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     第57作      いかき ザル 青物細工      H25・8月
                                  (8月14日 更新)

 青竹の香りも清々しく出来上がりました。
 日常使いのザルです。うどんでも冷麦でも茹で上がったものを鍋からザーッと、、自然素材の竹ザルは、表面張力が小さいのでしょう、大変水切れがいいものです。プラスチックのものではこうはいきません。
 結構丈夫なもので、一つあれば10年や20年もつと思いますよ。
 左部分の縁仕上げが出来ていないように見えますが、参考作品として教室に置いてもらう予定ですので、ヒゴを捻じって工作するあたりの、完成品では見えない部分を開放しました。

          必要材料まとめ
   ・ (青竹 径7、8p 長さ150〜160p…のものなら半分)
   ・ 編みヒゴ 幅1.8o厚1o 36本(総延長50b 超)ヒゴ幅の大小で本数を調整
   ・ 縦ヒゴ  幅5o厚0.6o 46p程度3本、短め10本
   ・ 芯枠   幅7o厚3、4o85p
   ・ 縁竹   外 幅1.3p厚1.8〜2o85p 内 幅1.2p厚1〜1.5o
   ・ ササラ竹 幅8o厚3o85p1本
   ・ 皮籐   幅1.5〜2o 2.5b


 <作業記録>

 青竹切り出し

 まずは材料調達から。河川敷(国有地)で青竹を何本か切り出してきました。一般的に竹の伐採は11、12月と言われていますが、ものの本によれば8月でいいとも書かれています。帰ってから早速ヒゴ作りに取り掛かりましたが意外と水分も少なく締っていて、十分材料になりました。短期間に表皮を剥いで使ってしまう分には問題ないようです。

 画像は径7pほどの青竹を四つ割りにしたところです。
 四つ割りの一本がちょうど6pありました。
 ザルを作るにあたって、ヒゴ幅は1.5から2_程度にしたいところです。四つ割りの一本が丁度6pありましたからその半分、半分、半分、半分、半分で割れば32本になり、計算ではヒゴ幅は1.8_ほどになるでしょう。
(他に縦ヒゴとか縁巻き竹、ササラ竹等合せて、四つ割り竹の二本分でザル1個が出来上がりました。)

 材料ヒゴつくり

 
径25pの丸いザルを作ることにします。
 編み目の一段分の長さ(一番長いところで)は(余裕をもって、ザルが球体の半分とすると、)25×3.14÷2= 約40pです。
 次に、1.8_のヒゴを並べるとすると、40p÷1.8_で220段ですが、縁に行くにしたがって短くなりますから、×0.6位として計算すると132段分になり ×40pで、ヒゴの総延長は53b、今回の材料竹は長さ150pですので36本必要になる計算です。
 取りあえず、青竹の四つ割り一本分の32本で始めることにします。足らなくなったら追加することにします。


 竹割りは幅の半分、半分で進めればうまくいきます。
 6pを半分に割って、また半分に割って半分に割ったところで一度身の部分を厚み半分ほどに剥ぎ、さらに半分に割って3.
75_になりました。
 3.75_になったところで目的の厚さ(ヒゴとしては厚めの0.6〜0.7_程。)に表皮を剥ぎます。もう一回幅割りしますが、この段階で皮を剥いだ方が作業工程一回分が楽になります。 日用使いの実用品ですので少々の幅やら厚みの不揃いは気にしなくていいです。上手くいかないようでしたら幅きめカンナで削ってください。

 剥いだヒゴは身側を鉈で軽くすいてササクレを無くし併せて厚さも調整します。鉈だけで厚みが上手くできなければ厚さきめカンナで引いてください。厚みは0.6_です。
 右画像は更に2等分して目的のヒゴ幅になります。

 ヒゴは身側をしっかり面取りします。理想は断面がカマボコ型です。触りがいいのと“うどん”サンも気持ちいいと思います。そこまでやらなくてもいいですが。
 皮側の面取りはしません。その方が水切れがいいのではないかと思います。ヒゴ32本が出来ました。

