2008/10/5のも〜めんと アスカガ夢、少女マンガ仕立て
7月竜はよく夢を見ます。これもそんなもの。ナノで設定に無理があり、結が無いのはご容赦で(笑)

人類の未来をかけた、仮称ディスティニー・新世界戦争の傷跡が癒える頃、、カガリは戦闘によるオーブ五大氏族の家系の途絶などが出た事を理由に、一般国民にも国政選挙権を与える改革をした後、責任を取る形でオーブ連合首長国の代表の座を退いた。
しかし国民の、カガリへの支持は強く、内閣閣僚として政治参加する為にカガリは、政治経済の勉強の側ら、閣僚としての公務、というより雑務をこなしていた。
そのカガリに自称、特殊工作部隊タークスを名乗る男衆は耳打ちすると、一歩離れて跪いた。
「アスランが?」
「時間がありません。」
サングラス越しに頷く男の目に、カガリは視線を巡らせた。
今の自分を考える
 私は‥政治的には責任はない立場だ 雑務はあるが‥引継ぎもそれを託せる人材もある
 私がいなくても きっと ‥ううん、絶対、オーブは歩み続ける!

カガリは顔を引き締め頷くと、抱えていた書類をタークスのひとり、スキンヘッドに渡し、リーダーを見据えた。
「お前達の事だ。抜かりは無いんだろう。」
「ご用意できてます。」

いきなり身柄を拘束されると、アスランは営倉へと連れ込まれた。
「どういう事だ?」
無言の黒服達は、一気にアスランを微妙なセーラー少女状態にした。
「なっ、何だコレは!?」
「色的にアミちゃんだぞ、と。」
「はぁ?」
そこへ硬いが軽い足音が近付いてきた。
「?、!」
しゃがみ込んで覗き込んだキラは、すぐと立ち上がってアスランを見下ろした。
『キラ、お前か‥この格好は、、、、なんて言う気だ?なんて格好してるんだい?≠サれとも似合ってるじゃないか≠ゥ‥、どっちにしても、身動きできないこの状態では‥』
アスランは、後ろ手に縛られ寝転ばされたまま、それでも首だけ上げてキラを睨んた。
「アスランちゃん!?」
嫌味な苦普通に、むしろ可愛くキラはアスランを評した。笑みも無く、真面目な顔をして。
『そう来るか〜?』
アスランが叫びだす前に、タークスはアスランを引き摺って行った。
「‥、元気で‥」
「カガリ様、、」
「行こう、時間は無いのだろう。それと、私はキラだ。カガリじゃない。」
男が頷くと黒い髪が揺れた。
「では、自称はぼく≠ナお願いします。」
男の軽口に、カガリはやっと本気で笑った。

「カガリが?」
勢いよく立ち上がったキラに、イスどころかテーブルまでひっくり返った。
「どうやらアスランの為のようです。」
ヒルダが理解できないと首を振る下で、ヘルベルトとマーズが慌ててイスやテーブルを戻した。
「悪いけど」
「ラクス様のご命令で、用意は整っています。」
「ありがと。」
キラはキーを受け取ると、減るベルトが戻したテーブルを乗り越えて、駆け出した。
『カガリを助けなきゃ。カガリを!』
キラは身動きしやすいコアスプレンダーに乗り込むと、エンジンをかけた。
「カガリ、待ってて!」
青い空へ、コアスプレンダーは溶け込んで行った。
どうしたらこんな人達がこんなトコで?‥ハウルとギアスとFF7が融合してラプトルの散歩道に現れたような夢で。
つまるところ、カガリがアスランの為にキラの扮装していて、キラはカガリを、もう急いで探しに(助けに)行くという、そこは美味しい夢なのでした




2008/08/9のも〜めんと こーどぎあす

「カガリ、カガリ、カガリ〜」
呼ぶ声にカガリはひとつ息をつくと、手にしていた特製のペンを置いた。それは父・ウズミの使っていたもので、カガリは公務にのみソレを使っている。気を引き締める為に。
「で、キラは何を私に見せたいんだ?」
カガリよりも重い溜息をついて机上の書類を片付けたアスランに、カガリは”お前なら知っているんだろう”とアスランに視線を向けた。
「何で俺に聞く?」
いつもは寄り付きもしない(それはカガリの為にであるが)キラが、やって来るなり陣取った書斎続きのリビング。半開きの扉を少しムスっとしながらアスランは見た。
「知らないのか?」
「見せたいドラマがあるそうだ。」
「やっぱり知ってるんじゃないか。」
「キラが昨日カガリが忙しいかどうか確認してきたからだ。いつも知ってるわけじゃない。」
「そりゃそうだろうな。私だってお前の全てを知ってるわけじゃないからな。」
さらりと答えたカガリに、アスランは遅れて赤面した。
「”そりゃそうだろうな。首長の私だって秘書官であるお前の全てを知ってるわけじゃないからな。”が正しい意味だと思いますわ。」
「いっ、、、ラクス、、、っ」
「意味を取り違える以前に、カガリは全然意識しずに質問して答えたみたいだね。」
「キラッ、、、お前リビングに、、、、いやそうじゃなくて、、、どうでもいいだろッ俺の事はッ」
「幼馴染だから言ったんだけど、確かに関係ないかもね。それに僕は今日は別の用事で着たわけだし」
キラはそう言うと、リビングに戻ってテレビの前でカガリを手招きした。
「あ、、、すまん、キラ。その、、、」
キラの背後で頭を下げたアスランに、
「ほら、カガリもアスランも見なよ。コードギアスって言うんだけど、この兄妹はふたりだけで互いを思いあって生きてるんだ。」
「そうなのか?」
「いや‥俺も見た事はあるが‥シスコンの主人公と八方美人で直線的な親友のすれ違う生き様を描いた話だと思ったんだが‥」
「それ、喧嘩売ってるよ‥!?」
「まぁ、アスランの説明だとまるでキラとアスランのようですわね。」
ニッコリ笑ったラクスをふたりはガバッと見、素早く顔を背けた。
「「絶対違う」」
「あら小さいお声、何かおっしゃいまして?」
一瞬怯んだものの、わざわざここまで来たと奮い立ち。キラは顔を上げた。そこへ画面から声が流れる。
《お兄様》
《ナナリー》
「ほら、カガリ。兄妹で助け合って一緒に生きてくんだ。似てると思わない?僕達に。」
「ソレが言いたくてお前、”近寄れない”とか言っているここへわざわざ来たのか?だったら普段から来いよ。」
ガクっと力の抜けたアスランに
「人目を忍んでも伝えたかったんだよ!」
「あのな〜、、、カガリ、何とか言ってくれ。」
「よく分らないが、違うところがあるぞ。」
「え?」
まさかカガリに否定されるとは思わなくて、キラは情けない顔を向ける。
「だって私は姉だからな。」
「そこをツッコむ!?」
一緒とか お互いを思い合ってるとか 助け合ってるとか 相手の為に生きてるとか
声にならない言葉がキラの周りをぐるぐる回っているのが見て取れて、アスランは憐れみの涙をそっと拭った。
なんだかコードギアスに転んだようです←他人事!??(笑)



