中国の名園は享楽のために営造されたものばかりである。蘇州の名園はその代表的なものである。いずれの名園も人工建造物に代わりはない。人工的造園は自然を取り込み、自然に近づこうとする努力が払われているが、自然そのものではなく、自然を解釈してつくられた世界にほかならない。楽しさ、快適さが重要視されたことはいうまでもない。しかし、自然の中で生きるということはこれと違う。大自然や山間僻地に身をおくようなくらしは都会生活のそれとは異質なものである。観光名所の黄山に程近い山村において新鮮な空気を満喫したと同時に生活の厳しさを実感させられた記憶は今でも脳裏から離れられない。
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