みやすい。また泡立ち・泡持ちが良いのが特徴で、細いグラスに注ぐと泡の美しさがいっそう引き立つ。好みでレモンを搾って入れるとより爽快な喉越しを楽しめる。

■下面発酵(ラガー):8〜12度の低温で緩やかに発酵させた後、酵母は樽の底に沈んでいくのでこの名前がある。 日本で一番よく見られるナショナルブランドの主銘柄はこのタイプ。ラガーと呼ばれピルスナーが代表格。19世紀デンマークのある研究所でビールから純粋分離した酵母が作られた下面発酵酵母が使われる 低温長期保存はきく。よく冷やして飲むと旨い。

・ラガー   :ラガーはドイツ語で貯蔵の意味。発祥地は19世紀のドイツ 。夏の暑い大陸性気候を避け、冬季にビールを低温で発酵させた後樽詰めして地下室で貯蔵したのがはじまり 。品質の良さが広く知れ渡り19世紀にはいって英国ビールを凌ぐ人気をはくした。日本でキリン始めポピュラーなビール。

・ピルスナー :チェコのビルゼンの醸造家たちが始めてミュンヘンから職人を招いてビールをはじめて作ったのが始まり 。ピルスナー酵母のほかクリスタル酵母もブレンドしたビールで、カルメラ香のある強い麦芽風味が特徴。

・ヘルス   :ミュンヘンで作られる黄金色の下面発酵ビール。ピルスナービールのバイブルピルスの弟分として開発された 。ピルスに比し麦汁濃度や苦味が低いが麦芽風味が全面に出ていて、喉越しが柔らかい。日本人好みのビール。

・デュンケル :下面発酵タイプのダークな褐色のビール。ドイツの呼称。色は焦がした大麦や麦芽から出ているもので、カルメラやチョコレートを思わせる独特の風味がある。

・ボック   :16世紀ミュンヘンに作られた宮廷醸造所で作られたアインペックが後世になまった 。麦芽風味が強く、ホップの苦味も強い典型的古典高級ビール。

■自然発酵:培養した酵母を使わず、空気中にある野生酵母で発酵させること。古代メソポタミアやエジプトではこの方法で醸造した 。今では数少ない。代表格がベルギーのランピック。

・ランピック :生の小麦を30%使い、オーク樽で発酵。味は辛く酸っぱいが、若いビールとブレンドさせるとマイルドになりフルーティーな香りが出てくる 。このグーズランピックは、味噌や醤油を思わせる乳酸フレーバーが特徴で、果汁や砂糖を混ぜて飲んだり自由スタイルで飲む。