2008/01/20のも〜めんと 初詣

風習や宗教の違いは、その国や団体がなくなっても確かに受け継がれているようで。
ナチュラル・コーディネイターを問わず受け入れてきたオーブ首長国連邦には、神社・仏閣も存在していた。
「初詣?」
「うん。去年は有難うございました。今年も良い年でありますように≠チて。シンあたりも知ってると思うけど?」
新年よりクリスマス重んじる諸国に囲まれて育ったカガリは、クリスマス休暇を楽しむと早々に仕事に取り組んでいた。
【上司が休まないと部下も休めない】
もっともらしい理由で納得させ、キラが仕事の合間を作り出して、今の会話となっている。
「そうだな。神頼みはナンだけど、伝統行事だったら大切にしないとな。」
若干の誤解には目を伏せたキラの手をカガリは取った。

「何も今日じゃなくても‥」
「全は急げだろう。」
「着物、着て欲しかったのに。」
「キモノ?よく分らんが‥そのうち着てやるよ。」
「ホント?」
「それより、ほら。」
カガリが手を振ると、神社の正面で見慣れた面々が手を振り返す。
「なんで?」
「来る間に連絡した。アイツ等良く間に合うよな?こんなに急なのに。」
カガリの召集だからだよ、とキラは胸の奥で呟いた。
せっかく二人きりだったのに。」
「なんか言ったか?」
キラは首を振ると、ラクスを示した。
「あれが着物だよ。ラクスのは振袖だね。」
「ラクス!キレイ!!」
「ありがとうございます。カガリさんのもわたくしがご用意しましたので、後ほど着てくださいませ。」
「ありがと。」
「まったく、思いつきで行動すンなよ。一国の代表が。」
「僕の思いつきなんだけど。」
キラの返答にシンはぐっとつまった。
「ほらほら、まずはおまいりだろう?」
気配りのアスランが促す。
「アスランはよく、こういう事も知っているなぁ。」
カガリに感心されアスランが頬を染める。
「(そんなに気を使うから)ハゲるんだよ。」
「誰がハゲだ!」
どうやらこの話題には敏感なようで、アスランも退かずシンと言い合いが始まる。
「カガリ、ほっとこう。まずはおまいり。」
「どうすんだ?」
「願いをこめて、こう。」
「じゃ、早く大人になりたい。他の代表に認めてもらえるように。」
「あら、充分認められてますわ。」
「そうか?」
カガリを挟んでキラとラクスも参る。
「だったら歳を取るの、ヤかな。若くないと動けないし。」
噴出すラクスと反対に、キラはカガリにそっと呟いた。
「僕は、君と一緒に歳を取れて嬉しいよ。」
「そうだな。じゃ、願いはいいや。感謝だな。」

一緒に歳をとる。そんなラブラブを書きたかったんですが、どうしても出張る方々が(笑)



2007/07/2のも〜めんと 飢餓な夢(誰かカガリのお話を恵んで下さい;切望)

「どうして守ってあげないんだっ!」
独り言には大きく、文句にしては押さえ込んだ響きに、珍しくキラは眉を顰めた。言ったシンもそう思ったのだろう、一瞬見開かれた眼は、すぐわざとらしい笑みに彩られた。だけどキラが口を開く事は無く、反応はいつものとおり元同僚で逃亡者で、シンにとっては口うるさい、キラに言わせるとロマンチストなアスランだった。

「カガリは今‥」
『そんな建前、どうでもいい』
シンの眦が上がる。

「彼女に並べるように‥」
『それは自分の都合で、カガリを悲しませたら意味が無い』
逆にキラの肩は下がった。

ついに言葉を遮り鼻息荒くアスランに噛み付くシンを他所に、キラはこっそり溜息をつく。
『よく夢を見る。今でも‥』
オーブの会議室で、独り耐えている姿
細い肩を怒らせる事もできないほど、君は独りなんだ
『そして僕が伸ばす手は、遅すぎて‥』
届いたって意味が無い。君が傷付いた後では
『その傷は、ずっとカガリの中に残る‥』

「何やってんだ、お前ら。」

ポコポコポコと、軽いリズムで紙筒が頭上に落ちた。
「本当。男の方が3人で、何の密談ですの?」
笑顔のラクスが鋭いのに、相変わらず人の良いアスランが誤魔化しきれない言い訳を並べ、シンが我慢できずに真実を暴露する。
「私を守る必要は無いぞ。私が守るんだからな。」
笑顔でラクスと頷き合う姿は、強がりでは無くカガリの本心だけど
「傷付いてるのはお前らの方だな。」
確信犯の表情でカガリは順にシン、アスランと見、キラに視線を止めた。
「ごめん」
「?」
項垂れるキラに、ラクス以外の面々が顔に疑問符を浮かべる。
「キラ?」
「ごめん」
「なに、謝って‥?」
「ごめん」
抱きつきたくても動けないキラの背を、カガリが優しく抱き締めた。
またまた夢で見たんですが、ええ、責めていたのは7月竜ですよ、キラ様‥



2007/06/15のも〜めんと 種ですのーと(副題:キラにカガリを呼んで欲しい)

「こんにちは、カガリさん。」
堂々と腕を絡ませられるのはラクスで
「よく来てくれた。」
プライベートルームに通される僕は、客。
僕らの家に来る時も、カガリはお客さんになる。なってしまう‥
僕はふと、カガリの横に座りながらも背筋を正す親友を見た。
『ちがう。僕は仕事でカガリを守りたいんじゃなくて』
【姉弟するか?】
そうじゃなくてさ
『じゃあベッドに誘ったら‥?』
自分の想像に苦笑する。
そうでもなくて
場所じゃない。
場面でもない。
『いつだって』
例外なく君と繋がっていたい。
自然に、当然に。
『君を護りたい』
「それだけだよ‥」
「キラ?」
呟きを気にして覗き込むカガリに、僕は恋人のキスをした。

