毎日

7月竜

「アル…拾いモンするなよ!?」
朝市で賑わう大通り
「兄さんこそ!いー加減手に持ってる牛乳、飲んだら!?」
泊った宿屋のおばさんが、サービスでくれた牛乳。
「兄さんのこと、12〜13歳だと思ってたみたいだね。子供は牛乳飲みなさいってさ」
鎧が奏でる声に笑いが滲む。
「うるせー」
乱暴な言葉も優しい音で。
「迷子になるといけないから、手、繋ごうか!?」
手を繋がなくても、見失う事の無い相手。
黄金の髪は輝きを纏い、青鉄の鎧は光を弾く。
たとえ人の壁にその姿が隠れても。
たとえ建物の壁のように体温を持っていなくても。
「それはお前だろ!?俺より子供なんだから」
左手でがっちり右手を握られ、弟は苦笑する。表情に表れずとも。
護りたいのは同じ気持ち。
弟はやんわり手を離し、驚いたように少し傷付いたように振り向く兄の右手から取っ手に牛乳の挟まったカバンを取ると、左手で兄の右手を取った。
「左で繋ぐと手、冷えちゃうよ」
馴染んでしまった言い回し。馴染んでしまえるほど流れた時間。
でも、それよりも
左側に自分を置きたがる弟に、兄はガシガシ頭をかいて、息をついた。
お互い様なのだけれど。
兄はカバンから牛乳を取ると、味わわないよう一気に飲む。
「兄さん?」
「元に戻ったらさぁ、俺の方が背、高いと思わないか!?」
ニカッと笑った兄の手にある牛乳瓶が、キラリ、光を反射した。

エドアルスタンプラリーで幸せになれた御裾分け。これでもらぶらぶなつもり(笑)。寒いねと言ったら寒いねと返される距離(温かさ)を目指してみました。体温を感じられなくても、温かいとお互いを思う存在(笑)。最後は故意に話切ってます。言葉をついでもたぶん意味を成さないので。もっと早くupさせたかったけどウィルスメールのおかげで‥誰だよつくる奴(怒) 2004/03/11