「結婚?それはまた、、、どうして私かね?」
一瞬でも驚いてしまった事を咳払いで隠すと、ロイは顰め面をエドに向けた。
「そーゆー非常識な相談は大佐にしろって、さ。」
『あいつら私を何だと思っているのだ #』
半眼となったロイは、珍しくエドが上目使いに自分を見つめているのに気付いた。
「‥お前が女に性転換すればどうだ?結婚できるぞ。」
「何で俺が女「アルフォンスを女にするなど可哀相ではないか!」
言葉を被せられ、エドが黙る。ここで、俺は可哀相じゃないのか!?と訴えないところが、彼の弟に対する愛情の深さを物語っている。
そして‥
「‥‥‥ 」
「‥‥‥‥。」
バタッと付したエドをロイは頬杖付いて見下ろした。
『馬鹿め。自分が女になったところなど本当に想像するとは‥』


『なにかあったっけ?』
元気があるやらないやら。そわそわしてたと思うと急に黙り込む。そんな兄が司令部に行ってくると出て行ったのは今日の昼頃で。アルは宿の時計が16時を奏でるのを、見つめた。
「アルっ」
噂をすれば ではないが、タイムリーな兄の帰宅にアルはこっそり笑った。
「お帰り、兄さん。用事は済んだの?」
「用事?いやそれより、その、話が、、、、あるんだ。」


「結婚?やだなぁ、もう。僕、兄さんとウィンリィがらぶらぶなのは知ってるから、いつしてくれても大賛成、驚かないよ。」
『違うんだ、弟よ』
「ん?兄さん!?」
「‥お前さ、よく彼女欲しいとか、、、ゆーじゃん。好きな奴でも‥いるのかと思って‥‥」
顔を赤らめてそっぽを向くエドに、アルは思い返して、噴出した。
「ごめん、気にしてくれてたんだ。」
怒ったようにエドが睨んでくるのに、アルは慌てて言葉を捜す。
「んっと、ね‥彼女は‥欲しいかなぁ。でもね、感覚はよく分からないんだ。ただ、さ‥そういう年頃でしょ。」
「何だよ、それ〜。」
更にぶぅたれえるエドの向こうに、アルは懐かしいリゼンブールを見る。リゼンブールの友達達の話題を思い出して、アルは微笑んだ。鎧の表情は動かなくても、それはエドに伝わる。
「アル‥?」
「だからさ、そんな事言ってると‥なんか人間らしくて安心っていうか、あは、理解も出来ないのに言ってるなんて、もっと可笑しいよね。‥‥兄さん?」
悲しさが色を落とした兄の顔に、アルが慌てるのへ、エドは構わず抱きついた。
「兄さん‥‥‥、ごめん。人間の真似事してるつもりはないんだ‥その、、、」
「一人で大人になるな。」
「え?」
「一人で子供のままでいるな!」
「兄さ、ん‥」
「俺が差し出す手を取ってくれ。」
その言葉には、いつも言っていた 一緒に戻ろう というニュアンスとは違う響きがあるようで、アルは戸惑う。
「兄さん?」
「俺が幸せにするから‥」
いつもとは違う、だけど。
切なげなエドをアルは何とかしたくて
「じゃ、兄さんは僕が幸せにするよ。」
そう言って、アルはエドの背に手を当てた。
「本当か?」
急に活き活きと上を向いたエドに、アルはたじろぐ。
「兄さん!?」
『顔が蕩けてるよ!?』
緩みきったエドの表情に、兄がどこかへトリップしているとアルはため息をついた。
「痛そうな顔、されてるより、、、ずっといいか‥」

        アル
トリップ先が自分との結婚と知るのは、兄が意気揚々とエドワードとアルフォンスの名前の書かれた婚姻届を持ってきた時である。

おまえとただ 一緒に生きて 幸せになる 読み手:エド

かるたの錬金、、、しましたか?ええ、「お」の項です(爆) 2005/09/12

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