2004/11/3 Zipanguへ行く者(アニメ版)
「俺達、付合い始めてもう14年になるだろ!?」
「‥‥そういう言い方もできるね。」
「そろそろさ。良いと思うんだ、結婚‥」
アルの冷めた反応をものともせず、エドは頬を染めながらズボンのポケットから銀時計を取り出した。
「あれ?まだ持ってた‥?」
驚くアルの左手を取ると銀時計の中からリングを取り出し、その薬指にエドは恭しく指輪をはめ、外れないように錬成してまう。
「兄さん‥‥」
「安心しろ。お前に反応し無いよう、下準備をしたんだ。」
スカーの施した延命の為の1つの選択。
賢者の石となったアルに、天才と呼ばれるに相応しい才能を開花させたエドは、無意識に錬成反応を触発しかねない為触れる事すらできなくなっていた。
「マルコーさんのところとか、ラッセルの研究室から前にちょっとな。」
立ち寄った時、研究にと其々の場所で少しずつ頂戴した赤い水を、錬成反応がアルへと連鎖しないよう緩衝材として使ったのだ。
かつて苦労させられたそれら赤い水を持ってしても瞬時に霧散させてしまうほどに、エドの錬金術は強大になっていて、
「それって、火事場泥棒って言うんだよ。‥まぁ、いいけど」
アルは兄に振りかかるだろう運命に心を痛めながら、悟られないように別の事を口にする。
赤く染まった蒸気はすぐに拡散し、その下から現れた白金のリングが現れる。
「‥アル?その、邪魔になら無いようにしたつもりだけど」
アルの見つめる左薬指は指輪と融合していて、色だけが指輪の存在をそこに知らしめているだけで、決して邪魔になる事は無かった。
「アル‥?」
黙ったままのアルに、エドがそわそわし出す。
「じゃ、僕も。」
「え?」
「僕も兄さんに指輪を」
「ぇえっ!?」
心底驚いて、エドはアルを見つめた。
「お前が?俺に!?」
エドが確認する間も無く、アルは自分の左小指で赤い指輪を造る。賢者の石のリングを
「
なんて事するんだ!!」
思わずアルの左手を胸に抱き込んで、エドは怒鳴った。
理由など問題じゃない。アルの体が消える恐怖。それがたとえ髪の毛一本だったとしても、アルを失うという恐怖。
アルの行動、アルの気持ち。戻らない・戻れない恐怖のパニックに、知らず涙を浮かべながら、エドは愛しくて絶対の想い人を睨んだ。
「赤い糸は小指に繋がってるんだって。これで僕の糸は兄さんにしか繋がらない」
殺し文句ってこういうのを言うんだろうか。足元には断崖絶壁の底知れぬ暗闇が、目の前には優しい光が溢れている。そんな急転直下的気持ちの変動。
「そりゃ‥‥、ちがっ、お前が‥」
待ち望んでいた告白にどうしようもなく赤い顔で、でも失う恐怖にいても立ってもいられない様子で、エドは首を振った。
「いーんだよ、もう。女の子とは結婚できないし」
エドの動きが止まる。力の抜けた腕から、アルの左手がすり抜け、エドの顔からサーと顔色が引く。
「なんですか?」
「なにが?」
「女の子と結婚できないって‥」
「鎧なら兎も角、賢者の石ではね。諦めた」
「待て待て待て待て!弟よ。そんな気持ちで俺と結婚するの?」
「兄弟で、ましてや男同士じゃ結婚はできないの!指輪の交換は‥ううん。とにかく兄さんから貰った指輪は外れないし、外さないし‥‥。ああ、兄さんは好きにていーから。」
頬杖ついて明後日を見やるアルに、エドは慌てる。
振られるなんざ覚悟の上。一度や二度で、いや何度振られようが諦めるつもりはエドには更々無いので、断られた事にダメージは無い。アルは自分を好いていると、自惚れと言われようが信じている。好きの種類が違うなら、自分と同じ想いにさせる気概をエドは持っているのだ。
けど、今のアルは?
「いやだから。今すっごく大事な場面なんですけど。」
エドの目を見ず、全てに投げやりにみえる、アルらしくない態度にエドは焦る。
「兄さん、指輪の内側になにか掘ってあったよね。僕にくっ付けちゃったから見えないや。勿体無い」
「それはもう心に刻んであるから‥、違う!俺の話を聞け!!」
「兄さんにしては良いセンスだね、この指輪。あ、大佐に選んでもらったとか?」
「ふざけんなーっ、なんであんなヤツに‥じゃねぇっ、アル〜俺の話‥」
「それともホークアイ中尉の方かな」
「素材選びから誓いの文句まで、全部俺製!‥いやそれは置いといて!お願い、俺の話を聞いて下さい〜」
「何時もと反対のパターンですね。」
「ホント、めっずらし〜。あれはたぶん、そーとー怒ってるわね、アル。」
双眼鏡片手、ポテチ片手にロックベル家の2階ベランダから、ウィンリィとシェスカは二人の様子を観察していた。
「あら、観察じゃないわよ。監視よ監視。いつ軍が拘束に来るか分らないでしょ!?」
「誰に言ってるんですか?ウィンリィさん。それより、進展有りです。」
「‥‥、指輪を‥僕にくっ付けたって事はさぁ、兄さん。僕を‥人間って思ってない‥」
「
どーしてそーなる!俺はただ、絶対お前と離れないように‥」
「人に対しては、錬金術は効かないよ‥」
「!」
俯いたエドに、アルはやっと視線を戻した。
「ごめん。そーゆーつもりは本当に無かったんだ。」
「うん‥分ってる。僕こそごめん。ただちょっと‥‥、ううん、ヤツアタリだ。ごめんなさい。」
『ただちょっと、僕は人から随分と離れた存在になったんだなぁって‥改めてそう思っただけ‥』
言葉にしたらもっと大切な兄を悲しませてしまうだろうと、アルは飲み込んだ。
そんなアルを覗うように見つめた後、エドはアルの左手から指輪を外そうと慎重に手を伸ばした。その手をアルが無造作に掴む。
「兄さんが僕を人に戻してくれたら、指輪、とれちゃうね。」
優しい響き。
緊張していたエドの力が抜ける。
「アル‥」
「それまでは付けておくよ、この指輪。元に戻ったら‥」
アルは大事そうに自分の左手を撫でた。
「また、はめてくれる?」
「‥ッカヤロ‥、抱き付きたくても俺は今、抱締められないんだぞ!?嬉しい事言ってんじゃねーよ。」
「ありがと」
「お礼じゃなくて!ああ、もう。俺‥我慢してんだから、お前も無造作に俺に触んじゃねーよ‥」
「うん、ごめんね」
「‥っから、可愛い事‥言うんじゃねーって‥」
「可愛いかなぁ?‥あ、兄さん。日が暮れてきて少し肌寒くなってるんじゃない?戻ろっか?」
伸びてきたエドの手がアルの腰布を掴もうとして、とまった。
「も少し‥このままで‥」
力の入れ過ぎで震えるエドの指先を見つめながら、うん とアルは頷いた。
それから‥?
