9月21日の日記「ボイジャー3号」

もう9月も終わりが近くなり、朝晩もめっきり秋風が涼しい今日この頃です。それなのに、いつまで夏休みはじめの事を書いているんだと、訝しがる貴兄も多いことと思いますが、このサイトでは毎年のことでございますので、ご容赦くださいませね。

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さて、3日目のウルトラツアーは川崎市の岡本太郎美術館で開かれていた「ウルトラマン誕生40年の軌跡 ウルトラマン伝説展」を見に行くのです。

ホームページによると岡本太郎美術館の最寄の駅は小田急の「向ヶ丘遊園」。数年前に閉演してしまったものの、この遊園地ではウルトラQやウルトラセブンのロケの舞台にもなり、数々のウルトラヒーローショーも行なわれてきた場所だな。まったく親がこんなだから子どもも同じベクトルにむかってスクスクと育ってゆく訳ですが。

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駅からは徒歩で20分ということなので、タクシーをゲット。体力の低下をお金で解決しようという訳です。しかし、怪訝な顔のタクシー運転手さん、5分もかからずに「はい、つきましたよ」って、ワンメーターじゃないの。実は太郎美術館は生田緑地という公園の施設の一つで、タクシーを降りた公園入口から敷地内を15分くらいかけてエッチラオッチラと歩いて行くのだそうです。タクシー、意味なし。

緑地公園というだけあっておそらく体調万全なら相当に気持ちのよい、こんもりとした森の中をヨロヨロと歩いていくと、突然現れる異空間。さすが世界の太郎。美術館の設計も前衛的で、到着しているというのに入り口を探して10分ほどさ迷い歩いてようやく入館です。

 森の奥深くにある太郎の殿堂

館内ではまず太郎さん(こう書くとなんか変)の作品から鑑賞します。怪獣やヒーローではないけれど太郎ワールドへのひなさんの食いつきはなかなかのもの。そもそも大阪万博のシンボルである太陽の搭もウルトラマンがモチーフという説があるそうで、なるほどそう言えばカラーリングとか形とかよく似てるよなあと思っていたら、それはガセだと丁寧な解説が貼ってありました。ともあれ入館するなり撮影ポイントにあるシンボルの彫刻にペタペタ触って係員のお姉さんに注意されたのは、ごめんなさい。これは親の不注意です。

 背後から飛んでくる係員のお姉さん

そしていよいよウルトラワールド。会場内にはたくさんの怪獣やヒーローたちのディスプレイに加え、撮影時の貴重な資料が膨大に展示されています。しかし、ここにはブースカもメトロン星人とちゃぶ台もないせいでもないでしょうが、3日目ともなるとひなさんの展示鑑賞のスピードも心なしか速くなっているような気がします。これだけキミのために努力しているのに、まさか飽きてきたんじゃないだろうな。

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最後にウルトラマンが活躍するショートムービーの上映があったのですが、ほんの45分間の映像すら落ち着いて見られないひなさん、9月にはウルトラマンの新作映画を見に行く予定なのだが大丈夫なのだろうか。

ミュージアムショップには、企画展に併せて数々のウルトラグッズが販売されていて、またまた親の財布に厳しい仕掛けが施されていたのですが、その中にいわゆるひなさんの大好きな「ガチャガチャ」(ガシャポン?)の販売機があって、目を輝かせて駆け寄っていったら「デッサン用石膏モデル」に「原色両生類カエル図鑑」って、さすがは太郎。
しかし、お昼ご飯を食べたミュージアムレストランではエスプレッソがご覧の通りウルトラマンになっていたりして、なかなか小粋な演出をするじゃないか太郎。

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こうして太郎美術館見物を終えた僕ら。することもないので公園内のいろいろな施設で遊びます。青少年科学館でタヌキの剥製を見たり、象の骨標本を見たりして、川崎市の生き物に妙に詳しくなったりしましたが、そのウチ目標を失ったひなさんが「つかれた」だの「もうあるきたくない」だの「だっこ」だのと、ウルサイので引率者も次第に不機嫌になります。

閉館間際に太郎美術館の入場券とセットで入れる民家園という施設に、せっかくだからと入館することにしたら、入り口のお姉さんが「まもなく閉園ですよ」とこれまた訝しげな顔。「いいの、せっかくチケットあるから入るの」と無理やり入館したところ、すみません。正直民家園をなめてました。復元した古い一軒屋に民具が展示してあるくらいのものを想像していたら、ものすごく広い敷地内に各地から移築した十数件もの民家を巡ることができるという、愛知県でいうところの「明治村」とか「リトルワールド」のような施設でした。

「もうあるきたくな〜い」
それは、僕も同じ気持ちだよひなさん。そんな泣きそうな僕らを見ながらみきさんったら、ひなさんを励まそうというつもりなのか、

「ホラッ スタンプラリーがあるよ! やってみなよ!」


ってバカモノ! そんなモノはじめたら途中で引き返せなくなるじゃないか!
「スタンプラリーやる! がんばる」
と、引率者の気持ちも知らないで、ひなさんも俄然やる気満々になってアップダウンの厳しい園内を早足で歩きだします。

 スタンプラリー好き母子

そして閉園までの僅かな30分ほどの時間ですべてのスタンプを集めてしまいやがりました。 さっきまで、歩けないって座り込んでたクセに、なんかもうすごく納得いかないんですけど。ついでに、このスタンプラリー、苦労した割に景品などは一切ありません。もう、いろんな意味で理解できないことばかりです。

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こうして、楽しくもまたまた体力を消耗した3日目も終り。また麹町のホテルに戻ります。しかし、公園を出るなり
「もうつかれて あるけない タクシーよんで!」
などと叫びやがったわが子よ。もうこの件に関してはキミを信じてあげないから。 あと、そんな贅沢な交通機関は覚えなくていいから。 という訳で無理やり駅までちゃんと歩いてもらいましたとさ

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さて、次回はウルトラツアーもいよいよ最終日。 他の夏休みの思い出に一切触れることもないまま、とりあえずこの旅行記をちゃんと完結できるのでしょうか。

乞うご期待。