理由なんて、本当のところ‥分らない
気付いた時はもう3人で、両手は其々の手に繋がっていた

『エドと一緒にあたしのフォローをしてくれてたんだよねぇ、年下の癖にさ、、、』
好きにならずにはいられないじゃない!?
なのに

「アルはいつもエドの幸せを考えてる。」
さすがに年頃になって、部屋に行くわけにもいかず
「僕は!」
アルを工房に呼んだ
「エドだけじゃない。あたしの幸せも願ってくれてる。」
「僕は‥」
ドアの側に立つアルを、少し距離を置いて正面から、見る。見つめ、る
「なのに、どうして?どうしてそこに、アルの幸せは無いの?」
「僕‥は‥」
あ〜年頃だからこそ、いっそ部屋に行った方が良かったかしら?
「じゃあお約束どおり、あたしとエドが結婚して‥そうしたらアルはどうするの?」
「僕は、、、」
「さっきから”僕は”しか言ってない!」
「ごめ‥」
本題に入る前に念の為確認
「好きな娘でもいるの?」
仮にいたからって、、、後戻りする気は無い
「え?‥‥!」
アルは目をパチクリさせると、ブンブンと首を振った。
「じゃあ、あたしは好き?」
今度は縦にブンブン頷く。
脳震盪起こしちゃうわよ、アル!?
「なら、キスして?」
「え?」
少しずつ間合いを詰めていたのに気付いてなかったのね
キス、しよ!?」
「ええっ?」
キス、させて?」
ウィ、ウィ、ウィ‥
アルが逃げる前にドアノブに手をかけると、アルは屈みながらあたしの背後へ回った
「‥‥‥」
「‥‥‥?」
腰に手を当て大きく溜息をついてみせる
「何でダメなの?」
「ウィンリィ、、、その、、、」
「エドのものだから?」
アルはそれには瞬時に首を振った。
「ウィンリィは”もの”じゃない。」
あたしじゃなくて、アルがって事なんだけど‥まぁいいわ
言葉を探してアルが俯くと、耳が赤いのが見えた
『くぅ〜、かわい〜!卑怯よ、アル』

「兄さんもウィンリィも‥その、なんていうか、僕にはとても、まぶしくて、、、」
「あたしは別に神じゃないわ。普通の人間よ!?ほら」
アルの手を取って胸に当てる
谷間ができるブラにしといて正解だったわ

ビクッとしたアルは思い切り手を引いて、反動で尻餅をついた。
「それって失礼じゃない!?」
「ご、ごめ、、、」
耳だけじゃなく、今は首まで赤くなってるアルにほくそ笑んでしまうのを悟られないよう息をつくと、あたしは首を振った
「あたしはアルが好きなの。キスしたいし手も握りたい。できれば結婚したいぐらい」
「‥‥?」
「急じゃないのよ。ずっとそぅ思ってた。ずっと一緒にいたいって、ずっと一緒にいれたらいいな〜って」
ウィンリィ、、、、
『きれい‥』
肌から透いて見える、生きている、そう、ひとの証の血潮で奇麗な赤に染まったアルへと、あたしは屈んで口唇を‥

重みに耐え切れず、大きく軋むとドアが外れ、立ち聞きしていた男どもが工房になだれ込んできた。派手な音に苦労して作り出した雰囲気を粉砕され、ウィンリィはこめかみを引き攣らせて振り返る。
「押すなって言っただろう。」
「大将を押さえつけておくのはタイヘンなンすよ!?」
「や、我々に構わず続きを」
どうやら応援している様子で、さらに邪魔者を押さえつけてくれてる軍人を、ウィンリィは人睨みしたが、せっかくのチャンスと思い直し、ウィンリィはアルへと向き直った。
「?」
口唇を寄せるにも、無粋な輩にもアルの反応が無い事に、ウィンリィはやっと気付いた。
「‥‥‥アル?」
「失神してますね。」
「興奮と言うより緊張のあまり、って感じだな。」
「へっ、ウィンリィ相手で興奮なんかするか。アルは‥」
まだ立ち上がってなかった野郎どもに、ウィンリィからスパナの雨がもたらされる。
その悲鳴にも、アルは身動きひとつしない、無心の中で。
アル〜ぅ、、、、

ウィンリィxアルの道のりは遠い。

アルとあたしと、ときどきエド

ずいぶん前に書いたものなので、既にupしてるかも定かではな‥(酷 ^^;)。
押せ押せなウィンリィやエドの片思いで実は両思いな話は、どうやら好きなようです。2008/6/15