鳥の鳴き声で、目を覚ました。
習慣でアルのベッドを見れば、その姿は無く‥
   大人ではないけれど、ガキでもない年頃の男兄弟がけっこう広い家にもかかわらず、同じ部屋で寝ているのは俺のわがままで、
   叶えてくれるアルは、俺が自分を心配しての、
   アルが俺を心配性にさせてしまったからだと思ってるから

俺は素足で廊下へと出た。

アルは‥
開けた窓の枠に肘を乗せ、外を見ていた。
鳥を    見ていた‥

でもすぐに俺の気配に気付いて、振り返る。
笑顔で。
「どうした?」
その笑顔が少し寂しげで
   そんな事に俺は気付いてしまう
「兄さんこそ、まだ早いよ?」
「俺は寝汚くな、、、」
アルが笑うから、俺は頭をかいてそっぽを向いた。
向く振りをした
   起こして欲しいから、ずっと待ってる
「鳥がさ、、、うるさくて‥」
「うん‥‥‥、あの鳥仲間を呼んでるんだね?」
「ああ‥そういう季節だしな‥」
仲間から逸れ、必死に鳴く鳥は‥番う事もできず
「ここもずいぶん開けたから、、、渡り鳥は来なくなったね。」
まだ体を求めて旅をしていた頃、寄ったこの街も今ではセントラルへの線路が通った事もあって、すっかり住宅地になっている。
「ヒトは、、、我がままだよね」
悲しげに腕へと顎を落としてアルは呟いた。
「はぐれたヤツも悪いさ」
「でも」
アルは俺の顔を見て、口を噤んだ。
   きっと酷い顔をしているんだろう
アルに心配はかけたくないけど、止めえられない。
「アレは俺だ‥」
   仲間を、、、相手を、呼んでる 
   呼び続けてる
   探しにも行けず
   ただ 
   心の中で呼んでる ずっと
            キモチ
   キテ 俺ト同ジ場所マデ
   キテ あるふぉんす
 

アルはどう言っていいか分らず、悲しそうに俺を見る。
   そんな事まで分かってしまう

   どうして俺は、アルを普通に愛せなかったんだろう

アルには好きな奴ができて、交換日記ならぬ交換手紙をしている。
郵便を使わない、文字通り手渡しで手紙をやり取りしてる。
あまりにも嬉しそうに書いているから
   覗く事もできない
知らず幸せが溢れ出ている、そんな顔で読んでいるから
   からかう事もできない

   いっそこの気持ちを捨てることができたら‥?
   そうしたら   俺は空っぽだ
   あるいは
   禁忌を犯さず、生まれた体のまま成長したら?
   「同じだ」
   断言できる

   こんなにも誰かを愛おしいと思える気持ちをもてた事が たぶん

何も言わず、アルは俺を抱き締めた。
元に戻って、、、、俺が逸れたのを感じてから、、、、アルは黙って俺を抱き締めるようになった。
俺は‥されるがまま、ただ鳴くだけ 泣き濡れて溺れるだけ





必死で仲間を呼んでる鳥を見ていたら、寂しくなりました
必死でエドに呼ばせてみたら、やらしくなりました(笑)。気持ち裏っぽいです(汗)。2007/8/2

鳴く鳥の