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     第58作      鰻入れビク・ハゼ魚籠       H25・8月
                                 (10月 1日 更新・第4号)

 前作用に切り出した青竹がありますので引き続き青物細工で鰻入れ魚籠を作ります。
 クラシックなスタイルの魚籠です。宮之城伝統工芸センターの資料を参考にしました。

 塩水に晒され、コンクリートブロックに擦られても大丈夫なように、ヒゴはかなり厚く幅も広くして頑丈に作りました。

 高さ24p 底径22p 胴24p 口径は内寸で12.5pで、ウナギの首根っこを握った拳が通る寸法です。
 実際に生きたウナギがこの魚籠に横たわることがあるのかは自信ありませんが、木曽川下流部ではウナギが釣れていますからねぇ、来シーズンあたり?
 頑丈に出来た“入れ物”ですので、潮干狩りに持って行ってアサリを入れてもいいし、色々使ってみたいと思っています。

 もう少し低めで半球形のも良かったかなと思っていますが。この魚籠はアユ釣りの友、大工のNiシさんに進呈しました。
 

 底は菊編み
 立ち竹は幅9〜10o 巻きヒゴは幅、厚みとも1.5o程で柾割ヒゴ使いで巻いていきます。
 立ち竹5本で編み始め(左図)その後5本増し挿しします。底径20pになったところで立ヒゴを焼き鏝で曲げ腰立ちさせます。腰立ち部分を2本縄編みとします。

  本体
 胴の立ち上げ部分と胴中央近く、首部分を二本縄編みにして、後はザル編み(? ござ目編み)です。立ち竹の本数が多くないため、左右のブレを抑えるために縄編みを併用しました。
 ヒゴ幅は一番広いところは5oあります。鉈だけで調製した厚めのヒゴでガッシリ仕上げました。
 口巻はグルグル巻?です。幅5oの薄ヒゴ(0.4o程度)で3目飛び(20÷3=7…△1)で3周すると巻き終わり。これを同じ目でずらしながら3回やりました。これで本体部分は完了です。

  蓋つくり
 ちゃちなものですが製作の手順は籠本体と同様で、そこそこ手間はかかります。
 菊編みの立ち竹本数は8本としました。画像右は本体口にあてがって底編みの大きさ加減を見ているところ。

 立ち上げ部分からの編み目は口まで二本縄編みです。
 本体口にセットするとき、適度な摩擦と絶妙なフィット感が味わえるよう、何度も口にあてがいながら、編み直ししながら仕上げました。
 口巻きも本体と同様です。幅4oのヒゴでやりましたが、どうしても縦にひびが入ってしまいます。強度に問題はありませんが、ヒゴ同士の隙間隠しと併せて籐ヒゴで縛り、目隠し兼強度も出しました。

 ちょいとエダマメでも盛って、脇に缶ビールなど置いても似合いそうです。

 最後、本体の吊り紐を通す耳を籐で4ヵ所取り付け完了しました。
 

  余談ですが
 因みにこの魚籠は竹細工をやり始めた初期の頃、30年も前のものですが、釣った魚を入れた記憶は少なく、もっぱら潮干狩りの貝採りに使ってきました。
 何十回と潮干狩り場にお供しています。今年の5月にも活躍しました。竹は色褪せ塩が吹いているようですが、丈夫なもので全くと言っていいほど傷んではいません。生涯現役です。



   第2号 エサ入れ付魚籠

 1号作より背が低い半球形の、エサ入れ付を作ります。

 まずは底組み。丸くなってないじゃないですか?
 その通り、エサ入れとする孟宗竹の筒がやや楕円でしたので、これに合わせて底も楕円にし、口部分も楕円になるよう考えました。(筒底の横径11.3o縦径10.8o)
 素直に丸底で口部分だけやや楕円にすれば済むことですが、単なるこだわりです。

 

 腰立ちは立ヒゴを鏝で焼き、ややきつめに癖を付けました。
 エサ箱がピッタリ納まるよう、様子を見ながら口巻を進めます。画像は下巻きとして身竹でまず一回りしたところ。エサ筒との隙間がやや大きいようにも思えますが、このあと青竹で二巡りする予定です。それでも足りなければ、細幅ヒゴで更にもう一周すれば何とかなるのではないでしょうか。このあたりは全くの勘で作業を進めています。
 エサ入れはまだ下塗りの状態で、更に漆を2、3回塗って仕上げる予定です。上部の鉢巻は1.3o厚に剥いだ幅広のヒゴを3層に重ねました。内の2層は身竹、外は表皮竹。

 口巻完了。予定の青ヒゴ二巡で丁度いい感じの擦れ具合で納まりました。
 口巻は立ち竹の目数が20ですので、3目回しで連続して3周すると一巡分が終わり、同様にあと一巡しました。

