中国から届いたハガキ


 中国の旅先から発送したハガキが届いた。これは予想通りの出来事ともいえるが、これでかねてから待ち続けているハガキを諦めなければならないことになろうか。ずっと待ちつづけたハガキは理由もなく紛失したことになる。

 情報時代に入り、中国の郵便制度は新しい時代にふさわしいものに変容しつつある。6桁からなる郵便番号制度が採用された点からもその一端を窺い知ることができる。事情に詳しい友人の話によると、目下、各地の郵便電報局のオンライン化が急速に進展しているという。世界的規格を採用した郵便貯金カードは郵電局の利用者の間で人気を集めている。「電脳儲蓄」のために郵便局のオンライン化が重点的に構築されている。

 世界的な情報化の波は中国の郵便制度にも及んでいる。新しいスタイルで情報通信サービスが提供されている。旅行者は大小都市の町角に林立する電話ボックスとともに郵便局の営業所が多いことに印象づけられるであろう。

 ところで中国の郵便制度として書簡料金の一律制度が採用されているはずである。しかし、郵便料金とくに国際郵便料金にかんする情報が不足している。一枚のハガキを発送するための料金表は高級(4つ星〜5つ星クラス)ホテルさえ備えていないケースが多いと見受けられる。郵電局の公開情報が徹底していないとしか言いようがない。中国から日本にハガキを出すのに異なる料金を請求されるのである。こちらとしては、一枚のハガキが同じ宛先に発送するのに昨日は4.3元で、今日は5元と払わされる。間違いではないかと念を押しても事情は変わらない。これは端数を切り上げて代行してくれたと考えておけば目くじらを立てるほどの事柄ではない。しかも請求額の切手が貼られて葉書が届いてもいる。しかし、釈然としない。そこで郵電局に確かめてみたところ、答えは4.3元が正しいと分かる。ちなみに一枚のハガキを中国から日本に発送するのに要した料金は、1970年代から80年代前半までが一元未満、1988年が1.3元、1995年が1.6元であった。

 わたしは現在でも前回中国から発送していまだ届かないハガキを待っているが、今回のハガキは何ら問題なく受け取ることができた。当然の事柄ではあるが、しかし、中国郵便制度の近代化万歳!と叫びたい気持ちである。(1998.10.23)


 中国から発送した葉書がすべて届いた。
 今夏も中国再訪の機会を得た。短い期間ではあるが、長江流域を中心とする都市をいくつも回ることができた。今度は長江下流域の上海と長江中流に位置する長沙市について一層理解を深めることができて幸せである。そこでハガキを多数発送した。同じ発売所で郵便切手を求めたことで、係りの若い娘さんに深い印象を与えたらしく、いつもにこやかに応対してもらったことにはうれしかった。
 黄山郵便局の係りが正確な料金を教えてくれた。日本宛のハガキ送料は4元2角と知った。前回、上海の郵便出張所で確かめた4.3元は不正確な料金であることがわかった。
 ところが、料金情報の不足はいまだに改められていないのが実情である。長沙の5つ星ホテルで、ハガキの発送を依頼したところ、係りのお兄ちゃんは即座に1枚5元と返答した。間違いではないかと念を押したが、問答無用の勢いで押し切られた形となった。したがって間違いなく届いたハガキの中には異なる料金が徴収されていたのである。(1999.9.9)


もどる

林善義、1999