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     第60作        網代編み盛器        H26・1月
                                      (3月 24日 更新)

    東海伝統工芸展に入選出来ました。
  名古屋展(丸栄)5月8日から13日 岐阜展(高島屋)5月15日〜20日です。是非ご覧ください。



 3月の工芸展出品に取り組んでいます。
 今回は花入れを一旦お休みして、平面編みの果物などの盛器に挑戦しています。

 上面は網代編みとし、裏張りは六つ目でいきます。

 網代編みヒゴの製作
 平面の寸法を35p×60p確保することにします。ヒゴ寸法(左右斜めに交差)は35p×2÷√3 で、縁部分の余裕を見込むと45pは欲しいところです。一節が50p近くある材料竹が必要になります。
 幅は2oとし、厚みは4目飛びで編む予定ですので、やや厚めの0.25oで調整しました。
 4色を織り交ぜて編む予定です。
 染色は「茶子」で、染め液に浸す時間の長短で染め分けました。
 各130本程必要です。

 編み開始

 4色のヒゴを順に並べて編み始めました。
 画像では分かりませんが、編み目を平面に対して斜めから見ますと、波目模様が浮き立って面白い柄になりそうです。
 ヒゴを1本挿し込むごとに、縦横90度の交わりが狂わないように定規をあて、修正しながら作業を進めています。

 しんどい作業ですねぇ、こんなの好きでなきゃ、やってられません。

 かなりの面積で、編み上げるのに2週間かかりました。

 1月12日 網代平面編み完了  

 どこまで続くこのぬかるみは、取りあえずは平面編み完了で一息つきました。

  裏張りは六つ目編み

 多くの盛り籠などでは底面の受けと言いますか、裏張りは網代編みが普通のようですが。
 本作は上面を網代で編みましたので裏面は六つ目編みとしました。

 ヒゴ幅は1o、六つ目の間隔は8oです。


 平面編みの表裏が出来たところで、この2枚を重ねた後の縁枠のデザイン、“色合い”を検証しました。画像の縁枠はコンピューターで描いたものです。

 教室に印刷した画像を持ち込み、皆さんに採点してもらった結果、右下の色合いが良いとのことでこれで行くことに決定しました。… 

 上面網代、裏面六つ目を切抜きします。


 上面網代は黒線の寸法で切り揃えますが、切り口がばらけないようにウルシ下地剤(水性ニスのようなもの、)を施してから切断。
 裏面の六つ目はウルシを掛け編み目を固定して切断します。)

 これで平面の2枚が出来ました。この先は縁枠をあてがって立体に組み上げます。

 平面編み2枚を合せて縁枠仕上げ

 縁枠を接着剤で仮止めします。あくまで形作るための接着剤ですので極力少量に留めます。
 最終強度は籐で縛り漆を浸ませることで仕上げます。
 縁枠縛り。
 網代の場合、編み目の隙間がほとんど無い状態ですのでかなりつらい作業になります。
 二目で籐を回しました。

 高台の製作

   上部本体に並行して高台を仕上げました。
 極細のヒゴで柵状の縦ヒゴを3本縄編み、8段編んで丸籐半割の縁を取り付け、作業としては7割完了しました。上部の反りに合わせて半分ほどの高さに切り揃える予定です。
 
   

 家庭内鑑査員の評価は→“黒すぎる、重たい、大きい”

 自分では出来もせんのに一端のことを言うんですよ、この人は。 まあ、、言われた私自身も、「何かなー、しっくりこないなー」の気分でしたので、思い切って作り直しとします。
 このモノだけを見ていれば、いやーヨーやったると思えるのですが、上部本体を載せてみると本体の軽やかさが飛んでしまいます。バランスは難しいですね。

 2月26日   高台の足を製作



 がらっと趣をかえて、2枚の竹板を接着したものから丸棒を削り出し、足にする部材を作りました。
 梁は幅広の竹板で成型しました。幅のある竹板をカーブさせて削り出すのは結構しんどい作業です。
 後は染めと漆をやってから、“スキーのジャンプ台”に組み立てます。

 3月 2日  高台完成

 染めとウルシでいい色に出来上がりました。組立では四足がガタつかない(同一平面)ようにするあたりがポイントになるでしょうか。
 すっきりと軽い感じに仕上がり、上部本体にマッチしそうです。

 作業はこの先本体縁枠の漆塗りを数回した後、高台を六つ目の裏張りに縛り込んで終了します。

 一週間後には出来上がる予定です。出品は3月21日ですので、日数的にはかなり余裕ができました。全体像は出品後に掲載します。



 昨日、3月23日は審査発表の鑑評会でした。嬉しい事に今年も入選できました。
 ほとんどがプロ工芸家の舞台で私の作品を並べて頂けることは、大変な喜びで光栄です。
 鑑評会で審査の先生が、「奨励賞をあげてもいいかなとも思ったのですが、、この部分と、このあたりので、、、」 思ったのならくれりゃいいのにねー。 残念ですが、そう言って頂けただけで十分です。
   
展覧会は、名古屋展(丸栄)5月8日から13日 岐阜展(高島屋)5月15日〜20日です。是非ご覧ください。
 審査員の先生は  東京国立近代美術館主任研究員 諸山 正則 氏
          徳川美術館副館長       四辻 秀紀 氏
          七宝作家           柴田  明 氏 の御三名。