それからの事なんてどうでもいい!
エドは廃墟の床に残された指輪を拾うと、握り締めた。
鎧の指に合わせた大きい指輪は、今はその裏側に彫られた文字を空気に晒している。
エドの誓いを。
【貴方を行き返らせる為にアルは‥】
賢者の石の無いここには、最早ダンテの姿も無く。アルを拘束していた錬成陣の跡だけが残っている。
エンヴィーに刺された胸に手をやりながら、エドは握り締めた右手を開き指輪の誓いを親指で辿った。
【元に戻ったらまた、はめてくれる?】
「ああ。ああ!絶対はめるさ。お前の指に、俺が。」
エドは指輪のサイズを錬成し直して三つ編みの紐に結わえると、しっかりと自分の髪を結んだ。
今一度、アルの取り戻してくれた右腕と、アルのくれた指輪を付けた左腕を見る。
「頼むぜ、賢者の石。」
エドは赤い指輪に口付けると強い決意で、前を見据えた。
パン
生身の両手が高らかに鳴り、溢れた光がエドを、そしてエンヴィーを飲みこんで消えた。
「行くのか?エドワード。」
「ああ。そこに希望がある限り。」
ロンドンでの、この世界での生活も理解し、エドは帰る為に動き始める。
「大丈夫なのか?」
ホーエンハイムの問いかけに、エドは左手を上げてみせた。
その薬指にはくすんだ紅の針金が巻き付いている。
『門を開けたせいでこんなんになっちまったけど、この石は、きっと‥』
「いや、俺が絶対にしてみせるさ。」
じゃあな
エドはホーエンハイムに笑うと、もう振り返らなかった。
同じ14年ネタのギャグだったはずなのに、あれ?あれれ〜?(笑)
2004/10/31 Shangri-Laを
征く者(アニメ版)
「すっげぇ腹が立つ事に。」
エドの握り締めた拳はその怒りの為か、細かく震えていた。
「不本意だし、口を聞くのも視界に入れるのも嫌だけど。だけど、あんたにしか聞けない‥」
俯いて自分の足元を睨みつけている息子を、ホーエンハイムは感慨深げに見上げた。
愛する故に家を出た自分だが、エゴである事に変わりなく。
母を愛し思い遣る息子の憤り、悔しさを寂しいが仕方ないと受け止めていたホーエンハイムは、家へ続く道を見下ろせるこの野原にひっそり立つ木の根元に腰を下ろした自分を探し、エド自ら声をかけてきた事に、すでに胸を満たされていた。
「エドワード‥」
「‥俺達は知り合ってから、もう14年にもなる。」
ホーエンハイムの思慮深い声に、子供っぽいと思いながらもエドは顔を背ける。その目元が僅かに薄紅色を呈しているのが初々しいと、ホーエンハイムは思った。
「そうか。そんな歳になったんだな。」
ホーエンハイムは指を折り、目を伏せた。
「結婚できる歳じゃないけど、それまで待てない。俺達の時間は不安定で、いつこの手を離れてしまうか分らない」
エドの視線の先、右腕の袖に隠された機械鎧をホーエンハイムも見た。
「お前達に振りかかっているたくさんの問題の少しでも、減らしてやりたいが。」
ホーエンハイムはエドの右手を取った。
「だが人生は自分で切り開かなければ意味が無い。」
「そんな事は分ってるし、期待もしてない。」
エドの声にいつもの自信が戻り、ホーエンハイムは一度しっかり右手を握るとゆっくり手を離した。
「先ずは俺かアルを養子に出してくれ。」
「‥‥‥え?」
「兄弟だと結婚できないだろ!?だから一度籍を抜いてから改めて」
「‥お前‥」
ホーエンハイムはエドの右手を引っ張ると、自分の前に座らせた。
「随分久しぶりの更新だって言うのに、そんな話題しかできないのかい?」
「随分久しぶりだからだろ!?ずっと待ってたんだ俺は!」
親指で自分を指すエドに、些か疲れを滲ませながら、ホーエンハイムは口を開いた。
「結婚したい相手はアルフォンスだと?」
エドははっきりくっきりこっくり頷いた。
「14年。14年だぜ!?も〜食べちゃいたいくらいぷりてぃベビィちゃんの頃から、そりゃ〜清楚で可憐で腕っ節も強く成長した10歳の頃、そして鎧の姿形でもとろけるように甘い声と可愛い性格とくりゃ、結婚するしかないだろう!」
頬に手を当て恥らったり両手を胸に当て思い返したりと、ここに幸ありを撒き散らすエドに
「そう言えばお前、やたらアルフォンスにすりすりしていたなぁ。毎朝毎晩真昼間もキスも欠かさなかったし。」
トリシャの思い出に彩られた記憶につられ、ホーエンハイムの頬も弛む。
「でも〜それって同じじゃないですか?」
突然入った合いの手に、親子は揃って振り向いた。そこには困りながらも興味津々のシェスカが立っていた。
「籍抜いて、改めて入れ直しても、お二人が兄弟である事には変わりないと思いますけど。男同士だから。」
シェスカの言葉にエドはふらっと立ちあがると2〜3歩よろめく。
「ああ、まだ法律では同性の結婚は認められていないんだねぇ。」
世間知らずの親父の胸倉を掴み、エドは引っ張り上げた。
「何とかしろ!くそ親父!!」
「なんとかって言っても法律はなぁ」
「俺はアルを愛してんだ!あんただって母さんを愛してたから、いろいろ悩んだり考えたりしたんだろ!?」
「そうだ!愛している事が大切なんだ。お前もアルフォンスを愛し続けなさい!」
自分の襟を握るエドの両手を、ホーエンハイムはガシッと握り締めた。
正義は我にあり な二人の影響を、しかしシェスカは受けなかった。
「それは倫理的にどうかと思いますが‥。ああ、それで疑問も思い出しました。アルフォンス君て、エドワード君より強いんですか?」
倫理なんてくそくらえ とエドが叫ぶなか、ホーエンハイムとシェスカの視線が集まる。エドは咳払いをすると仕方なく頷いた。
「じゃ、アルフォンス君て、エドワード君より背が高いとか?」
「ちがっ、母さんの錬成時のアルの背は俺と同じぐらいだった。」
「エドワード、身長なら父さんもなんとか手を貸してやれるかもしれないぞ。」
「ホント!?‥いやいやいや、そんな事にあんたの手を借りない。あんたは俺とアルが結婚できるようにしてくれれば良いんだ。アルは俺が戻すし、仮にアルが俺より背が高くなっても押し倒せば同じさ。」
