READY STEADY GO

7月竜

あたしとエドは同じ側の人間だ。
あたし達は決して自慢じゃなく、突っ走れる。遥か遥かな目標を目指して。
でも、ずっと走り続ける事は結構、ううん。かなり、辛い。
走り続ける為には、休憩も必要、なのだ。
その場所が、エドにとってのアル。
あたしにとっての…

あたしとエドは、共に歩いていける。
陽のさんさんと、ふりそそぐ中を。
でも、でもね。温かい夜も欲しいの。優しい抱擁、頭を撫でる指、暖かな眼差し。背を支え、押してくれる手。
信じてくれるのも嬉しいけど、言葉も欲しいの。心配もたまにはして欲しいのよ。
でも、あんたはエドのものなのね。
今までも、これからも。
そしてエドはアルのもの。
一緒に歩いてくのに、エドにはあたしの方が適してるけど、
一緒に生きていくには、アルの方が相応しい。
背を預けあえるのがあたし達なら、お互いを抱締めあえるのはあんた達。
たとえエドが大罪を犯しても、あんたは、泣いて怒って、そして抱締めてあげるのね。

ねぇ、アル。
あたしが変わったのかな?
昔はこんな事、思いもしなかった。いつも3人で。
寂しいってこういう事かな。
父さんや母さんが死んだ時のような、狂おしい淋しさじゃなく。しんしんと、あるいは簫簫と。感じるけど掴めない侘しさ。
だからねぇ
あたしは頑張る。
エドがあんたを戻す為に頑張れるように。
エドのアルが帰ってくるように。
もっとも、鎧姿だってエドのアルなんだけどさ。
そしたら、あたしに感謝のkissしてね。

雨の中、座り込む二人に近付く。
「ウィンリィ?」
優しいアル。
どうかあなたが幸せでありますように。
だからへこたれないで、エド。
貴方が立ち上れるなら、何度でも叫んであげる。エドのアルを返せと。
だってあたし達は立ち止まっては生きていけない生き物。
アルを幸せにする。悔しいけど、それは貴方にしかできない事。
だから。
今日もあたしはエドに手を差し延べる。それはいま手に持ってる傘だったり、叱咤だったり憎まれ口だったり、スパナだったりするけど。
エド、貴方に笑いかける。

愛しい男として。大切な幼馴染として。
そして、焦がれる恋敵として。

ウィンリィが傘を差し出すのは、どうしてエドだけなの?と、新op幼馴染3人の構図に横槍を入れてみました(笑)。エドウィン基本としてもよ、もちっと公平に接して欲しいかなという希望を別の方向で不公平に解釈させてもらいました(爆)。ウィンリィファン・エドウィンの方には申し訳ないです(たぶんここへは来られないと思いますが;笑)。2004/02/03