アスランに返して欲しいと送られてきた指輪は、一大波紋を投じた。

「‥アスランって、そう言えばそう言う人でしたのね。」
ラスクの言った意味が分らず、マリューは困り顔でバルトフェルドを見た。
プラント脱出からこちら、歌姫を護ってきた男は仕方ないと頭を掻いた。
「あ〜つまりなんだ。アスランは押しが弱くて、カガリの事をまるでガラス細工のように扱ってるんだが、そのくせ受けた教育のせいか、恋愛の手順は踏んでるって‥とこかな。」
さすがはバルトフェルト。女の子の思考回路にも詳しいようだ。
アークエンジェルのクルー達は尊敬の眼差しをバルトフェルトに向けた。
「手順を踏んでいるのでしたら、その間はある意味安心と言うのでしょうか、問題無いですわ。」
ラクスの呟きにキラが眉を上げる。
「問題大有りだよ!指輪って、サイズがあるでしょ。どうやって知ったのか‥」
「そりゃアレだろ。手ぇ握るってヤツ!?」
笑って言ったバルトフェルトだが、ラクス周辺の体感温度は下がり、反対にキラの周囲では上がった。
「まさかもう、取り返しのつかないトコロまで?」
「取り返しのつかないトコロって‥」
手をわなわなと震わせるキラに、マリューは苦笑する。
「でもっ。だってそうでしょ!?カガリの気持ちが決まっちゃったら‥」
「ああ。なるほど感情的な方面で、と言う事ね。」
納得するマリューに今度はバルトフェルトが何の話という視線を送る。
「見掛けに寄らず手が早いって事」
誰がとは言わなかったが、バルトフェルトは正確に捉えたようだった。キラに視線を移すと
「実質面は問わないって事か‥。ドライというか、最近の子供はサバけてるねぇ。」
大人が何やら納得したようだが、ラクスはそうはいかない。
「ところでキラ。貴方はアスランがカガリさんに指輪を送った事を知っていたのですね!?」
疑問ではなく断定。
「知っていたというか、その‥」
「どうして阻止しなかったのですか?」
「阻止って‥別に結婚するわけじゃないし‥」
言った本人のキラも、ラクスも動きが止まる。
「結婚」
「結婚!?」
二人の発した言葉に、マリューとバルトフェルトはガバッと振り返った。
「おいおい、お前さん達。ヤボはいけないぞ!?」
「ヤボじゃありませんよ。救出です!」
「救出って‥」
マリューとバルトフェルトが顔を見合わせているうちに、フリーダムのスタンバイが整う。

かくして、卒業も顔負けに花嫁は奪還された。

草子(DESTINY14話;昨日への出航)

7月竜

本編を見ていない為、頭の中で繰広げられる夢話の方がコレよりいっちゃってます(笑) 2005/4/11