一瞬エドは瞳を輝かせたが、難しい顔を作ると微妙に口元を引きつらせた。
「でもアルフォンス君て、エドワード君より強いんですよね!?」
「「‥‥‥‥ 」」
「だ、大丈夫だよ、エドワード。アルフォンスに兄さんになら押し倒されても良いと思わせるほど、お前が愛せば良いんだ。」
「そうだよな!?俺がアルを愛し続け、アルにも俺への愛を自覚させれば良いんだよな!?」
「アルフォンス君が愛に目覚めたら、反対に押し倒されたりして」
「「‥‥‥‥‥ 」」
理想郷への道は険しく遠いようだ
7月竜のアンモナイトが殻に篭っていたのでつまらんネタでもあったものが次々消滅(忘却とも言う:苦笑)。そしての更新がこんなモノかい!(汗)。誰か7月竜の頭とアンモナイトを直してもらえませんか(涙)
2004/10/3 アニメ第50話「子(し)」
「気付かなかったのか?ここは門の向う側だ。」
20世紀初頭、大戦さなかのヨーロッパにエドはいた。実の父、ホーエンハイムとともに。
ダンテによって開かれた真理の門を潜り、精神と魂だけがこの世界へと。
「この体は?」
自分で動かせるが、決してエドのものでは無い体。
「この世界は錬金術が発達しなかった点が違うが、我々の世界とほとんどそっくりだ。だからお前そっくりの子供もいた。たぶんどこかにアルそっくりの子供もいるだろう。お前の精神と魂だけが門を潜り、お前の体はまだ門のうちにある。今ならまだ間に合う。胸の門をあけて元の世界へ‥エドワード?どこへ行く気だ?」
「どっかにアルがいるんだろ!?」
「それは‥たぶん。だからって、どうする気だ?」
「どこの世界でもアルは俺のだ!探し出して、傍にいるんだ!」
「‥‥‥、エド。」
ポンとホーエンハイムはエドの肩に手を置いた。
「ここは似ていて異なる世界なんだ。アルがいても、お前の弟じゃない。」
「俺の弟じゃなくても、アルなら俺の傍にいるんだよ!」
「だから!ここのアルにはアルの人生があって‥」
「ここのアルの人生をここの俺と一緒に過せば‥‥でも、嫌かも!?この俺は、俺じゃないんだし‥、いやいや、俺はいつでもアル一筋だぞ!親父とは違う!!」
「‥エド、言っている事が支離滅裂のようだが?」
「でも、この段階でここのアルはここの俺と関ってないんだし‥そうだ、お持ち返りってのも」
ぶちっ
「とっとと帰れ!このバカ息子!!」
豆電球を灯したようなエドの閃きに、ホーエンハイムは、コメカミから血を吹き出しながら最後の練成・門を呼び出し外へとエドを蹴り出した。
「門が消えない!」
門に拭いきれない威圧を感じ、エンヴィーが苛立った声を上げる。
その時
ラースを処分する為ダンテが呼び出した門は、重い軋みを上げてエドを吐き出すと、ようやく消えていった。
「エド?どうしてここに‥」
魂と精神と肉体の融合の衝撃を堪え、エドが薄く目を開く。
そこに
「アルっ!」
「おっと。」
体勢を立てなおし駆け寄ろうとしたエドを、エンヴィーが邪魔をする。
「門の向うから帰ってこれたと言うの‥?どうして」
「アルっ、兄ちゃんはお前一筋だぞ!」
「「「は?」」」
ダンテもエンヴィーもアルまでも、思考が真っ白になる。
「門の向うにお前がいても、俺のアルはお前だけだ!」
「門の向うって‥そう言う世界なの?」
「さぁ?門の向うよりこの兄弟のあり方の方が問題だと思うわ。やはり母親のせいかしら!?同じ兄弟でもエンヴィーはまともな訳なんだしねぇ。」
指差すエンヴィーに対し肩を竦めたダンテに、アルが口を尖らせる。
「違います!ヘンなのは兄さんだけです!兄さんも現実に戻ってきてよ。母さんが悪く言われちゃうじゃないか」
「できれば向うのお前を連れてきて、向うの俺とくっつけるように手回ししたかったんだが、くそ親父が邪魔しやがって‥すまん。アル」
「だから戻ってこいってば」
身動きできないアルの叫びはどこまでも続く。
シリアスをこんなにしてスミマセン。意味深な部分でしたが、アルそっくりさんもいるってとこが妙に‥えぇ、妙にね、ふふ(遠い目)
2004/9/27 銀時計鉄道 九九九(ぎんどけいてつどう さんきゅう) アニメバージョン
「取り戻しにいくのか?元の体を‥」
アルは静かに微笑んだようだった。帽子の下からのぞく冑飾りが頷く動きに合わせて揺れる。
「いつか僕が貴方の傍に戻っても、貴方は僕に気付かないでしょうね。」
「そんな事は無いさ。アルだったら、たとえどんな姿をしていても俺には分る!」
そっとエドワードはアルフォンスを抱締めた。
「それ、嘘じゃない。体格的に。」
突然頭上からかけられた声に、エドは飛び上がった。
「おまっ、いつの間に‥」
後ろから覗き込むウィンリィに、エドは真っ赤になって指人形を外すと、背に隠しながら立ち上がった。そのエドの背後に回りこむように背を屈めると、ウィンリィはエドを見上げながら意地悪く笑った。
「隠す事、ないじゃない。続ければ?それ、銀鉄のパクリでしょ。」
「うるせぇっ。」
「いいの〜?この後が一番の山場なんじゃないのぉ?」
「うっ‥」
確かに。この先がやりたくて、置かれている状況も省みずエドはわざわざ錬成したのだ。賢者の石となったアルを隠す為戻った故郷・リゼンブールでアルフォンス1/8指人形を。
「あれ?ふたりともこんなところで何やってるの?」
謀ったようにウィンリィと反対側から現れた大きな影。思わずエドは手の中の物を取り落とした。
それをアルの鎧の手が拾い上げる。
「これ、僕?兄さんが造ったの?」
エドはだらだら汗を流しながらも、振りかえらない。振りかえれない。
「でもどうして、鎧なのに黒い帽子と黒いドレスを着てるの?」
「それはねぇ、アル。銀時計鉄道九九九に出てくるメェテルのコスプレをエドがさせてるからよ。」
エドの肩に腕を乗せて、ウィンリィがアルに答える。
「ああ、マンガだよね。昔見た‥、あれ?でもどうして僕がメェテル?」
「エドはアルにメェテルをやってもらいたいらしいわ。反対の手に鉄ろーコスしたエドも持ってるでしょ。エド鉄とアルメェテルで、最終回の駅での別れをやりたいらしいのよ。」