デスノートのDVDを観たせいか、キラ様がねぇ‥。夢の中でカガリ護るのに奔走してくれました。キラがあの声で、カガリを呼ぶのはうっとりですv(←馬鹿?;笑)



2006/09/03のも〜めんと
 シアバターリップバーム

特に理由なんて無いけど、目に入ったのが少し荒れた唇で。
例えばルナやメイリンのピンクの唇とか、タリア艦長の口紅とか、ラクス、、じゃなかったミーヤの濡れたっていうよりベトベトだと俺は思うんだけど、そんなのを見慣れていたから。
だから‥、触ってみたくなった‥んだと思う
「!」
目をぱちぱちさせた後、小首を傾げた顔はすぐに何かに納得したようで、俺の肩に手をかけて俺の頬に触れた。
かさかさした感触が頬の上を滑って、すぐに離れた。
「ここでの挨拶は口にはしないから、気を付けた方が良いぞ。」
「‥‥‥」
なるほど。アスランあたりが暴走したのを、手厳しくキラ・ヤマトがフォローした、といったところか
【暴走はお前だろ!】とか【それってフォローなの?】とか聞こえた気がするが、まぁいいや。
『でも』
信じるか?フツ〜‥
自分の唇を押さえてみる。
キスしたかったのか、確かめたかったのか、カガリだからなのか
【冬の乾燥もだけど夏の紫外線も荒れるのよ。切れたら、アイス食べるのだって不味いでしょ。】
俺はさきほどルナに無理やり押付けられたポケットの中のリップを触った。スティックタイップじゃない回旋容器のそれはリップと分りにくく、男の俺に気を配ったのか
『‥違うな。飽きたんだ。』
ポケットの中、蓋を片手で開ける。
「?」
黙ってる俺に苦笑して、カガリは背を向ける。
「‥やっぱ、カサついてる。」
「え?」
辛うじて聞き取ったらしく、カガリが歩みを止めて振り返った。
「手入れぐらいしろよ、女なんだから‥」
「!?」
女という断定に‥って、これって当然だと思うけど‥少し眉を顰めて俺を伺う様子は受け流しを身に付けなければならない代表というよりカガリらしく
「今度新しいの、やるから。」
手を取って引き寄せた唇に人差し指で掬ったリップをのせた。
「何す‥っ」
「今日はこれで我慢しとけよ」
逃れようとする顎を押さえると、人差し指では塗りにくくて親指で伸ばした。
『あ‥ムラムラ』
クリームというより軟膏のようなリップは上手く伸ばせない。
思わず自分の指を見直す俺に
「‥お前な‥‥」
カガリは額を押さえた。

「コーディネイターのくせに不器用だね。」

いつから見ていたのか。
『いや塗った後からだな。でなきゃ邪魔入れてる!』
ニコニコ笑って俺とカガリの間に立ったキラさんは、カガリの両肩に手を置くと
「僕が直してあげるよ。」
唇を合わせやがった。直すって俺がやった事をかよ!?伸ばし直すって言わないところがムカつく!
キラさんが離れたカガリの唇は、リップのテカリとは別にしっとり潤った感じで
「舌使ったぁ!?」
「隅に伸ばすのは唇だけじゃできないよ。」
「手でやればいいだろ!」
「手洗いしてないのに、不衛生じゃない!?」
それは俺の事か?それとも口と舌でカガリの唇を仕上げた事への言い訳か!?
「いい加減にしろ。」
ポカポカと俺とキラさんを叩くカガリは困ったもんだと、でも嬉しそうに顔を緩めていて。目元をわずかに赤らめた行為が、俺じゃないのが悔しいけど。カガリは俺の手からリップ缶を受け取った。
「ありがと。貰っとくよ。」
今度は立ち止まらずに立ち去っていく背を見送って、俺は指に残ったリップを自分の唇に塗ってみた。ルナらしい、キリッと甘いライムの香り。色や香りが色々あるんだと、はじめて気付く。
『クリスマスプレゼントは俺の選んだリップにしよう。』
高価なものばかりの中で、それはきっと目に留まるだろう。口紅じゃないリップは、昼も夜も。毎日カガリの唇を護るのだ。
「浮かれてるね。」
「いえ、地に足をつけてきますんで。」
言い返すと、カガリと似た顔で同じようにきょとんとして苦笑する。それも今のうちだよ。いつまでも負けていられない。キラさんにも、アスランにも。
『カガリ、あんたにもね。』



