「俺達、一生このままかな‥」
一生、俺はアルを元に戻せないんだろうか
「兄さん!」
励ましてくれる声も、今は責めるよう…
【アルはお前を恨むような子じゃないよ。】
ああ。分ってるさ。アルがそんな奴じゃないって、知ってる。
アルは優しい。すっごく、優しい。
だけどっ!
だけど、ばっちゃん。
物事には限界があるんじゃないだろうか!?
アルは俺を恨まないかもしれない。嫌わないかもしれない。
だけど
元に戻せない俺を。無力な俺を見放す可能性はある。
俺を‥置いて行ってしまうかもしれないんだよ。

自棄の挙句のやつあたり。最低な、俺。弾いてしまったコーヒーカップ。
砕けたカップは元に戻せても、俺の行為を無にはできない。過ぎた時間は、戻せない。
だから正直、ロス少尉達の訪問はありがたかった。

「恐いんでしょ!?答えが無くなってしまうのが。認めたくないんでしょ!?今までやってきた事が無駄になるのを。」

そうさ、怖いよ!
アルを戻せなくて、嫌われたり憎まれたり‥それでも傍に居てくれるならいい。
だけど、そんな保証がどこにある!?
答えの無い俺を無駄と、アルが離れていくと言ったら、俺には引き留める術が無い。

「意味があるかどうか確かめるだけでも無駄じゃないと思います!」

………、無駄じゃない?本当に!?
これが駄目ならまた別の道を探す、と俺が言い出しても。
無駄と思わずお前は付いて来てくれる?

「あなた達が求めていたものはそんな簡単なものじゃないでしょ!?………、もう少し、頑張ってみませんか?エドワードさん!?」

……頑張っても‥いい?
まだ付いて来てくれる?
頑張った結果がまた無駄になったとしても?

カップをぶつけてしまってから見る事のできなかったアルを、そっと見た。

アルは俺を見ていた。真直ぐに。

神様、神様、神様!
信じてもいないけど、祈ります
信じてないけど、感謝します!
みえない貴方に
アルフォンスを俺の傍に遣わしている、全てに!

「やるぞ!アル。」
「うん!兄さん。」

いつか いつか いつか…
無駄な日々すら愛しめるよう、お前の温もりを抱締めたいよ

7月竜

「真実の奥の奥」 1週遅れのなのですが、これがなんだか痛くて。ふっふっふ(自棄)書いてしまいました。第19話が基なのでTVバージョン・エドside。アルsideもあったり(笑) 2004/02/23

賢者の原石

(エドside)