「別れ‥‥」
アルが人形を見ている事に気付いたエドは慌ててアルの腕に縋りついた。
「違う!そこじゃなくて!別れても戻ってくるって。そんでもって別れ際にぶちゅ〜と」
「あんたそれ、違う話よ。映画版でしょ!?」
「え?」
「話ごちゃごちゃよ。合ってるのは、そうねぇ。鉄ろーもあんたみたいに豆だった事ぐらいかしら。メェテル屈んでキスしてたもんねぇ。まあ身長差はそれに値するかな。」
ウィンリィがアルを見上げるのに、エドがそっぽを向いた。
「い・いいだろ!?夢くらい見てもっ」
「ふ〜ん。兄さんの夢って、僕が元の体に戻りにどっか行ちゃう事なんだ!?」
「え?」
子供の頃、エドと一緒にテレビを見ていたアルも当然最終回は知っているわけで。
アルは人形をエドに返すと、背を向ける。
「わかったよ。」
「違っ!、やりたいのはそこでもなくて‥」
追いかけるエドの目前で扉は閉り、アルは家の中へと入ってしまった。
「アル〜〜〜ぅ」
「泣くぐらいならバカな遊び止めなさいよ。」
涙を止められないエドに呆れながら、ウィンリィは整備に使っていた布でエドの顔を拭いてやる。
そこへアルが黒い帽子をちょこんと乗せて家から出てきた。
「アルぅ」
尻尾を振らんばかりの勢いで、瞳を輝かせるエドを一瞥し、アルは優しい声で言った。
「さようなら、兄さん。いつかお別れのときが来ると僕にも分かっていました。
僕は青春の幻影、錬金術師にしか見えない時の流れの中を旅する鎧。
この先兄さんが、もっと錬金術を極め、全てを取り戻せばそれでいい。僕はそれでいいんだ。
さようなら、兄さん。あなたの青春と一緒に旅をしたこと、僕は永久に忘れない。
さようなら、僕の兄さん。
さようなら。」
ロックベル家の裏庭に響くアルの裏声とともに、乗せていただけの黒い帽子が風で飛んでいく。
「少年の日が二度と還らないように...アルもまた去って帰らない。人はいう、錬金術はエドの心の中を走った青春という名の銀時計だと...。さらば、アルフォンス。さらば、鋼の錬金術師。・・・・そして
少年は大人になる。」
「
なに、勝手にナレーション付けてんだよ!」
あまりのショックに膝を突いたエドは、半泣きでウィンリィの足をつつく。
「あんたがやりたかった最終回でしょ。」
「
違うやい!」
ぐすぐす鼻を鳴らす国家錬金術師に、ウィンリィはどうしようもないと首を振った。
「そんなことより、いいの?アル、いっちゃうよ!?」
ウィンリィが指差す方、アルの姿は既に消えていた。
「アル〜〜〜ッ、カムバ〜〜〜ック!」
「だから話が違うって。」
その足でアルがカッターを尋ね無謀な錬成に望むのを、エドが止められたかはTVで確認して下さい(爆)。
ラブコメねた第3段(ラブコメか?これ!?)
2004/9/25 アニメ第49話 扉の向うって‥
片手で突っ込んできた鎧を受け止めると、軽くいなす。
「おいおい、大切な体だから。無茶するなよ。」
エンヴィーは床に横たわるアルの上へと身を乗り出す。
ここは古い異教徒の教会の地下。幻の街の一室。
「これから幾らでもたのしめるんだからさ。」
姿勢を戻し、ベッドに座りこむとエンヴィーはくすくす笑った。
「た・楽しめるって、なにを‥」
「何をって、なんなら今からする?」
「ちょっと待ったぁ!」
突然響いた声に窓側を見ればドド〜ンと心理の門が表れ、扉の中からホーエンハイムが這い出してきた。
「お前‥っ」
「エンヴィー、僕はそんなホムンクルスにした覚えはないぞぉ」
怒りを滲ませたエンヴィーの声より大きく、ホーエンハイムは叫んだ。
「
おめぇが造ったんだろうが!」
「そうだ!わが息子よ。弟に手を出してどうする。そんな事、この父が許さんぞ?」
「
誰が父だ!誰が!?」
思わぬ展開にエンヴィーの声が裏返る。
「ええ?このヒト、僕のお兄さん?」
「お前もノリいいな‥。」
アルの反応に気分をそがれ、エンヴィーは頭をぼりぼり掻くと、冷静さを取り戻した。
「まぁ、兄弟っちゃ、兄弟になるかもな。」
「
それは許さーん!アルの兄ちゃんは俺だけだ!!親父も妙なもん造ってんじゃねェ!」
壁に扉を錬成し、現れたエドに、エンヴィーはウンザリした顔を向けた。
「あんたもどっから‥」
出て来るんだよ と続けようとした言葉は、ホーエンハイムの反論に立ち消える。
「それを言うならお前達の造ったトリシャはなんだ。母さんはもっともっと
もっと可愛いぞ!」
「
こンのくされ親父がぁーーーっ」
「だからさぁ、あんたら‥、今出番じゃ無いッしょ。親子だなぁ。」
「それを言うならお前も親子・兄弟だろう!?血は争そえんな。すぐ弟に手を出そうとする‥、不純な動機でアルに手を出すのは控えてもらおうか。」
正規の扉からは何故か炎の錬金術師が花を背負って現れる。
「どーやったらここにあんたが現れられるんだよ。いくら妄想だからって無茶しすぎ。」
「子供(アル)を信じ守ってやる。それが友の残した言葉だからだ!」
エンヴィーの言葉に前髪を梳くと、ロイは胸を張って言い返した。
「ヒューズさんが泣くよ!?、そんな風に使うと‥」
はぁ〜とエンヴィーは額に手を当てた。
「というよりまるっきり私情じゃないか?」
「マスタング君、アルフォンスとの交際は僕を通してから‥」
「わかってます、お父さん。」
「誰が父さんだ!親父もアルの交際ってなに言ってんだよ!!アルは生まれた時から俺のものって決まってんだよ!」
「それより、誰かこの状況を何とかして‥」
縛られたまま、話の外に置かれたアルは小さく小さく薮蛇になら無いよう祈った。
こんなんで最終回は迎えられるのか?アメストリスの明日はどっちだ!
エンヴィー‥行動とセリフが怪し過ぎ(笑)。ところでどなたかzenkoku3の暗号入力できた方みえますか?全角って言われたけど、やっぱり7月竜は入力できません‥
2004/9/17 ダチに7月竜はアルエドだよ、と言われたので書いてみたけど(笑)?