2006/08/31のも〜めんと 夢・ユメ・ゆめ

大きな音がキラの頬を打った。
カガリの怒りを、いつもキラは受け止める。今回も、打たれた頬をわずかに擦ったものの、すぐとカガリを見た。
突然の暴漢をアスランとシンが取り押さえた直後に響いた音は、カガリがキラを叩いた音だった。
「どうして私を庇うんだ!」
カガリの非難に、キラは一瞬カガリの後ろへと視線を流した。それにカガリも眼差しを強くする。
「庇うのはラクスだろう!」
その言葉通り、カガリは後ろにラクスを庇っていた。
「ラクスはカガリが庇うから、僕はカガリを庇えばいい。」
同じでしょ、と首を傾げる様子に、カガリは地団駄を踏んだ。
「違う!それならラクスをお前が庇って、私がお前を庇えばいいんだって。」
「わたくしの事は宜しいですわ。カガリさんに何もなければ、それで。」
ラクスがカガリの背に寄り添うのを許さず、キラはカガリの手を引っ張って自分の前に置いた。
「ほら、カガリを掴まえるのはこんなに簡単だ。僕の方が庇うのが普通でしょ。」
「今のは油断したからだ。だ、第一、敵がこんな事‥」
「敵だったらもう既に、カガリは身動きできないよ。」
自分の腕の中にカガリを閉じ込めて、キラは笑った。
「侵入者はそんな事しないだろう。」
見かねてアスランがキラの腕に手をかけた。
「っていうより、とっくに殺されてる!」
不貞腐れたような言い方は、心配の裏返しなのだけれど、カガリは反発しようとシンを見て
「ぅ‥」
だが唇を噛んで黙った。
「‥カガリ?」
いつに無い反応に眉を顰めてアスランが手を触れようとした瞬間、カガリは顔を上げた。
「‥じゃあ、強くなったら私が庇っていいんだな!?」
「僕より強くなったら「いいんだな!」
「‥‥‥ぇと」
「いいんだな!!」
「ごめんなさい。」
「なんだよ、謝るんじゃなくて。私が強くなれば庇っていいって、ちゃんと言え!」
「ごめんなさい!」
「キラ!」
『スーパーコーディネイターが冷や汗たらして頭を下げてる‥』
息を呑んで見つめるシンと、気の毒で直視できないアスラン。
「じゅうぶん、キラはカガリさんに庇われてますわ。」
思わぬところからの救いの手。
「ですから、カガリさんはもっと他の、わたくしの事とか思ってくださいませ。」
救いの手はすぐさま裏返った。安堵したキラの顔が引き攣る。
「ラクス?」
「そうですね、まずはお強くなられるにはどうするか、わたくしと考えましょう。」
いかがです?と鮮やかに笑うラクスに、カガリは少し頬を赤らめて頷いた。
「ごめん。子供みたいに‥」
「いいえ。カガリさんがどんなに深くキラやわたくし達を大切にされているかよく分りましたわ。」
「‥‥そう?」
「ええ、わたくしにはすごく伝わりました。」
「そっか」
やっと笑ったカガリの手を、ラクスはとる。
「さ、参りましょう。」
「え?ちょっと、それなら僕と訓練する方がっ‥」
「キラでは強過ぎますわ。」
「反対に手を抜いたりとかね‥」
突っ込むシンをキラが睨む。
「キラ。」
カガリの呼ぶ声に、キラはぱっと顔を輝かせて振り向いた。
「覚悟しとけ。」
「え?‥ええ!?」
歩き出すラクスとカガリを止める事は叶わず、キラはふたりに伸ばした手を握り締めると、暴漢を1つ殴った。
キラがね、カガリを後ろに庇ったんです。ついね。ですが、カガリは庇うべき人は他にいると怒るんです。スーパーコーディネイターだってとっさに庇っちゃうのは好きな人なんだよ〜って、嬉しかったり(茨道の極み;笑)



2006/06/22のも〜めんと MarkXX・MarkXY

オルゴールの底を外すと、22口径なんてあまり役には立たない銃が、しまってある。
その銃身を額に当てると、カガリの中に、私が帰ってくる。

私は‥誰だろう
     
自分が養女である事は知っていた。
私は、誰であるんだろう
     
ヤキン・ドゥーエ戦役で知った本当の父親。生まれ‥
キラは自分を実験動物のように生まれたと自嘲しているけど、でも望まれたのはキラだけだ。
お母さん‥この響きにはどうも‥恥ずかしいけど
お母さんは、ふたりとも望んでくれたのだと信じてるけど、父親は確かにキラだけが欲しかったのだ。
「いや、それ以前に‥」
実験ならふたりとも行えばいいのに、ヒビキ博士はそうしなかった。
「私は選ばれなかっただけでなく、見向きもされ無かった‥」
     スーパーコーディネイター計画
それはキラにも、私にも降ってくる。


【代表らしく振舞えよ。】
私は、なんだろう
私が私である事を、どうして私が証明してはいけないんだろう

走っても走っても。
私はカガリに、辿り着けない。
【私はカガリ・ユラ・アスハ。オーブ軍は、退け。オーブはこんな戦いに参戦してはいけない。】
【あれは、偽者だ!カガリがそんな事を言うはずが無い。】
別にオーブ軍に否定されたからって、落ち込んだりはしない。ただ、歯痒いだけだ。
私は‥


心配で、君の部屋へ入った。
小振りの銃は君の手に隠れていて、覗き込むまで気付かなかったよ。
ずっと‥
前を向いて走る君が眩しかった。羨ましくて腹立たしかった。
でも、本当は君も、こんなもので支えてきたんだ。その強さを‥
そんな柔らかさの欠片もないもの以外、誰も君を助けてくれなかったの?
銃を抱き締める君。その安心した、でも悲しい顔に、僕は‥
「誰に貰ったの?」
僕以外の、誰に?
それすらも、身を焼くようで
「そんなのダメだよ。」
だから
「銃なんて野暮なものより、これにしようよ」
死すらも分かち合える なんて、
何を確かめたいんだろう



気付いたら、銃が小瓶に変わっていた。
「キラ‥?」
使う時は半分僕に残しておいてね
小瓶に添えられたメモ
「‥ロミオとジュリエット?」
確かに、毒薬でも私が生きていることを決めているのは私だけど‥
「銃だって同じじゃないか!?」
同じ銃から発射される弾よりももっと分かち合う?
「金属は冷たいか‥?それとも、間接キ‥」
自分の唇を指でなぞってみる。
「‥随分と」
私の片割れはロマンチストらしくて、笑ったら胸が温かくなった。
萎らしいカガリを書こうと思ったら、後向きなカガリに‥(汗)。別の意味で秘密部屋に隠したいっス(涙)



2006/06/10のも〜めんと BLOOD-

テレビドラマを観てた。
異形の双子の姉妹が、人とvampireに別れて戦う話。
受けた生を自己満足の為の実験に気ままに選択され、引き離された。
命を目覚めさせてくれたのはジぇエルであり、ユーレン・ヒビキなわけだけど‥感謝できない僕は酷いだろうか
「‥まるで僕たちみたいだね」
テレビを指差して言ったら
「私の血でお前は死に、お前の血で私は死ぬって事か?」
と聞き返された。
「‥‥、観てたんだ‥」
確かそれに触れたのは前々回、、いや、もっと前だったと思ったけど
「お前が、いつも見てたじゃないか。」
「!」
同じ部屋にいれば、ゲームをしたり手紙を書いたり、他所事してても。
君は僕を見ててくれるんだ
【私の血でお前は死に、お前の血で私は死ぬって事か?】
それも悪くない
「私は嫌だな。」
見透かされたようで、カガリを伺えば。カガリはテレビを睨んでいた。
「キラとなら、私は一緒に生きていたいな。」
あぁ、どうしよう
ちょっとだけ、僕らに命を与えてくれた事を感謝したくなった。



