前頁へ戻る

     第70作
                  竹花籠  鶴首         H27・3月
                                      (4月30日更新 第3号作)

   毎年恒例の工芸展出品も終わり、ちょっと一息。
 御茶席では定番の鶴首花籠です。以前から一度作ってみたいと思っていたものです。

 教室の仲間が先生から見本を借り受け、暫く前に仕上げていまして、いよいよやる気になりました。
 先生の見本作を次の教室の日まで借り受けました。

     見本作

   先生から借りた見本作です。
      
 同形同寸のコピーを作ります。

 高さ29p 胴径15p 首径5.5p
  底組み
 縦ヒゴは7本の四つ目組み。寸法は8pです。
 ヒゴの長さは120pほど必要です。巾3.5o 厚さ0.5o
 四つ目組みの形を固める感じで、ヒゴ(首のところまで巾2o 厚さ0.5o)を4、5周したあたりで斜めに縦ヒゴを追加します。 このあたりから、少しばかり立ち上げる感覚を意識しながらヒゴを回していきます。
 立ち上げ後胴径15pまで“ゆったり”と編みます。籠編み全体を通して、回しヒゴは二目押さえ一目掬いで進めます。
 この大きさと縦ヒゴの本数からすると、二目一目はかなり緩い編み方になりますので、思ったより簡単ではありません。
 胴の一番張った(胴外径 15p)所を過ぎると、首の根元に向かって直線的に窄めていきます。これが難儀なんですねー、、何しろゆる褌です、おまけにこのあたりからは立竹2本を束ねて作業します。つまり、2本押さえ一本掬いと言うことが、立ち竹4本押さえ2本掬いになります。
 手で包むように進めてもなかなか形が決まりません。

    裏ワザ考案

 胴の一番の張りを過ぎて4、5段編んだのですが、なかなか思うように窄まりません。
 立ち竹の間隔が広く、回しヒゴはゆったりした二目一目(立ち竹4本2本)ですですからね。
 裏ワザ考案。首を縛っておいてからヒゴを外から通していく方法もありかな? やってみたら非常にうまくいきます。これなら思った形にヒゴを回せます。
大発見でした。


 首編み。丸芯をあてがって編みます。
 鶴首の外径は5.5pです。
 ヒゴ幅は4oと5oです。厚さは0.4o。

  口仕上げ

 籐で形づくった輪をはめ、立ち竹2本飛んで下へ、  今度は下から、同じく立竹を2本飛んで上に、  最後、2本飛んで下へ、これで口縛りは完了です。


 出来上がり。見本作とツーショット。
 概ね同形同寸で仕上がりました。

 高さ29p 胴径15p 首径5.5p。

 このあと、ウルシと錆び付け、研ぎ出しとロウ研磨で完了です。

  ウルシ塗り

 ウルシはかなり薄めて使います。親指の頭ほど(もう少し少ないかも?)にテレピン油をかなり、、量ってやった事がないものですからうまく言えませんが、かなりたっぷりです。10倍位になっているのでしょうか。いずれにしてもこの希釈液で、大きめの刷毛(刷毛自体にかなり吸い込んでロスが当然あります。)で籠全体が塗れる量になっているわけです。(今回記録写真が無かった。)
 ウルシが途中で足らなくなって、継ぎ足しでやったりすると経験上、濃さの違いから仕上げの色目が変わったり、塗りむらの原因になりますので、余るのは覚悟で多い目の希釈液を用意することです。
 今回の籠のような黒いものではさほどのことは無いでしょうが、淡色の籠の場合には特に注意する必要があります。
 一通り塗ったら丁寧に拭き取りをします。この時いい加減な布などでやりますと、細かい繊維くずがやたらと編み目に詰まってキタナイ仕上がりになりますので、できたら拭き塗り専用のペーパーを使うべきです。化繊紙でクズが付着しません。

  錆びつけ

 ウルシがまだ乾ききっていない状態で、錆び粉を刷毛で全体に蒔き、その後余分な粉を拭き取ります。 編み目の隙間に残っている感じにします。この状態でウルシ室に入れて乾燥させますが、ここで忘れずにひと手間。ウルシが乾燥すれば籠は固まります。当然です。籠を水平面に置いたときにガタ付かないように4足(底面4ヵ所の出っ張り)を調整してから乾固させましょう。

  研ぎ出し

 しっかり拭き取ったと言ってもウルシの薄い塗膜に錆び粉がのっていて、全体が何となくのっぺりと黒ずんでいると思います。
 ヒゴ編みの凸部を軽く研いで、ほんのりした赤みを滲み出させます。軽く軽くです。私は水ペーパーの2000番でやりました。くれぐれもやり過ぎないように。
   ウルシ乾燥後。研ぎ出し前  水ペーパーで研ぎ出し。  研ぎ出し後。

  ロウで磨き

 上記の研ぎ出しとかロウ研磨の工程については、人によっては好みがありますので、特別にお勧めするものではありません。錆び付けについてもしかりです。
 研ぎ出しの画像を見てみると、荒れ肌でしょうか乾燥肌でしょうか、何か物足りなさがあります。
 最後の工程としてロウで磨きを掛けます。「イボタロウ」なる、イボタ虫(カイガラムシの仲間?)からとった動物性のロウが、昔から家具などの磨きに使われています。かなり固いロウで(だから温度変化に優れ、耐久性があるのですが。)作業に手間がかかりますので、今回はインチキで、ふつうの洋ロウソクのロウを使用しました。布にロウを擦りつけたもので磨きます。しっとりした艶が出ます。
                        これで完了です。



   3月31日、飽きもせずにまたやってしまいました。第2号出来上がり。
 結構イケる籠が出来ましたので、もう一つ作ってみたくなりました。今度はやや小振りの、各寸法が90%のものを作りました。ちょいと玄関入って、下駄箱の上で使えそうです。
 サイズは 高さ26a 胴径13.5a 首径5a (ヒゴ幅は全て×0.9 厚さは同じ)


 4月30日 懲りずにまたやりました。第3号作です。

 過日の教室で大先生に第1作2作を見て頂きましたが、「もっと錆が乗っていてもえーぞ、、お茶やる人はそんなのを好むでな。」でした。と、言う事で第3作は錆び粉を“勉強”しました。まだ足らないかもね。







 左方は錆び粉の載り具合、右は第1、2、3号
 今回の第3号“鶴首”は、知人の“つるさん”に進呈する予定です。

 



 
令和2年9月


 知人に進呈するため新規に製作しました。第95作のおまけです。材料竹は黒竹です。サイズは0.9モノです。
 5年ほどブランクがありましたが、ぼつぼつと工程を思い出し、漆塗りも含めて1週間ほどで出来上がりました。

 いつものことですが調子が出てもう一つ、2作目はメダケで作りました。鶴首作りでは口の仕舞いがポイントになりますが、曲げ部分でヒゴがひび割れしないよう注意を要しますが、黒竹とメダケを比較すると、メダケの方がより柔軟に曲がってくれるようですが、裏方向に曲げる場合は黒竹の方が失敗が少ないようでした。

 因みに立竹は裏面で組み(この場合はですが、)、最初の曲げは表、次に上に向かって裏が出て(この時ひび割れしやすい。)、最後に表で首下に流してあります。

 右が今回の2作目、メダケで色が乗っていないので薄目の黒で染め、漆を掛けました。 メダケの場合、表皮に真竹ほどの艶がありませんが、逆にしっとりした艶で仕上がりました。

 胴が丸っこいのをもう一つ作ってもいいかな? 
(R2年9月13日)