「兄さん!兄さん、どこ?」
普段からは想像できない騒々しさで、帰って来るなり大声を上げるアルフォンスに、エドは慌てて浴室から飛び出してきた。
「どうした、アル?」 『ハボック少尉から話を聞いてきたか?』
「兄さん‥‥」
自分を見るなり言葉を詰らせるアルに、エドは安心させるように微笑むと、近寄ってアルの大きな手を取った。
「どうした?」 『ほら、よく見てくれ。俺はまっさら。このままだと危ないだろ?』
ん? と問い掛けるエドに、アルは膝をつくと、エドを見上げた。
ゆっくり。鎧になってからは誰に対してもどれに対しても、慎重に、ゆっくりとアルは手を伸ばすと、そっとエドに触れた。
「アル?」 『大丈夫だから。俺は壊れたりしない。』
「兄さん‥」
言葉を継げないアルに、エドは手を伸ばすと冑を両手で抱きしめた。
「軍では先輩の命令は絶対なんだって?それがどんな事でも‥」
「あ?あ、そうだなぁ‥」 『そう言うように頼んだからな。』
エドが考えるように上体を少し起こすと、アルが腕を回してエドの体を引き寄せた。
「でも例外があって‥既に他人のものなら、その、そういった命令を聞かなくても良いって。トラブルになるから‥」
「そういった命令って?」 『承知で意地悪く聞いてやる。言葉にすらできないのか!?可愛い過ぎだよ、お前』
抱締めると言うより、触れるか触れないか程度の力で、鎧に慣れるまでに身に付いてしまったその仕草で。自分に手を回すアルに、頬を寄せながらエドは悲しげに、でもうっとりと目を閉じた。
「だから!‥‥‥」 『うん。さ、言ってみて。』
小さい声の叫び。
「だから?」 『焦って気付かれないようにしないと。でもさ、お前を追い詰めてもたい。口には出来ないけど。』
アルの腕の中に居るという事。
その至福に普段からは考えられない気の長さで、エドは言い澱むアルを焦らせないよう、落ち着くようゆっくりと促す。
「先輩の命令だったら夜の伽を努めなければならないって‥、兄さん!」
パッとアルが腕を離し、エドは言いようの無い喪失感を味わいながらも真直ぐ立って、アルを見下ろした。
「兄さんがそんな目に合うのは駄目だ!命令でだなんて、絶対間違ってる!!」
アルはエドを真直ぐ見上げた。
「誰かのものなら、そう言う命令を聞く必要が無いのなら。」
アルの強い決意が伝わってきて、エドは瞳を見開いた。 『ドクドク言ってる。俺の心臓‥』
「アル‥‥」 『分る?すっげぇ嬉しい!!嬉しいよ!?アルフォンス‥』
「兄さんの大切な人が現れるまで、僕が守る!僕のものにして!!って、兄さん?」
分を越えたと怒られると思っていたアルは、艶然と笑うエドに途惑った。
「兄さん、あの‥僕、本気なんだけど!?身のほど知らずな事言ってると思うけど、それで兄さんを守れるなら‥兄さん?聞いてる?」 『聞いてるよ。ああもう、どうしようもなく、お前が欲しい。』
両手をアルの肩において、幸せそうに微笑むエドに、アルは困って座っていた腰を少し浮かした。
「あ!それとも兄さん、もう大事な人が!?両想いの人が居る‥?」 『居るさ。今手の中に。』
アルが立ちあがる前に素早くエドが足を払い、バランスを崩したアルは、自分に手をかけているエドごと後に倒れかけ、咄嗟に両手でエドの腰を支えると衝撃から大切な兄を庇った。
「何するんだよ、兄さん!?危ないじゃないか!怪我でもしたら‥」
「守ってくれるんだろ?」
「それは!その心構えはあるけど、兄さんが自分から危ない事したんじゃ、守るにも守りきれな‥」
エドが冑にキスを落し、意表をつかれたアルは言葉をとぎらせた。
「お前のものに、してくれるんだろ!?」 『お前だけだから。』
「公言するつもりだけど‥兄さん?」
冑を取られ脇に置かれて、アルは不安に駆られる。
「兄さん?あの?怒ったの?って、何して‥」
ブレストプレートを外され、露になった内部に、エドが両手をつく。
「兄さんっ!?」
焦るアルの声に含笑いながら、エドは上体を鎧の中へと屈めた。
「お前のものになるから、お前も俺のものになってくれよ。」 『ごめん、アル。俺は今からお前を‥』
「ちょっ、兄さん!?何やって。兄さん?兄さん!!」
「よっ、大将。アレで良かったのかい?」
「ああ。
もうばっちりだぜ。さんきゅう、少尉。」
翌日、出発前に軍に顔を出したエドの様子に、ハボックは深〜く紫煙を吐き出した。
「聞くまでも無いか。」
「おい、ヤツのあの浮かれようはなんだ?」
頭をガリガリかきながら、エドの後姿を見送ったハボックの真後ろから今は聞きたくない上司の声がかかる。
「
げっ、大佐‥」
「何を焦っている?」
「いえ、なにも。ホントですぅ〜。」
『エドに頼まれて嘘の情報をアルに流したなんて言ったら、しかもその目論みが成功したらしいなんて言ったら』
減給どころか殺されるかも〜〜〜
「ハボックぅ?」
「ですからホントに何も。」
「ハ・ボックぅ〜?」
「わ〜、知りません知りません!エドがアルに何をしたかなんて、ホント!知らないんですぅ。俺はただ、言われた通りアルに伝えただけなんですぅ〜、殺さないで〜〜」
「兄さん、昨日はいったい僕に何をしたの?」
「あ?そりゃお前が俺をお前のものにするって言うからさ。」
「それは、”兄さんが僕のものだ”って言えば良いだけの事だろ。」
ぷっ と笑ったエドに、アルは足を止める。
「なんだよ。違うの?」
「お子ちゃまだなぁ、
カワイイ!」
自分の腰に手を回して浮かれるエドに、アルは心の中で眉を顰めた。
エドがなにをしたか
元に戻ったアルの背・鎧の時血印のあった場所に、エドアルと書かれた相合傘の印が現れ、恥ずかしくてエドとふたりきりの場所以外では素肌を晒せなくなり、アルはエドの言う”所有”の意味を知った。
「責任とってよっ、兄さん!」
半泣きのアルにエドは楽しそうな顔を寄せる。
「ああ!一生かけて、な。」
「そんな印はすぐに消せるから、何の問題も無いんだよ!?アルフォンス君」
「そうよ!アル。そんな落書きがあったって、あんたは誰のものでもないんだから!ね!エド!?」
勿論、相合傘程度では。いや、仮にそれ以上の事があったとしても、顔を引きつらせてエドに報復したあと、優しくアルの肩を抱いた人達とエドとの抗争に終着点は無い。