2006/02/26のも〜めんと ジブリ〜る

【なぁ、アスラン、、、最近私の見る本に付箋が貼ってあるんだが‥要略とお前の名前入りで。】
【゛ああ、それはちょっと前からしてるんだが。】
【あ、、、そうだったか!?それは、気付かなくて済まなかった。】
【いや、その、俺が思いついたことで、、、余計かもしれないし、言わなかったから、その‥最近の議題や問題に関して参考になるところに、と思って。俺に出来る事はそれぐらいだから‥】
【アスラン‥】
【カガリ、、、俺は、、、】
【よし、反省終わり。】
【は?】
【手間をかけるのは悪いからな、これからはなるべく自分でするよ。でも、ありがとな。】
【カガリ?ちょっ、、、カガ‥】

「って事があったんだ。知らない間にアスランに気を使わせて疲れさせてしまったようで、悪かったなぁ」
バレンタインデーだから愛を込めたの、と勧められたラクス手製のチョコレートケーキを前に、ぼんやりとカガリは呟いた。それで、今日、アスランは来なかったのだと。
しかし、今聞いたアスランの行動は、
【最近、カガリとの間がなんとなく疎遠な気がする】
そう言って先月独り訪れたアスランが、キラとラクス3人で観たアニメを彷彿する内容で
『Whisper of the Heart!?』
『アスラン、単純さんですわ。』
キラとラクスは目を見交わした。
カガリの一番身近にいるくせに、何を贅沢言っているのか
あの時はそう思ったものだったが
『単純なのはいいけど』
『しかも、失敗してるし』
しかし
問題だ。
大問題ですわ。
「そうか‥そうだよなぁ‥‥」
キラとラクスに問題と言われて、カガリが落ち込む。
「カガリじゃないよ。アスランが、だよ。 ラクス、確認するからアスランを呼び出して。」
キラに頷くとラクスは素早く電話を繋いだ。」
「アスラン?なんで?」
「考えてもみてよ。先読みしてるって事は、カガリの書類とか見てるかもしれないって事だよ!?」
「それは、あいつ、秘書だから‥困らないけど?秘密無いし、それに本当の機密は読まないと思うし‥」
「勿論、アスランなら国家機密等には手を触れないけど、カガリのプライベートは中身は見て無くてもチェックはしてるかもしれないだろ!?」
「‥‥‥、かもな。でも、それが?」
腕を組んで考えてみた割には軽いカガリの返事に、キラが額を押さえる。
「君とアスランは別人なんだよ。プライベートまでツーツーにしなくても。」
「アスランのプライベートは覗いてないぞ、私。」
「アスランが知ってる事が、というか君のプライベートを知ってる事が問題なの!」
「そう?」
「そう!あ、早いね。アスランが着たみたい。なんて言ったのラクス。」
「"好きな人が出来ました”」
ラクスの決め台詞とともに
「カガリ〜っ、違う、俺は!」
蹴破る勢いで入ってきたアスランの後ろからは、不貞腐れたような表情のシンが続く。
「もう良いのか?アスラン。シンも、よく来たな。」
立ち上がったカガリの向かいでキラが頬杖をつく。
「来るのはいいけどもっと静かにして入ってきてよ。乱暴だよ、まったく。」
「お、お前、、キラ、カガリに、言っ‥」
「落ち着いてアスラン。僕に言われて疚しい事でもあるわけ!?」
「う‥、な、無いが‥」
ラクスやキラに加えてシンにまで冷ややかに見られ、アスランは居心地悪くカガリの横へ座った。更にアスランへの視線が冷たくなる。
「アスラン、カガリさんの手紙とかチェックしてるんですの?」
「は?」
「うわっ、最低〜」
シンに言われて凍り付いていたアスランが、慌てて首を振る。
違う、俺は、ただカガリの手伝いが‥」
「下心付きでね。」
キラ!
「だってそうだろ!?アニメは借りた本の図書カードに記名するけど、付箋に記名する理由は無いじゃないか。」
そ、それは‥
「アニメって?」
分けが分らず聞き役に回っていたカガリが口を挟む。シンといえばアスランから聞き出していたらしく、鼻で笑っている。
「み「、こ、このシリーズ。今日はこれを観ようと思って、持ってきたんだ。」
教えようとしたキラを遮り、アスランは映像チップを取り出した。
「My Neighbor Totoro?」
「良い話だぞ。ほら」
有無を言わせず再生を始めたアスランに、カガリの手前仕方なくラクスとキラも仕方無しと映像を楽しみだした。
その結果
「なぁ、このカンタって‥シンに似てるな。」
発見に感動してか、少し頬を上気させてカガリがシンを振り返った。
「はぁ〜?どこがだよ。俺、そんなヘンなガキじゃ‥」
「口には出せないけど、優しいトコとか。似てるよ、絶対!」
思わぬカガリの反応に、アスランはもとよりキラとラクスも固まる。
「そう言えばどうしてシンは、ここへいらっしゃったの?」
目が笑ってないラクスの笑顔にも、怖いもの知らずのシンは負けない。
「それは、アスランが腑抜けてて、危ないからだ。」
「ほらみろ、やっぱ優しいじゃんか、お前〜」
カガリに前髪をかき回され、シンはその手を、でも優しく振り払う。
そんなんじゃ無ぇ!///じゃ、お前はサツキだ。気ぃ強ぇし」
似てる似てないの、それでもまんざらじゃないシンと楽しそうなカガリのやり取りに
ミイラ取りがミイラに‥
余計な事を、アスラン‥
キラ、ラクスの冷たい視線も気に留めず、アスランは言い放った。
似てない!カガリとシンが、サツキとカンタなんて、絶対違う!
「アスラン?」
アスランの剣幕にカガリは驚き、シンといえばアスランに否定されるのは気に障るらしく噛み付いた。
「なんだよ、そう言うあんたはWhisper of the Heartの天沢聖司を姑息に‥」
言い終わる前にシンの口はアスランの手で塞がれた。そのままアスランはシンを引っ張って帰っていく。
「なんだ?あれ‥」
指差し問うカガリにキラは首を振って笑った。