 蓋の留めは磁石にしました。
 希土類マグネットで豆粒より小さなものですが、磁力は抜群です。
 蓋裏側は木ネジの頭です。
  蝶番の取り付け

 小物の蝶番で、付属の4、5oの釘では十分な取り付け強度が出ません。
 ゴム系接着剤を使い、強度と取り付け位置を確実にします。
 釘を打つスペースが狭いので、ペンチで頭を押さえながら打ち込みます。この際、釘の軸に瞬間着剤を一滴施します。おまじないです。(木部は柔らかく、釘は利かないと思った方がいいでしょう。)
 

  第2号作完成しました。
 まあまあですね。9月8日、大方出来上がっていたものを教室に持参し、諸氏に評価して頂きました。
 私、「底がナニか変に感じませんか?」…「いいえ別に、」…「楕円になっとるんだけど、」「あそー、許容の範囲じゃない、、」「許容じゃなくて、楕円にしたんだけど。」
 こだわりの小細工も効果ありませんでした。こうなったら3号作を作るしかありません。釣った魚を投げ入れる口穴も開けたいと思っていますしね。
    



  
第3号作 釣った魚の投入口ありの魚籠
  飽きもせずに第3号作です

 出来上がった2号作を“ヨー出来たがね、”と眺めてみたところ、釣った魚を魚籠に入れるのにいちいちエサ箱を抜かなくてはいけません、、投入口を設けることにしました。
 今回は小細工せずに底は真円です。やれば出来ます。エサ入れの筒底は節板のない部分(前作の残り、胴の部分)ですので板を形に切り出して嵌め込みました。
   


 第3号出来上がり

 蝶番を付け、エサ入れが完成。籠と魚投入口の大きさから、この魚籠は
ハゼ釣り専用にします。

 木曽川下流、立田村あたりでは丁度ハゼが釣れ盛っています。

 ハゼの刺身は旨いですねー。生きたハゼを持って帰られる釣り人しか味わえませんが。天ぷらの旨さは言うまでもありません。

 近いうちにハゼの2、30匹も魚籠に放り込んだ写真を掲載したいと思っています。

 青竹魚籠が 3号作まで出来てしまいました。先だって岐阜県の付知川にジャンボ アユ釣りに出かけた折、1号作はアユ釣友に進呈しました。
 「ウナギでもアサリでも何でもえーで使ってちょー、」

 2号作も収納しておく場所もありませんのでハゼ釣友に進呈することにしますが、第3号の自分用のものだけ魚入れの穴が開いていると言うのもナンですので、またまた穴開きエサ入れを作ることにしました。やってられないですねー。

 2号、3号と穴開きエサ入れ付で出来上がりました。この2号作は桑名市長島町の古い友人に進呈しました。
 さて、残った
穴無しのエサ入れ はどうしてやったらいいのでしょうねぇ?【→ページの最後に】
  

 9月21日 
立田村(木曽川下流)
までハゼを釣るつもりで出かけました。なかなかどうして簡単にハゼは釣れてくれません。一握りのシジミを採って何とか気を鎮めましたが、ハゼのボーズ魚籠になってしまいました。
       
   
  



 10月 1日

 魚投入口付きのハゼ魚籠が3作出来上がりました。
 一番手前がこのページの4号作で、形は2号作(一番奥)に似ていますが、大きさとしてはやや小振りにしました。かなりしつこくいきましたが、まあこれで納得できましたのでハゼ魚籠は終了とします。

  寸法
 エサ箱外径12a 摘み含んだ高さ18a 底径21a)
 

  

  オマケ
 先にも書きましたが、余った
穴無しのエサ入れは、こじんまりした籠をあてがって、2段式のエサ入れにしました。(本体高11a 底径13a)
 内側は一閑張りで漆で固めましたので水気に耐えられます。2種類目のエサを入れるもよし、下の画像のように仕掛けの小物を入れてもいいでしょうか。
 今回の作業の一番のポイントは、竹筒のエサ箱と竹編みの口との摺合せです。まずは口部分の内側縁巻きを調製して竹筒に宛がい、仕上げの籐縛り分も考慮して(実際に12か所巻きつけて、)しっくりはまる状態(径)で作っておき、後は編み作業で微調整しながら籠部分を仕上げました。
 ピッタリいきました。
   

  


 10月13日

 北陸、三方五湖の久々子湖へハゼを釣りに行きました。釣友のKaさんと二人です。もちろん3号作を進呈し、「Kaさん、これにいっぱい釣ってちょうよ、」

 出来立ての魚籠にハゼの匂いを嗅がせてやりました。

 期待したほどの数は釣れませんでした。魚籠の中身は2人分です。
 上の方に張り付いている奴なんかはかなりデカいですよ。刺身で頂きました。小物は開いて天ぷらです。