これってアルエド?(爆)確かに7月竜にはエドがアルを愛しまくってる事が、全て何だけどね(笑)。勿論エドはアルが飛び込んできた理由を知ってます。用意周到にもシャワー浴びて待ってました(笑)。会話も楽しんでる悪いヤツです。自分を好きだと言ってもらえない7月竜のエドは、アルに抱締められたりするのが、好きだといわれているようで大好きです。エドとしてはアルが自分のものであればどっちでも良いんだろうけど(でも攻め;爆)、7月竜のアルでは望めなかろう‥。どこかにこっそり兄の心情も書いてあったり(爆)
2004/9/15 第四七話「錬金術封印」
「何故、俺ばかりを狙う?」
「お前がアイツの血を引いてるからだッ!」
忌々しげに叫ぶと瓦礫と成りつつある建物の、中2階へエンヴィーは飛び移り、階下のエドへと容赦無い攻撃を仕掛ける。
人には出来ない、ホムンクルスならではの連続した攻撃に、後方へ避けたエドは体勢を保てず、片膝をついた。
「僕だって父さんの、ホーエンハイムの息子だ!そりゃ、今はこんな格好で、血すら流れてないけど」
エドを庇い、その前に立ち塞がったアルに、エンヴィーは攻撃体勢を解き、腰に手を当てると余裕の笑みを浮かべた。
中2階から左右に分れ、2階の渡り廊下へと伸びる階段には、ステンドガラスが填められ、差し込む光が色取り取りにエンヴィーの悪意を幻想的に演出していた。
「お前は、俺が人間になってから、じっくり可愛がってやるよ。」
エンヴィーの言葉に対峙してアルが身構えると、2回の左奥からパタパタと足音が聞こえてきて
「ちょっと待ってよ、エンヴィー。その鎧は僕がエドから体を貰った後で、僕の物にするんだから。」
ラースが。続いてラストとグラトニーが現れる。
「ハン。たかだか十数年しか生きてないお前が何、生意気言ってんだよ。お前はスロウスの尻にくっついてろ。」
「あんたこそなに、とち狂ってるの?その子も憎むべき兄弟じゃなかったのかしら!?ホーエンハイムの子供には違いないんだから、あんたが可愛がる相手じゃないでしょ!?その子はね、スカーがわたしにくれたのよ。」
「ボケたのかよ、おはばん。」
エンヴィーの額にラストの指が刺さる。
「あのねあのね。食べて良い?」
「バカヤロー!だからアレは俺様が人間になった後に楽しく戴くんだよ!悲鳴も嗄れ果てるほど鳴かせてやるのさ。」
「でも僕もう、ちょっと食べた事あるよ!?」
「その食べるじゃ無ぇッ。」
「鎧をどうやって喰べるつもり?」
反対側から現れたスロウスにラースが宙を飛んで抱きつく。
「だよね。僕は鎧のままで全然構わないもん。」
「お前等も、いやスロウスは分って言ってるな‥、ラース、食べる意味が間違ってんだよ。」
「そういう意味では間違ってるのは、あんたでしょ!?エンヴィー」
ラストが疲れたように言うのへ、今度はエドの後から新たな提案が発せられた。
「では、”勝った者がアルの所有権を得る”というのはどうかね?」
「うむ。妙案だな、マスタング大佐。許可しよう。」
マスタングに続いてブラッドレイが現れる。
「大佐?どうしてここへ?」
「いや助ける機会を伺っていたんだが、見過ごせない展開になったのでな。」
頭の後ろへ手をやり、アルにヘラッと笑うと、ロイはすぐに勝負師の顔になって、ホムンクルスを見回した。
「おい、プライド。お前もあの人を裏切る気か?」
「何を言うエンヴィー。賢者の石はあの人の言う通りこれからも作り続けるさ。でもアルフォンス君はぜひわが軍の保健室で」
エドを庇うよう立っていたアルが、どう対峙していいか分らず、エドへ声をかけた。
「兄さん、僕、この人達の言ってる意味がよく分らな‥兄さん?」
ゆらりと立ちあがったエドから本来見えないはずの只ならぬオーラが立ち昇る。
「兄さん、あの‥?」
「
お前等ぁ〜‥‥」
この日発生した火の7日間によって、国家レベルで錬金術は禁忌となった。
いや、なんでエンヴィーはエドに拘るのかなぁとか、スロウスはやたらエドに対峙するなぁとか、ちょっと不満が‥。主人公だから、でも主人公なだけじゃないの?とか‥でもエドファンなんですがねぇ(自分以外の誰も言ってくれないけど;笑)
2004/9/13 ガンガン10月号ネタバレ妄想
「エドワード・エルリック。」
アームストロング少佐に半ば拉致され連れ込まれた先。エドが置かれた状況を理解・整理し、無理やり納得しようと努めている間に、鳴った電話を取った少佐は内容をメモるとエドに声をかけた。
「あ?」
理解も整理もできるが、感情を納得させるのに手間取ったエドはやや不機嫌そうに振り向いた。
「マスタング大佐から連絡が入った。」
ピラっと渡された紙を大儀そうに読んでみる。
「あ〜、ナイスバディのアナコンダを、蒲焼にして食った。美味かった?‥‥、なんだよ、これ。」
更に不機嫌さを増したエドに、アームストロングは真顔で答えた。
「これは盗聴に備えた暗号だ。おそらく大佐殿は、ウロボロスを1匹焼き殺されたのだろう。それよりも。その続きが、どうもな」
巨漢に似合わず優しいアームストロングが言葉を濁す事、それは‥
エドは素早く続きに視線を這わす。
「ジャックに豆の木を倒されると金のガチョウの呪いは解けず、人々は金の像に繋がれる?」
「う〜む、察するにエドワード・エルリックの身に何かあると恐ろしい事が‥」
「少佐、その俺を示す言葉ってのは、まさかコレじゃないだろうなぁ!?」
メモを激しく指差しながら赤黒い顔を寄せるエドに、アームストロングはヒゲを引っ張ると視線を泳がせた。
「まぁいい。」
エドは再びしわくちゃにしたメモを伸ばすと、内容を繰り返した。
「金のガチョウって、触った人が金に変わって繋がってくヤツだよな。呪い?」
「そのあたりは我輩にも‥」
「アームストロング少佐っ!」
腕を組んで首を捻っていたエドがやわら大声を上げた。
「エドワード・エルリ」
どうしたのか、と少佐が聞き返す前に、エドはアームストロングに掴みかかった。
「アルは?無事か?」
返事も待てぬ様子で飛び出そうとするエドの肩を掴むと、アームストロングは首を振った。
「くそっ」