「なぁ、結局どんなアニメだったんだ?」
最後にカガリが聞けるのはこの人で。
「今観たKiki's Delivery Serviceと同じ会社のアニメ。」
キラは笑うとチップを入れ替える。
リビングに。ふたりそろって布団を持ち込み寝転がった。
そんな夜の会話。
「カガリはサツキなの?」
「私?私は違うよ。乱暴だけど手を差し出してくれるシンは、カンタだけどな。」
「僕だって差し出すけど!?」
「キラは誰かになりたいのか?」
カガリが画面に目を戻す。
「僕は‥そうだな、なりたいんじゃなくて、このキキみたいかな」
「キキ?」
「カガリはトンボ」
「私がトンボ?」
「うん‥」
枕に横顔をつけて、キラは笑った。
「いつも、僕を救い上げてくれる。そのチカラで」
「チカラ?」
「それは、笑顔や元気や‥」
「キラ?」
だから飛べるんだよ
「寝たのか!?」
寝息に包まれた兄弟に、毛布を掛け直すとカガリも布団に潜り込み、オーディオの電源を落とした。



12/25のも〜めんと 年末スペシャルの果て

海からの少し強めの風が、慰霊地を吹き抜ける。
捧げられた花束が揺れるのを瞳に写しながら、見ていなかったアスランはポツリと呟いた。
「正直、ラクスがプラント評議会に席を置くとは思わなかったよ‥」
ラクスは曖昧に笑った。
「変わる世界を選択したわたくし達は、正しい道を模索しながら進んでいくのです。わたくしは、覚悟を決めてプラントに行き、そして力をアスランやキラに託しました。その責任は取らなければなりません。」
「ラクスさん‥」
ラクスの覚悟に、ルナマリアは息を呑む。
「‥というのは建前で、評議会委員長になれば、カガリとしょっちゅう会えるからね。」
「あらあら、労働の代価は払われるものですわ。それが正しい経済というものでしょう!?キラ。」
「ちょっと待て!お前達‥」
「僕は関係ないでしょ!?」
「キラはフリーダムでその責務を果たしてくれました。その後はわたくしが。ですが、これも建前ですわね。キラはご兄弟ですからそれだけで、コーディネーターとの確執を排除したオーブでは気楽にカガリさんに会いにいけますもの。」
「キラ〜!?」
「アスランは‥自分でカガリの側に戻るの蹴っちゃったんだろ!?自業自得だよ。それよりも!」
話についていけず‥というより、理想を壊したくなくて付いていってないシン達に、キラは笑顔で向き直った。
「シンって呼ばせてもらってもいいかな!?」
こくこくとシンは頷く。なんだか背筋が寒くなっている。
「君、カガリのボディーガードに就任したんだって!?学校に通いながら‥」
「ホントか?シン!?」
アスランの剣幕に、シンは視線をみんなの上にぐるぐると走らせる。
「ア、、アスハ代表が会いに来てくれて、、、それで、そんな事に、、でも!俺が言い出したわけじゃ‥」
「‥へぇ、カガリ、君の住所、知ってるんだ!?」
「あ、済みません。それはわたしが‥」
「メイリン?」
「カガリさんから、アスランさんを宜しくって‥その時シンの事も聞かれて‥」
「まぁ、そうでしたの。よろしかったですわね、アスラン。」
「あからさまに安心した顔するなよ、ラクスっ。俺はまだ‥」
「でも、アスランは肩を並べるようになるまで独り頑張るんだろ!?」
「そ、そうだが、、、だが!お前と一緒で‥」
「キラとアスランはモルゲンレーテでプラントとの共同研究をなさるんでしたわね。」
「ああ、もちろん他の諸国とも協調していく。」
「それは‥ちょっと安心できませんわ。お膝元ですし‥」
ラクスは少し考え込むと、メイリンを正面から捕えた。
「これからもアスランを宜しくお願いしますわ。」
「は、はい!」
ラクスに声をかけられ、メイリンは頬を上気させて張り切る。
「だから俺は‥」
ガクッと項垂れるアスランを気の毒に思いつつも、キラは現在の問題へと思考を切り替えた。
「シンは、そのルナマリアさんと‥お付き合いしてるの?」
「え?」
驚くシンを制し、ルナマリアが一歩前に出る。
「あ〜、お付き合いまでには至っていません。シン子供ですし。」
「なんだよ、それ‥」
「ですが、シンの事はわたしが責任もってご報告いたします。」
ビシッと敬礼したルナマリアに、シンは慄きキラは満足げに頷いた。
「やはり、最後の塞はキラですのね。わたくしも、議長を承った以上、退きませんわよ!?」
「僕だってやっと自宅には自由に出入りできるようになったからね。諦めたりしないよ!?」
「おい、待て‥家に自由って‥」
「では、参りましょうか!?」
「おい、キラ!ラクス!?」
アスランの叫びを無視してキラが腕を差し出すと、ラクスはそれに絡ませ、肩に顎を乗せた。お似合いに見えるその姿も、アスランからすればわざとらしい。
「じゃ、わたし達も帰りましょう。」
むっとしていたところを強引に手を取られ、女の子の扱いに慣れていないアスランは振りほどけない。
『お前ら、見てろよ、、、俺だって!』
闘志に燃えるアスランの後姿を見送り、ルナマリアはシンを促した。
「キラさんにアスランさんにラクスさんか〜、以外、、、でもないか‥シンも頑張ってね。」
「え?ええ〜‥!?」
改めていわれて焦ったものの、確かにシンは彼らの元へ辿り着いたのだ。
やっと並びそしてこの先へと。
戦友となった人達に今からが勝負です、とシンは心の中で宣言した。
OPからこのカットになんの意味が‥!?と観たのですが‥ですがですが、、、えぇ、EDでは1位キャストがキラで、だったら最初からそれで良かったんじゃ‥とか、、とかね(ラクスも潔しだしね)。シンは成長したけど、2人の影にそれが薄れてしまった感じ。アスランはどっちかっていうとこの先頑張ってアスカガかなってぐらい爽やかだったからぐぅ〜なんですが‥(夢?;笑)、キャラ的には脇役度upみたいな‥。凝縮分ギルのキャラがしっかり伝わってきて(イザークとディアッカのやり取りもいい味だし)良かったとは思うんですが((ミリアリアとの会話も見たい気がしましたが)‥そしたら、こんなん書いちゃいました(汗)。