  芯枠
 芯枠を外径24pで作ります。幅は7_、厚さは3_、もう少し厚くてもよかったかな?
 輪の結合は二液混合の接着剤を使用、さらに真鍮の針金で縛りました。
 接着剤は使いたくないと考えるなら、針金の縛りだけでも十分でしょう。

 縦ヒゴは幅5_、厚さ0.6_程度で13本用意。表裏とも面取りをした方がいいでしょう。(編みヒゴの経年変化による表皮のひび割れを少しでも防ぐため)
 まずは6本ほどの編みヒゴで縦竹を組む。

 芯枠に糸、あるいは針金などで仮止めしてからヒゴを編み込んでいきます。 

 ヒゴ2、3本編んだら反対側(上下)を編み、バランスが崩れないように作業を進める。
 長いヒゴを枠のところでUターンさせるために一旦外側に抜かなければいけませんが、元のほうからやんわりと引きだします。

 枠のところでUターンするとき、ヒゴを180度捻って表裏が常に同一面に(皮が外側)なるように編み進めます。
 指の皮が厚くなるかもね?  
上品な指 で、捻じれないようでしたらペンチに咥えて繊維をほぐしてやるのも一法です。
 画像の折り返し点は、一番外側の縦竹の間隔が狭くなり、外枠と合せて(二本飛び)ヒゴを回し始めたところです。なお、ヒゴが次にUターンする芯枠に届かない場合、手前の枠のところでカットします。(ヒゴの継ぎ足しは必ず枠のところで。最後縁巻きに隠れて見栄えが良い。)

 概ね編みあがりました。この段階でヒゴが4本残りました。後の部分は縦ヒゴの間隔も狭まるので、ヒゴをやや細く削り直して用いることにします。

 縦ヒゴを2本飛んだりして編みます。編むというよりヒゴを突き刺す? もうこのあたりはルールなしで、隙間が埋まればいいです。

 縦ヒゴを裏に折り返し、編み目に挿し込みます。割れてもササクレても構いません
 丸い籠を作るためヒゴ編み中、常に芯枠に歪みが無いか楕円になりかかっていないか留意して作業を進めてください。
 こうして見ると芯枠周りがバリバリのぐちゃぐちゃですが、縁巻きをしてアラ隠しすれば綺麗になります。
 
丸に作る籠を丸く作るのが一番難しいところです。 因みにU字形の箕のような場合はごまかしが効きますが。

 最終工程 縁仕舞い

   

 縁竹は外と内の2枚、鉈だけで均一な厚みで剥ぐには一発勝負ですから、竹割の原則からは外れますが、「先」から鉈を入れ、節のところで一旦止め、反対側「元」から同様にしてやると、失敗なく概ね上手くいきます。
 どうしても節を越す時に(先から割って、)下側の表皮が薄くなりがちです。
 鉈で上手くいかなければ厚さきめカンナで均一な材料を作ってください。

 野田口仕上げとするので縁上面にあてがう
ササラ竹を作ります。
 幅8_、厚さ3_を材料にして、6本に
柾割りしました。少々曲げるのにキツくなりますが4本割りでも何とかなります。先の部分(2、3p)は割らずにくっつけておきます。
 この作業が難しい場合は、柾割りしたヒゴを厚さきめカンナで1.3_に引き、6本束ねればOKです。1oに引いて8本束ねならなお良いでしょう。


 外枠、内枠、ササラ竹をあてがい籐ヒゴで縛ります。全周で18か所の間隔で縛りました。

  
出来上がり。

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   考察
 いびつにならないようにと、あっちを見てこっちを測って作ったつもりでしたが、真円の寸法が出ていません。横径が25.2p 縦径が24.2pで1pもずれてしまいました。“うどん”を濾すのには全く支障はないのですが、なにか面白くありません。中心の縦ヒゴもずれていました。
 問題点をフィードバックして2号作を作ります。
 径を予定の寸法に保つために突っ張り棒をあてがい荷造り紐で縛りました。この状態で編み進めれば上手くいくような気がします。  中心の縦ヒゴもずれていました。3oほど右にずらします。

 第2作完了。
 縦横25pの
真円に出来ました。