握った拳を震わせながらも、置かれた状況を理解してしまったエドは、アームストロングの手を振り解きはしなかった。
「連絡‥」
「む?」
「確認したい。無事かどうか‥」
怒りに肩を震わせながら、なおその怒りを抑えこもうと俯くエドを眺めた少佐は、一息つくと電話を取った。
「済まぬが大佐まで繋いでくれるかね?」
幾人かを仲介した後、繋がった電話をアームストロングはエドに差し出した。
「えっと、もしもし?」
「キャサリンかい?困るなぁ、こんなところまで電話をしてきては。」
はっはっはっと笑う声が、何時もの生彩を欠いている事に、エドは気付いた。チラリと視線を走らせた先でアームストロングが女性のように口元を手で隠すのを確認すると、エドは眉を歪めながらも声のトーンを上げた。
「ヤバかったわけ?」
「いや、君の声を聞いたら元気が出てきたよ。」
げっ 気障。とエドが舌を出す。
「だって君にもしもの事があったら、あの子が傷付くからね。」
「ア‥の子がどうかしたの?」
態度こそ変わらないものの、エドの受話器を持つ手が白く筋立つ。
「年齢は子供でも、いや、子供なところもあるわけだが、外見通りではないって事さ。ずっと、あの子は怒っていたようだ、自分自身に。」
「なんで!?」
アルが自身に怒る理由など見当たらず、エドの表情が不信げに曇る。
「あの子のせいではないのだが、大切な人を守れなかった事を、不甲斐無いと怒っている。」
「誰だよ、大切な人って‥」
女言葉ももはや忘れ去り、苛立つ口調に僅かな嫉妬を嗅ぎとって、ロイも受話器の向うのロイの側に感じる気配も、そしてアームストロングも口元を綻ばせた。
「それはキャサリンの方が詳しいんじゃないのかい?君達はずっと一緒にいただろう!?君がストレートに悲しんだり怒ったりしていた事を、あの子も感じていたのさ、口には出さず、ずっと。もう二度と、同じ場面を見なくて良いように、自分を戒めていた‥」
エドの脳裏をフラッシュバックが走る。
【もっと研究すれば!ニーナみたいな不幸な娘を救う方法もみつかるかもしれないのに】
血を吐くような叫び。
「あの時から、ずっと!?‥」
エドの呟きに暖かい沈黙が返る。
「バッカじゃねーの?アイツのせいじゃねーのに‥」
自分だってそうだろう という言葉を飲みこんで、ロイは言葉を継いだ。
「だからキャサリンにもしもの事があったら、あの子は壊れてしまう。わかるね!?キャサリン。ぜひ!自重してくれよ。」
そこで少しの間が開いた後、聞きなれた、しかし僅かに涙声の混じるホークアイが電話を変わった。
「キャサリン?今日、わたしはあの子に助けてもらったの。凄いわね。灰すら残らない炎を何度でも防ぐ壁をあの子は‥見つけてくれたわ。だから、あの子を悲しませないでね。大佐の方はわたしが面倒を見るから、妬かずに大人しくしていて。」
そして切れた電話。
ツー・ツー・ツー
不通音を響かせる受話器を見つめた後、エドはアームストロングを見上げた。
しかし、アームストロングとてエドと一緒に行動しており、詳しい事情はわからないようで、溜息混じりに首を振った。
「ともかく、今日のところは全員無事だったという事だろう。」
今日のところは
エドは受話器を戻すと、両手で自分の頬を張った。
「明日も、明後日も。」
「む!?」
「ずっと無事にする為に、出来る事の続き、始めようぜ。」
らんらんと光を灯した瞳で自分を見上げるエドに、アームストロングは子供達の負ったものを思い苦く笑うと、力強く頷いた。
妄想ですね(笑)。アルの活躍もウィンリィの心配も大佐の根性もリザさんの想いも、そしてラストの美しさも美味しい展開でした。少し絵柄が変わったのが残念かも。先月号のロイ部隊(66含む)のやり取りやエンヴィー・グラトニーの可愛さも楽しかったなぁ。でも妄想(爆)。他にも色々妄想夢があるんですが、いつupできることやら(せんでええ!って?:笑)
2004/8/17 大問題
幼馴染
「ねぇエドぉ、知ってる?」
「何をだよ。」
「ちょっと、人と話す時はこっちを見なさいよ。」
「いててっ、耳引っ張んなよ!乱暴な女だな。これだからメカオタクは‥」
「なにブツブツいってんのよ、言いたい事があるならハッキリ言えば?」
「それより何だよ、話があんだろ!?パシパシ頭叩くな。」
「あ、そうそう。あのね、わたし達、映画になるんだって。」
「ふ〜ん。」
「ふ〜ん、って‥感動無いわね。」
「映画だろうが何だろうが、俺とアル、ふたり一緒ならどこでもパラダイス‥「2年後だって。」
「2年?って、その頃は俺達‥?」
「成長はしてるってよ。良かったね。」
「えv?何cm?やっぱ190cmぐらいは‥「でね。アルがいないの、あんたの隣りに。」
ズギャ〜〜ン
「アルがいない・アルがいない‥あ、そっか。元に戻って俺と「あ、そうね。元に戻ってわたしと結婚してるかもv」
「なに〜〜、何でそうなる!元に戻って俺とらぶらぶしてるに決まってるだろ!」
「らぶらぶなら何で隣りにいないのよ!?ヘンじゃない。アルは昔、わたしの事お嫁さんにするって言ってたんだから、元に戻ってわたしのハニーになってるの!」
『うっ、確かに‥。そうだ!アルを戻す時女にすれば良い!そうすりゃ、ウィンリィに盗られないし、世間にも堂々と恋人』
ゴスッ
「ウ・ウィンリィ‥頭に、なにか刺さってないか?俺‥」
「妙な事考える頭なら要らないでしょ!ま、もしあんたが、不埒な錬成をしても、ユリって手もあるしねぇ。セーラー服のアルにお姉様と呼ばれるのも悪い気しないし。」
「だったら男同士でも同じじゃないかよ!学生服姿のアルに”僕先輩のこと”なんて言われた日には、即保健室に連れ込んで「誰が先輩よ。あんた達、たったふたりの兄弟じゃないの!」
「そんな言葉に諭されるほど、俺の本気は半端じゃないぜ!」
「ユリ!」
「ホモセクシャルの近親相姦!」
「どっちも嫌です。」
アルの錬成陣が光を発すると、不届きな二人は水に流されていった。
2004/8/16 夢みる頃 7月竜夢アレンジ・アニメ43話mix
「お前達が軍に戻らず、リゼンブールへ逃げ戻った概要はわかった。ところでアル。」
いかつい口調が一転し、ロイの眦が下がる。
「君にプレゼントがあるのだが。」
