おおよそ(笑)TV設定に、劇場版のスパイスが少々ふりかかってます。
子供のアルは記憶を取り戻してませんし、エドとアル、ホーエンハイムやイズミ、ロイ達面々の
協力によりエド達はアメストリスに戻ってきてたりします。
ここはそんな、似非世界(爆)

「大事だから、すごく大切だから、とても愛しいから。人は抱き締めるんだ。頬を寄たりおでこをくっ付けたり、撫でたり擦り寄ったり‥自然と体が動くんだよ。」
ラースはアルを見つめ、それから首を傾げた。
「母さ、その、イズミも確かにそうしてたけど、でもスロウスだって僕を抱き締めてくれた!人間じゃなくたって‥」
言い返したラースを、今度はアルが見つめた。
「そう‥なんだ。すごい!」
アルはラースに抱きつくと、すぐに離れ、顔を高潮させる。
「それってすごいよ!うん、そうなんだ〜。人間だけじゃない。うん。デンも猫も。うん。花や木や、、、ねぇ、それってすごいよ、ラース。」
アルはまくし立てると、再びラースに抱きついた。
「バカか、お前‥」
人より幾分白い顔に、赤みが差す。火照る頬を扱いかねて、ラースはゴシゴシと拳で鼻を擦った。
『顔が見られなくて良かった‥』
同じぐらいの背丈。束ねた金髪から健康そうな首が覗く。
「あ‥」
突然上がった声に、アルは驚いてラースから離れた。
「どうかした?ラース?」
ラースは顔を背けると
「なんでもないっ」
と突っぱねた。
「なんでもないって、、、ラース?」
『僕、今何を?僕の手は、アルを抱き締めるとこだった!?』
ラースはアルから隠すように背を向けると、自分の両手を見つめた。
そんなラースを、遠慮がちにアルは伺って。
呆然と自分の手を見つめるラースの口元に優しい笑みを認めると、アルはそれ以上声をかけずにラースが振り向いてくれるのを静かに待つ。


「子供はいいな‥」
ロックベル家の裏、気付かれないよう二人を見つめながら、大人達はつまらなさげにお茶をすすった。

アル教室