3月10日の日記 「新しさとは」

WEBの特性を生かして、カーソルの動きで切り替わる画像と、短い言葉を組み合わせるという手法で「新しい表現」として発表したのは、2004年の5月のことだから、間もなく3年にもなる。

しかし、2005年6月以来、2年近くも新作の発表を行うことができなかった。新しい表現手法と大見得を切った以上は、もっと精力的に作品を発表し、普及に努めるのが、提唱者としての責任であろうが、それができなかった。その理由については後述するとして、まずはしばらくぶりの作品をご覧いただくことにする。

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今 食べたいもの
それがアイスだ
ここにあるのだ
 
炎が持つ力
かつてない集中
 
一方通行の愛情では
心は縛れない
体も縛れない
 

それは会話
一人二役で

 
大きく
そして丸く
何かを伝えようとする体
 
子どもの自由
地面を転がる自由
 
苦悶の表情が示すのは
好奇心が招いた
おそらく不幸な結果
 
気にされている
気づいていない
一瞬の出来事

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「IT」という言葉自体が古く感じるほど、情報技術の進歩のスピードはすさまじいものがある。このサイトを始めた当初は、写真を組み合わせてパラパラマンガのような動画を作ったり、カーソルの動きで画像を変化させたり、という事でも新鮮に感じたものである。

しかし、今や動画を公開するサービスもスタンダードなものとなり、本格的なアニメーションですら、個人で製作してWEBで発表することができる。

つまり1000年以上の歴史を持つ日本文学界の「新しい表現」などと大見得を切って、3年前に産声を上げたこの手法が、画像技術においてネットの世界ではすでに過去のものとなってしまったこの皮肉な矛盾。

この試練を乗り越えて、この新しい文学はさらに加速度をつけて進歩するネット社会の中で生き残っていくことができるのか。

創始者である私の肩に課せられた責任は非常に重いものであると言えよう。

 


《ざくろちゃんの近況》

顔写真の撮影に成功(実は先月は失敗していた)。
どことなくひなさんに似てると評判。