「ちょお待て、大佐。勝手にアルに貢ぐんじゃねェ!いや、それよりアルって呼ぶんじゃねぇよっ。」
アルとの距離を測りながら、エドはそれでもロイとアルの間に割り込んだ。
「゛あぁ。エドにもちゃんとあるぞ。ほれ。」
ポスッと投げられた紙袋を咄嗟に受け取ってしまったエドは、大佐がアルにどでかい箱を手渡すのに我に返った。
「そう言う問題じゃねェっての!」
「なんだ?小さいのが不満か?仕方なかろう、体に合わせたのだから。」
「ちっさいゆーなーっ!!!」
暴れたいのは山々だが、それよりも!と、エドはアルの手から箱を奪い取った。怒りを抑え中身を確認するべく美しく包装された包みをビリビリ破く。
「‥‥‥」
蒲公英色のボディにペイントされたセーラーカラーが目に眩しい。
「鎧よね!?ソレ‥。」
ハボック達に捕われていた筈のウィンリィとシェスカがちゃっかり箱を覗き込んでいた。
「何のつもりだ!?」
エドの唸りに、しかしロイは真顔で答えた。
「身を守るために決まっているだろう!アルは今までにもホムンクルスに食べられたり、キンブリーにストーカーされたり、スカーに騙されたり」
「あの、スカーさんはべつに僕を騙したりは」
「そこがもう騙されてるのだよ、アル。」
「その意見には賛成だが、アルの手を取るんじゃねぇよ、このエロボケ大佐がっ」
「スイマセ〜ン、話の腰を折って悪いんですけど、どうして黄色なんですか?」
ウィンリィが手を挙げると、ロイはウィンを指差し良い質問だと頷いた。
「これは、食べられないように辛子を練り込んである画期的な鎧なのだよ、ミス・ロックベル。これでホムンクルスも食べられまい。」
「それ以前の問題なんじゃ‥」
「あの、僕はもう既に鎧だから、身を守る必要は」
「甘い!甘いぞ、アルっ」
ビシッとロイに指差され、アルは姿勢を正した。
「身の危険はいたる所に存在する!君の横にも。」
「なに俺を指差してんだ!ぁあ!?」
エドはロイに貰った紙袋を投げつけた。中からピカチ○ウの着ぐるみがこぼれおちて
「‥なんだ、これは」
「ひとつ前の流行らしくてな。バーゲンしていたんだ。サイズは丁度良いだろう!?」
「俺は1mかよ!?」
肩を震わせながらも妙に詳しい事を暴露するエド。
「それよりも!鎧に鎧を重ねるより、アルに銃器を内蔵した方がずっと美しくて攻守が備わるわ!」
瞳に星を瞬かせ、ウィンリィはうっとり手を組んだ。
「あの、ワタシも質問して良いですか?」
エド・ロイ・ウィンのやり取りを傍観していたシェスカがそろそろと手を挙げた。
「食べられてしまった部分はどうやって直したんですか?」
見つめられて、アルは頭を掻いた。
「それは兄さんとウィンリィが材料を集めてくれて、それを錬成してもらったんです。」
「って事は、材料集めれば他のものにも錬成できるって事ですよね!?」
「「「「!」」」」
「ガン○ム!」
「ミニスカのアルフォンス人形!!」
「迂闊だだった‥こうなる前に気付いていれば1/10スケールのアル人形を錬成し、そこへ血印を移せば持ち運びOKの《エド君の恋人;南君○恋人参照》ができていたのに」
元気になったウィンとロイを他所に、エドは頭を抱えて暗く膝を着いた。
「だったら俺はナイスバディの‥」
「いやいや、筋肉美の」
ガキッ と、撃鉄を引く音に舞上っていた軍野郎どもが静まり返る。
いつでも発砲OKの愛銃を肩に乗せ、ホークアイはアルに問いかけた。
「アルフォンス君は?希望は無いの?急だから思いつかないかもしれないけど、放っておくと」
「゛あ、それはできるかもって、前から思ってたんですが」
「なんだよ、アル〜、気付いてたんなら早く言ってくれたら‥」
「うん‥でも兄さんしか錬成できないわけだから、ディテールがね。」
「「「「‥‥‥」」」」
「やはり今のままがよかろう。」
咳払いして締めくくったロイにひとりを除き,、一同は深く頷いた。
「なんだよ、俺だってだな」
「じゃ、今やってみれば!?」
エドの足掻きをウィンリィが冷笑に伏す。
「それはできないんだ。僕が兄さんの錬成を増幅させてしまうから、兄さん、僕に触れないんだよ。」
「あっ、バカッ!アル、言うな!!」
控えめにエドをフォローしたアルだったが、その内容にエドが飛びあがった。しかしもう遅い。
「「「へぇ〜〜〜」」」
錬成陣の描かれた発火布を外すと、ロイはアルフォンスの肩を抱き、勝ち誇った笑みを浮かべた。
「なに、心配するな、エド。アルは責任もって私が守ろう。」
ハッハッハッハッ と、ロイの高笑いが響く中
「取り込み中悪いけど、鎧の形を変えるならア○ボはどうだろう?可愛いと思うけど!?特にERS−100シリーズなんか」
「ぬ、貴殿はどなたかな?」
林の向うに突然現れた人影に、アームストロングが身構えれば
「なっ、な・な・ななななな」
エドは指をさしたまましゃべれなくなり
「あ〜、ホーエンハイムさん。」
ウィンリィはポンと手を打った。
「これはこれは、お義父さんでしたか。」
「え?すると君はエド?それともアル?いつのまに髪が黒くなったんだい?」
「バカか、あんた!自分の子供もわかんないのか!いやその前に、なんで歳とってねーんだ!?じゃねぇ、おい、大佐!どーしてコイツがあんたの親父になるんだ!」
「アルのお父さんだろう!?敬意を表し、お義父さんと」
「うが〜〜〜っ」
頭をかきむしるエドを放っておいて、ウィンリィはホーエンハイムの服を引っ張った。
「あの、ホーエンハイムさん。エドはそのイカレた豆、アルはこっちの鎧姿なの。」
ウィンリィの示す方を確認し、ホーエンハイムは目をパチパチさせた。
「エドワード‥お前も歳を取らないのか?」
「成長してんだよっ、これでも!」
「アルフォンス、お前‥アイ○になるのか?」
「だから○イボに変えたいのはあんただろう!?あーもう、どこに突っ込んで良いやら」
狂宴は終らない
(夢で見たんです。アルに鎧をプレゼントする夢。誰か‥エドのような気もするんですが、アルを守る為に更に鎧を着せる‥それをウィンリィが”アルが可哀想”と怒ってたような‥夢。夢を思い返すうちにもう1本話を思いついたんですが、始祖鳥の散歩で忘れました。メモリが無いらしいです、7月竜。どなたか恵んで下さいませんか;涙)