矢作川に沿って<上時瀬〜小田子>(豊田市〜恵那市)

このコースでは、昭和43年に着工された矢作ダムによって湖底に沈んだ旧串原村の70戸(他に旭町108戸、上矢作町2戸)の人々の望郷の念、いや悔しさとも言うべき悲哀を改めて強く感じた。
例えば、「大マキ様」の案内板を見つけて山の中へ入って見ると、樹齢350年の大マキが鬼の腕のような大枝を何本も伸ばして、山の主のように鎮座していた。しかし、寄る年波には勝てないのか1本の腕は無惨に折れていた。その老木に宿る神霊の庇護にすがるかのように、すぐ近くに墓標がいくつもあった。多分、水没を逃れてここに移設されたものだろう。ここまでの山道には、何本かの倒木が取り除かれることなく、そのままになっていたことから察すると、墓参りに訪れる人はほとんどないのだろう。豊田市へ移住した人が最も多く、次いで明智町、瑞浪市などという事情ではご先祖も諦めていることだろう。(串原村誌)
登り口に祀ってある弁財天の像には「安政2年」の文字を読み取ることができるが、それどころか、郷土館前の説明板によると、この付近には縄文の昔から人が住んでいたという。その千古の歴史がダム建設によって閉じられてしまったのだ。この地区を追われた人々、またその数知れない先祖達の悲しい、そして無念の叫び声が郷土館の周りに集められた石仏を通り抜ける寒風に乗って聞こえてくるようだ。
一方、奥矢作湖を中心とした矢作川沿いは春は桜、秋はモミジを楽しむことができる。ハイカーや自転車乗りにとって難点は、川沿いの道路整備が行き届いており、ドライブウェーとなっているために休日はバイクが集まってくることだ。
  なお、移動軌跡の地図は、2回に分けて歩いた結果を1つにまとめたものである。


コース:駐車地点→8分→@の地点(串原振興事務所)→27分→Aの地点→23分→Bの地点
     →40分→Cの地点(大まき)→42分→Dの地点(串原郷土館)→18分→Eの地点(青
     少年レクセンター)→48分→Fの地点(分岐点)→6分→Gの地点(押川大滝)→6分→
     Fの地点(分岐点)→13分→Hの地点(小田子バス停)・・・復路は省略
日付:平成20年3月5日(水)、3月13日(木)
天候:いずれも晴れ
所要時間:片道3時間51分(休憩を含まない。)
歩行距離:片道16.3km


    コース地図を開く  ここをはじめてクリックするとプラグインのインストール画面が
            (初期値は1/10000)      表示されるので、「はい」をクリックする。不具合が発生した
                                 場合はこちらの「8」参照

                                 なお、念のため他のウィンドウをすべ閉じておくこと。


  (移動軌跡データファイルのみの呼び出し方法および地図の利用上の留意点)
 
1.この上にカーソルを当て、右クリックで「対象をファイルに保存」を選択し、デスクトップに「移動の軌跡
  データ」を保存します。ここでは、そのファイルは開かないでください。

2.国土地理院の電子国土ポータルへジャンプする。
3.国土地理院のプラグインのインストール画面が表示されたら、「はい」を選択する。
4.小さな日本地図が表示されるので、「ファイルを開く」(ボタンは画面右側の作図パネルの下部に隠れている)で、
  先ほどデスクトップに保存したファイルを指定して、それを開くと、地図の上に「移動の軌跡」が合成される。
5.この状態では、まだ地図の縮尺が小さいので、縮尺スケールが600mほどまで拡大して利用します。地図の表示
  窓が小さいので見にくいが、印刷結果はとても鮮明です。不要になったら、デスクトップのファイルは削除してくださ
  い。
  地図の呼び出し方について、詳しくはこちら

6.留意点
 (1)地図上の赤線はGPSよる移動の軌跡を、手書きで地図に転記したもので、実際の軌跡データとは若干の誤差が
   ある。
 (2)上記地図の経緯度線は「世界測地系」(GPSではWGS 84)に従い、目安として手書きで表示したものであり、各地
   点の表示は「秒」までに止めた。青線の間隔は10秒(横は約250m、縦は約300m)ごとである。
 (3)高度表示については、約5m〜10mほどの計測誤差がある(ほとんど低めに表示されてい る)。
 (4)地図と緯度経度の関連付けをより明確に知るにはカシミール3Dのホームページのフリーソフトを利用されたい。

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(各地点の説明)

   P 駐車場【北緯35度14分34秒 東経137度23分02秒】。上時瀬の大いちょう見学者用駐車
     場を利用。
   @串原振興事務所【北緯35度14分30秒 東経137度23分15秒】。旧串原村役場。平成16年
     10月25日に串原村が恵那市に合併されたことにより、市役所支所となり、振興課と住民
     課が配置されている。昭和26年建設の古い様式の木造建物であるので、ぜひ後世まで残
     してもらいたいものである。
   Aの地点【北緯35度14分20秒 東経137度24分29秒】。北から東海自然歩道が合流していて
     登り口に馬頭観音あり。
   Bの地点【北緯35度14分14秒 東経137度25分02秒】。東海自然歩道は陸橋を渡って元気村
     方面(南方)へと続いている。
   C大まき【北緯35度13分14秒 東経137度25分53秒】。釜井公園から20mほど矢作ダムの方
     向へ戻った地点に登り口の案内板がある。大マキの横には樹齢350年の「アベマキ」との
     説明板がある。県道から徒歩7分。
   D串原郷土館【北緯35度14分14秒 東経137度26分55秒】。この付近一帯は大野公園として
     整備されており、郷土館横には駐車場、トイレあり。郷土館は水没地区の古民家を移築し
     たもので、見学者が少ないためか予約しないと開けてもらえないようだ。有料。
   E青少年レクセンター【北緯35度14分30秒 東経137度37分20秒】。この付近から川の水は一
     段ときれいになって、山奥に分け入ったという感じが強くなる。
     この施設は、昭和46年に廃校となった旧串原小学校の建物を一部利用した青少年のため
     のアウトドア体験施設。なお、同小学校の開校は明治15年。(串原村誌)
   F分岐点【北緯35度15分20秒 東経137度28分58秒】。通行止めのトラ柵が置いてあったが、
     あえて旧道を歩いた。落石の危険がある道路だ。途中、串原村・上矢作町の境界標識が
     そのまま残っており、その横には道祖神が祀ってあった。
   G押川大滝【北緯35度15分16秒 東経137度29分09秒】。大きな滝ではないが、滝壺の淀み
     は青く澄んでいてかなり深そう。駐車場とトイレあり。
   H小田子バス停【北緯35度15分38秒 東経137度29分25秒】。上村(かみむら)川に架かる古
     い橋(名前は不明)の西詰めには道標があった。
       右 秋葉・鳳来寺
       左 ねばね(根羽根)   明和2年(1765)
     橋を渡り切ると左(北側 )には、小さな「ふれあい広場」があった。そこには、どこから移設
     したものか橋の親柱が保存されていた。「塙橋」(明治21年2月)と読める。
     その先(東側)の十字路で南北に交わる道路沿いには古い家並みが続いていた。かつて
     の街道の駅であった風情だ。

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