5月29日の日記「いぬのきもち」

いくるさんったら、夜はホントに寝てくれないのです。

いや、寝てはいても僕が夜に仕事から帰ってきて、
玄関のカギをカチャリと開けるとパッと目が覚めるようで、
「おかえりー!!」と元気よく寝室から駆け出してきて、
深夜までアレコレと遊びをねだってくるので大変困ります。

そんなある夜の出来事です。

ひなたさんがグーグーと眠っている横で、歌ったり暴れたりと、
大騒ぎのいくるさんが、突然、床で四つん這いになったかと思うと、

「ワンワン! ボクはイヌだよ!!」
いきなり、イヌになってしまいました。

「ワンワン!」と走り回ったあと、僕のそばにやってきては、
「ペロペロ」と顔をナメてじゃれてくるのです。
かと思えば、「おなかがすいたなあ」なんてこと言うので、
オヤツでも要求されてるのかと思ったら、

「ああ、ホネたべたいなあ…」

心の中から味覚まで完全にイヌがとりついているようです。
しかたなくお付き合いで「イヌだイヌ、かわいいなあ」と、
ホンモノのイヌにするように首のあたりをガシガシと掻いてやると、
お腹を上に向けてゴロゴロと転がって喜びます。

まったく、どこまでリアルなイヌっぷりなんでしょう。

ホントは寝かさなきゃいけないのに、ここまでされれば根負けです。
よしわかった、せっかくだからキミに名前をつけてあげよう。
そうだな…ペルがいい! 今日からキミの名前はペルだ! 

「ちがう!!」
なんだよぉ、ペル。そんなに血相を変えて!

「ペルじゃない! ボクはイチゴちゃん!!」
この人…じゃないイヌの名付けのセンスは女子中学生のようです。
試しに「イチゴちゃん」と呼んでみると「ワンワン!」と大喜び。
シッポがあったら、きっとブンブン回っていることでしょう。

その夜から毎晩イチゴちゃんがやってくるようになりました。

ちなみに昼間に「イチゴちゃん♪」と呼びかけてみても、
「ちがう! いくる!」と、相手にしてくれないところをみると、
いくるさんがイヌになるのは夜だけの現象のようです。

もともと、尋常でなくイヌが大好きな子どもです。
昼間に散歩しててもイヌをみかけるとまっしぐらに走っていきます。
世の中おとなしいイヌばかりでないのでドキドキです。

こうなると、思い出すのがいくるさんが胎児だったころ。
3Dエコーにイヌのような姿が映りこんでいたことがありました。

  

この写真やイチゴちゃんの姿をみると、
いくるさんはイヌの化身、もしくはイヌの子なのかもしれません。

…ってな話をみきさんとしていたのを、聞いてたらしいひなたさん。
ある時、コソコソと僕のそばにやってきて言うことにゃ、
「いくるさんってイヌの子なんでしょ?」

「そんなバカ話を信じるヤツがあるか!」と言いたいとこだけど、
今の様子をみていると否定しきれないなあ(否定しろよ)。

そんなひなたさんは、自分がグーグーと寝ている間に、
「この眠ってるイヌは何て名前?」と聞かれたイチゴちゃんから、

「チョコレートのチョコちゃん」という名付けられたことは知りません。
でも、やっぱりイチゴちゃんのネーミングセンスは女子中学生だわ。