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第15話 映画「アンブレイカブル」

 昨年度のアカデミー賞で6部門にノミネートされ、全米ボックスオフィスでは「スター・ウォーズ エピソード1」に継いで昨年の年間2位のヒットを記録した「シックス・センス」を監督・脚本したM・ナイト・シャマランの最新作といえばいやがうえにも期待は高まる。

 題名「アンブレイカブル」とは、「壊すことのできない男」つまり「不死身の男」といった意味である。物語は、大惨事となった列車事故から幕を開ける。乗員乗客131人が死亡する中、たった一人だけ生き残った男、デビット(ブルース・ウィルス)。彼はこの事故でかすり傷ひとつ負っていなかった。「なぜ、俺だけが?」。デビット自身、この生還が不思議でならない。一方で、難病を持って生まれ、人生の中で何度も骨折を繰り返す男、イライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)が登場する。イライジャはデビットに接近し、「今までの人生で、病気になった日数は?」と尋ねる。デビットはこの男を変人扱いするが、自分の過去の病歴を調べ、愕然とする。「俺は過去、一度も病気にかかったことがない・・・・」。

 「シックス・センス」と同じように、人間の特異な能力を題材に、意外な設定の中、ストーリーは展開していく。それは少し退屈さをともない、私達でも考えうる結末で終わるのかと思っていると、あっと驚くラストが用意されている。よくある宣伝文句だが「あなたは、この結末を誰にも話しては行けない。」

<M・ナイト・シャマラン>1970年、インドのマドラスに生まれたシャマランは、幼い頃アメリカに渡り、フィラデルフィアで育った。8歳で映画製作に手を染め、16歳までに45本の短編を撮っていたというから、世界一の映画大国インドの血筋に偽りはない。医師の両親の間に生まれ、医学部に進学するための奨学金にも合格していたが、17歳にして映画作りの道を選び、ニューヨーク大学のアートスクールへと進む。92年には故郷インドでロケを行った処女長編「Playing With Anger」を発表し、アメリカ・フィルム・インスティテュートで最優秀新人賞を受賞。97年、2本目の長編「翼のない天使」の編集中に書いた脚本は、激しい争奪戦の末ブエナビスタ(ディズニーの実写部門)に300万ドル(約3億円)で落札される。これが、後に自らが監督した「シックス・センス」だ。同作は全米で2億9300万ドル(約315億円)という興行収入をあげ、ディズニーは今回の「アンブレイカブル」で脚本に500万ドル、監督料として500万ドルをシャマランに支払うことになったのだ。「インディ・ジョーンズ4」の脚本への参加も決定しており、今後が本当に楽しみな30歳である。(2001/3/13)