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第26話 映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」

       

 10代の幼い詐欺師が、わずか数年で400万ドルを荒稼ぎ。世界26カ国をまたにかけ、飛んだ距離は320万キロ! 1960年代、世界中を騒がせた実在の詐欺師にレオナルド・ディカプリオ、それを追う執念の捜査官にトム・ハンクス、二人を相手にメガホンを取るのがスティーブン・スピルバーグとくれば、まさに"血統書"つきのエンターテイメントに違いない。犯罪史上例を見ない大胆な小切手偽造事件を、ハリウッド最強のトリオが、豪華でハイセンスなクライム・チェイスに仕立て上げた。  

 よくできた娯楽映画である。映画の基本がすべて詰まっているような感じだ。追いつ追われつ。追われるほうは、知性を備えたハンサムボーイ。追うほうは、ちょっとドジだが憎めない中年男。そして、主人公が演じるのは、パイロット・医師・弁護士という万人の憧れの職業で、観客の夢を叶えてくれる。いつしか主人公は、追われることに快感、さらには生きがいを見出していく。ついには、主人公の中で、トム・ハンクス演じるFBI捜査官が、身内、父のような存在になっていく。日頃は華やかな生活を送っているのに、クリスマスイブには一人寂しく捜査官に電話するところによく表れている。最後はほっとさせてくれる、とびきりゴージャスな人情ドラマだ。

      

<スタッフ>
監督・製作/スティーブン・スピルバーグ
製作/ウォルター・F・パークス
脚本/ジェフ・ネイサンソン
    音楽/ジョン・ウィリアムス
<キャスト>
フランクjr/レオナルド・ディカプリオ
カール/トム・ハンクス
フランク/クリストファー・ウォーケン
ロジャー/マーティン・シーン
    ポーラ/ナタリー・バイ
    ブレンダ/エイミー・アダムス