10/28のも〜めんと 副題「単発 危ない アネキ $0

「カガリ?何してるのっ。」
悲鳴に近いキラの声に、カガリは手を止めた。
「何って、、風呂掃除?」
それは見れば分る。問題は
「カガリ、、、、君は首長国代表になるんだろ!?明日。」
「うん、だからさ。明日を迎えればこんな時間は取れないからな。アークエンジェルにはお世話になったから、今日のうちにと思って。」
再びタワシでごしごしと天使湯・岩風呂を磨きだしたカガリに、キラはため息をつく。
「その姿勢は素晴らしいと思うけど、その格好はなに‥」
「だって濡れるだろ!?」
「だから下着?」
「いけないか?」
濡れてもすぐ脱げるぞ、と続く言葉をキラはカガリの肩に上着を掛けて遮った。
「あのね、、いつ誰が入ってくるか分らないんだよ?しかもここは男風呂じゃないか。もっと慎みと警戒を」
「誰に?アークエンジェルのクルーに!?第一警戒って何だよ。」
「は〜」
キラは大きくため息をついて額を押さえた。
キラが上着でカガリを包むと、カガリの動きが封じられる。
「キ、、ラ‥?」
覆いかぶさる影に、カガリの瞳が揺れて。キラはそれを認めると、カガリの耳に囁いた。
「アークエンジェルのクルーにも、もちろん僕にも警戒は必要なんだよ!?カガリ」
「キラ、、、」
「まったく、、君は、天然なんだから‥」
途端にカガリの眦が上がる。
「なんだよ、それ。私がナチュラルで、オマエハコーディネーターだからと言いたいのか!」
カガリは、キラをスーパーコーディネーターと称するのを嫌う。たとえそれがキラ自身であっても。
【お前は創られた天才じゃない。単に凄いだけだ。天才なんて額縁入りじゃなく、凄いって言うカッコイイやつなんだ!】
カガリはパシッとキラの手を弾くと、上着をそのままに自由を勝ち取る。
「お前は私の自慢の弟だ。警戒なんて必要無い。アークエンジェルは私の、自由でいられた大切な船だ。それで十分だ。」
いくら私だって、オーブ官邸でこんな格好しないぞ。
膨れるカガリにキラは笑いかけて、凍りついた。
『確かに。公務を行う官邸ではこんな格好はしないだろう。だけど例えば街中だったら?寒さを訴えるヒトに服を貸し、素っ裸でも救助に駆けずりまわりかねない。言葉より先に行動する人だから』
「アスランは‥」
「アスラン?あいつなら今頃官邸で、私を探し回ってるかも」
小首を傾げるカガリに、キラは拳を結ぶ。
『アスランじゃダメだ!僕が!!僕の手でカガリを護らなきゃ!!!』
キラがオーブ官邸に乗り込む前にラクス襲撃事件が起こったのは、不幸中の幸いかもしれなかった。



10/16のも〜めんと 今更ながらのDESTINY PHASE-47.5 「ラクス」

【ディスティニー計画を導入する!】
寝ようと思って潜り込んだベッドは、常のようにはラクスを平静に迎え入れてはくれなかった。
【忘れないで‥】
『忘れませんわ、ミーア。わたくしは‥』
気を緩めると囚われそうになる怒りに、ラクスはきつく瞳を閉じた。
だが瞼の裏にはデュランダルが浮かび上がって、塞いだ耳には彼の声が、彼女の悲鳴が木霊して
『わたくし‥っ』
PP
シグナルに一瞬遅れて、ラクスは通信に手を伸ばした。
相手は嬉しい事にカガリで、驚いた事に音声だけだがエターナルまで繋がっていた。
≪ごめん。寝てたか?≫
「いいえ。寝付けずに困っていたところですわ。」
≪そっか、、、≫
言葉を迷ってるのが見えなくても伝わってきて、ラクスはくすっと笑った。
「どうかしましたの?」
≪あ、いや、、その。うん、メイリンから連絡があって、、、≫
「メイリンさんから、、ですの?」
≪うん、、、ミーヤが死んだって‥≫
「‥ええ。わたくしを庇ってくださいました‥」
『今、わたくしは醜い顔をしていないかしら!?憎しみを彩った顔を‥』
≪ラクス?≫
「‥え?、、ええ、大丈夫ですわ。お心遣い有難うございます。でも、わたくしで良かったんですの?アスランは‥」
≪ミーヤから聞いた。自分の不甲斐無さを嘆いて、助けられなかったと後悔して、ミーヤの為に泣いてたって≫
『外聞もなくミーヤの為に流せる涙を、アスランは持っている。それは素晴らしい事だし、元婚約者としても誇りに思いますが、カガリさんには‥』
≪アスランはいいんだよ。≫
「え?」
≪人前で泣けたんだし、それにキラが、、、メイリンも、、慰めただろうしな。≫
『確かにそうですが』
カガリの洞察にどう答えようか、迷うラクスの耳にカガリの、優しい声尾が届く。
≪ラクスは、泣いた?≫
「え‥?」
≪我慢しずにさ、あ、べつに泣かなくてもいいんだけど、その、気に病んでないか?≫
「カガリさ、、、」
≪ラクスは強いから‥、しなくちゃいけないこと優先して、溜めちゃってないかなってさ、、、≫
照れ笑う仕草まで目に浮かぶようで、ラクスは体から力が抜けていくのを感じた。
「ありがとう、、、ありがとうございます‥」
≪あ、でも、、、ラクスもキラがほっとかないか≫
もしかして、邪魔してたか? と悩む様子も懐かしい。
「わたくしは負けませんわ!」
≪は?わたしの邪魔に、か?≫
「あなたが応援して下さるからわたくしは、デュランダル議長にもわたくし自身にも負けませんわ。」
デュランダルの幻に、強い瞳でラクスは立ち向かった。
≪それは、、良かった、の、、、?負けない?ラクスにも!?≫
「ええ。明日笑う為に。帰ってからあなたと目を合わせられるよう、わたくしはわたくしの慢心に打ち勝って見せます。」
怒りを憎しみに変えてはいけない。彼女の歌は反戦にこそ注がれていたのだから。
薄れていくデュランダルの後ろから、太陽のように明るい、人を明るくさせるカガリが現れる。
「帰ったら、歌を聴いてもらえますか?」
≪ラクスの?それは嬉しいな。わたしはアイドルのラクスは知らないから。≫
「アイドルのわたくしでも、カガリさんはきっと変わりませんわ。」
≪それはわたしが、無礼者って事か?≫
「いいえ、カガリさんはわたくしだけのアイドルですわ。」
大きくはないのに華やいだ笑い声が響く。
<いつまでらぶらぶな会話してるんだ!ラクスはーっ>
<俺を慰めてくれ、カガリ〜。>
聞き耳立てる男ふたりに付き添っていたメイリンは、ため息を吐いた。
『ミーヤの言うとおり、アスランさんて、、、ヘン!キラも、これがスーパーコーディネーターのやる事?これじゃシン達と変わりない〜』
メイリンは壁を伝いながらトボトボと部屋に帰ったのだった。
やっと観た第47話。ラストのラクスは圧巻でした。いいな〜強い彼女!(爆)



9/2のも〜めんと

「アスランとカガリさんはいつお知り合いになったんですの?」
瞬きするアスランに対し、カガリは あぁ と頷いた。
「前にmissing in actionになってキラが助けに来てくれたんだけど」
「(花嫁奪還といい)目立ち過ぎですわ。」
「ラクス?」
カガリの問いかけにキラを睨んでいたラクスは、何でもありませんわ と笑った。流石に元アイドル。カメラ目線はお手の物である。
「それで?」
当のキラはラクスの視線もどこ吹く風で、カガリを促した。
「あ、うん‥あの時アスランと会ったんだ。実は私がアスランの乗った輸送機を落としたんだけどさ。」
「カガリの腕前のせいじゃないぞ、自惚れて無茶をするなよ。」
アスランの窘めに口を尖らせるカガリを微笑ましく見守りながらも
『余計な突込みを‥#』
キラとラクスに青筋が浮かぶ。
「無人島に着陸したと思ったら、撃ち落したアスランも居たってわけ。」
「無人島?ふたりきり‥ですか?」
「そーなんだ。通信は出来ないし、朝まで」
「大人しくしていないから悪戦苦闘したな。」
からかうアスランは、向かいの席に座るキラとラクスの様子に気付かない。
「悪戦苦闘って?」
「ああ。逃げようとして浅瀬に落ちて溺れそうになったり」
「お前が両手を後ろ縛りにするからだろ!?」
「また撃たれるのはごめんだからな。当然だろう。」
顔を赤らめるカガリに、アスランはまだ余裕を保っている。
「だが、ドジそうだったから死なれても困るからな。その後すぐに手は開放したさ。」
「服脱ぐからだろ。」
「服‥脱ぐ?」
「ああ、海に、、、じゃない、砂落とすのに雨浴びたから濡れてて、乾かすのにさ。なのにアスランなんか寝ちゃうんだ」
「服を脱いだのはカガリさんですの?」
「え?‥うん。アスランは」
「キラ?‥ラクス!?」
やっと、アスランは非常に不味い状況になりつつあると自覚する。伺うように交互に見ても、笑顔の縁に血管を浮き上がらせたキラとラクスからは逃げられそうになかった。
「あの、、、、、」
「たいへん意味深いお話ですわ。もっと詳しくお聞きしなくては!」
一方
「ごめん!カガリ。僕がもっと早く見つけていれば‥」
「キラ?‥いや私は助けに来てくれただけで嬉しかったぞ!?見つけるの、大変だったろうし
ガバッとテーブル越しに抱きついて来たキラに目を瞬かせると、カガリはその背を撫でる。そのキラを引き戻しながらラクスは笑った。有無を言わせぬ迫力で
「明日の日が昇るまで、まだまだ時間はたっぷりありますわ。さ、お茶会を楽しみましょ。」
お茶会。茶の道の、一期一会に表されるようにかつえ武士が今生でただ一度の茶である覚悟で参会する社会交流の場。
冷たい汗が背を流れるのを感じながら、アスランはラクスの、そしてキラの差し出すお茶を見つめた。



8/29のも〜めんと

僕らを隔てているのは、お互いの服だけじゃなくて
                                人体を形成している皮膚もだな。
なにより、流れる血が僕達が愛し合う事を妨げる
                                その分、寄り添う事ができるぞ!?


「カガリ。」
背を預けあっていたキラは、背中越しに返るカガリの相槌に、首だけ捻った。
離れる事は‥出来ない。
背中の温もりが離れないように、キラは顔だけをカガリに向ける。
見えるのは金色に輝く頭だけ。それでも、離れられない‥
「何だ?」
「カガリはっ‥僕の事、、、」
「好きだぞ!?」
「そうじゃなくて。じゃ、なんで邪魔するのさ。」
「拗ねるな。別に邪魔してない。」
キラがなお、言い募ろうとするのへカガリが向き直る。
キラが寒いと思う前にカガリの腕が背に回り、ピッタリとカガリの体がくっ付く。
「カガっ‥」
「恋人のように愛し合う事は出来ないけど、ほら」
頬にかかるカガリの髪が、キラを擽る。
「寄り添うだけで分かち合えるよ。」
「なにが?カガリは僕が分るの?僕はっ」
「分かり合う事なんか恋人同士だって無理だよ。それよりキラも。手、まわせ。私を抱きしめて!?」
恐る恐る回した手は、カガリの体温に触れるとすぐに力が籠る。
「な。」
「だから、なにが!?」
「ふふ。」
カガリが笑うのに、ついにキラが折れる。
「かも、ね。‥でも」
「?」
キラの言葉にカガリが顔を上げれば、降りてくる口唇。
「キスはしたい。」
「私もだ。」





「まったく、、、どうなってるのか‥」
「キラとカガリさんの事ですの?」
「ぅ、、、、ラクスはどう思ってるんだ?」
「可愛らしいですわ。」
「はあ?」
「ねぇ、アスラン。わたくしと貴方はいかがなのかしら‥」
「いかがって‥俺、いや、ラクスは‥」
「でも、おおよそを分かり合えますわね。」
「あ?‥あ、あ‥そう‥かな。」
「わたくしとキラも、おおよそ分かり合えます。」
「おおよそっていうより、全部じゃないのか!?」
揶揄交じりにラクスは艶然と笑った。
「分かり合えると、ひとつになったようで‥不思議とそれだけで十分なのですよ。」
「ラクス‥」
「キラとカガリさんは、そうはいきません。」
「‥‥、それは‥そうだろう。双子といえども‥」
「だからキラはカガリさんを抱きしめたいんです。」
「え?‥しかし、それは、、、」
「わたくしもですわ。」
「キラを?」
先ほども申しましたでしょ と、謎めいた微笑みでラクスは首を振った。
「それって、、、カガリ?、、、ちょ、、ラク、、、、」
「うかうかしていられませんわね、アスラン!?」