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     第88作
                    花籠 うけはなかご
                                 H29・12月
          第49回東海伝統工芸展 入選
          5月8日〜名古屋丸栄で展示 (丸栄百貨店は今年で最後になります。)
          5月17日〜岐阜高島屋で展示されます。是非ご覧ください。


 ウナギとか色んな魚を捕まえる為の竹で編んだ漁具がありますね。
 筌(うけ)と言うものですが、そんなのをイメージして花籠を作ってみることにしました。
 縦ヒゴは10本の菊底でスタート、底が立ち上がるあたりで増し竹して目数は40です。横回しは単純なござ編みです。まったく難しくありませんが、ヒゴ幅は1oですので時間がかかります。
 底から25p程まで編む予定です。いつものことですが頭の中の設計図で作業を進めています。
 この先、編み目の変化をつけるために松葉編を3、4p配する予定ですが、40目÷3=、、1余って丁度いい具合に行くはずと思っていましたが、勘違いしていました。
 松葉の場合は割り切れなくてはいけなかったのですね。結局その部分は“波編み”になりました。まあ、これでもいいかと言うことにしました。(次の画像)

 今年も
東海伝統工芸展に出品しました。月日が経つのは早いものです。8回目です。
 少しばかりは期待もしましたが、なかなか“賞”を頂くというのは難しいですね。鑑評会でも結構いい評価を頂いたんですが。
 一目見て立ち止まってもらえるようにならなくてはいけないのです

 松葉編の予定が波編みになってしまいました。

 ま、これはこれですっきりしていていいではないですか?自分で納得する。

 仕切りのラインは3本縄で一周、メリハリをつける魂胆です。

 12月23日 スタンド完成

 籠本体は細長い円筒形ですので自立しません。丸籐を細工してスタンドを作ります。上部と下部に輪を作り、3本脚に固定します。柔軟な籐と言えども、径8oの丸籐ですので、思いのカーブに仕立てることがかなり難儀な作業でした。
 上部丸枠の固定、縛り。赤ポイントはほんのお遊び。  下部、上部よりも輪の径がやや小さめですので、支柱との間に丸籐を削ったもので“腕”を出しました。  スタンド完成。ウルシで仕上げます。  取りあえず未完成の本体を載せました。しっくり納まりました。

 
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 天上からお告げがあり、本体籠を作ってからスタンドを作った方がバランスがいいのでは?
 と言うことで本体を先に作ります。まずは本体内籠のヒゴ作りに取り掛かります。このスタンドはお蔵入りになりそうです。

 12月27日 極細ヒゴ作成
 内籠はいつもの四つ目編み(見た目は四つ目、編みとしては透かし網代でしょうか、)として、ヒゴは2本並べで80目、片方斜めで160本、必要数320本を用意します。
 出来上がりのヒゴは、巾0.7o 厚さ0.25o

 最終の割巾を1.5oとすると、余裕を持って400本なら、材料竹は幅にして60p分です。  1.5oの8本分、12oに割りました。  さらに半分で、6ミリ幅です。この段階で厚みを薄くして、表皮を剥ぎます。(磨き、私はこの段階で。)
 6oを4本割りするつもりでした、どうも5本に割った方がいいのかな? 5本割りにしても1.2oで十分です。目的の幅(0.7o)に近い方が、幅きめが楽になります。
 360本出来ました。4本のつもりを5本に割って、右は余りました。
 左の材料を一旦0.5oに剥いだ後、幅きめ(0.7o)をしてこの厚みの段階で面取りしておきます。
 画像は最終工程、2回厚さきめカンナに通して、0.25o厚にして完了です。
 ヒゴ360本出来上がりました。
 …本日、大晦日です。
 農作業もしながら、もちつきもしながらで、延べ5日の仕事です。

謹賀新年
 平成30年

  ヒゴ並べ
 元旦はそれなりに行事?があったりしますが、二日ともなると時間が出来ます。暮れに出来上がったヒゴを染めて、いよいよ内籠の編み作業に入ります。

 籠の元径は8p、周は概ね25pです。ここへ用意したヒゴ2本×80目並べました。80目ですから一目3.12o、ヒゴ幅は0.7×2ですので丁度いいはずと計算していました。
 斜め右、一回り並べるのにも結構時間がかかります。一周並べ終え、次に左向きのヒゴを並べかけたのですが、どうにもきつくていけません。よーく考えたら、斜め45度に並べるとヒゴ幅0.7×2ではいけないですね、当たり前だ。1・1・√2だから、×1.41でした。きついはずです。本数を勘定していた時、やっぱりアルコールが回っていたのでしょうね? 容易に推察されます。
 目数を60目でやり直すことにします。

【80目がきついなら70目で、と言う訳にはいきません。本体が80目、縛りは4目飛ばしで20か所の予定です。20か所で縛ろうとすると、3目飛ばしでやったとして ×20で、60目になります。70では20目で割り切れません。】

 1月8日 ようやくここまで来ました。
 口径は20pを予定していますので、あと少しです。

 ヒゴの先は20p近く切り捨てることになりますが、余裕のある長さで編むことで楽に編むことが出来ます。
 口が広がるにつれ編みが緩くなるので(ヒゴ同士の噛みつきが緩くなり非常に編みづらい)、このあたり根気がいる作業でストレスが溜まります。

 概ね内籠が編めたところで、気分を変えてスタンドの作り直しに取り掛かることにします。
 胴が嵌まるリングは今回、丸籐の半割で作りました。かなり楽に丸くすることが出来ました。(前回は丸籐そのままでリングを作っています。)
 三脚を立体に形作るのに結構骨が折れます。まずは接着剤で組み立てますが(仮止めです。)、竹釘を打って強度的に芯のあるものに仕上げます。最終的には籐ヒゴで縛り上げ、漆で固着させます。前のものに比べてすっきりして“品”がありますね? 自己満足!


 1月18日

 内籠の仕上げです。本体籠に納まるよう、胴にフランジを付けます。
 本体胴の内径は8.7p、内籠外径は8.1pですので、3o厚のフランジです。黒染めした0.6o厚の薄ヒゴを4周ほど回しました。芯を安定させるため2段です。

 本体と内籠を間隔をとって(今作は5o程度)構成することで、“モアレ”の効果が出ることを期待します。

 本体に嵌め込んだのち、このフランジの部分を縛り込んで合体させます。

  1月24日

 縁枠縛り  内籠を本体に取り付けた後、縁枠(上下2枚)をあてがい縛り込みします。同時に縛り込んでいる幅広と細の籐ヒゴは、サンドウィッチにした縁枠の中身の目隠しと、最終工程の縁篝りの下工程です。
 縛りの籐ヒゴは幅1o、厚さ0.35oです。縛りに使う籐ヒゴはやたら薄くしない方が、やや厚みがある方が存在感が出ます。

  最終工程

 飾縛りは蛇腹巻で、3目進んで2目戻るで仕上げます。
 今回は口径が20p程ですので、周長は63p、大ぶりの籠に比べたらほぼ半分ですので楽なものです。
 上画像の下縛りで1日半、この飾り縛りも1日半で完了しました。
 概ね全体が出来ましたが、画像アップは3月上旬にします。

 全て完成にはまだ細部のウルシ塗りと、水入れの筒を作らなくてはいけません。

  底上げ
 本体胴の底は丸く先細りになっています。落としを安定して入れるために木製でパッドを作りました。
 そこらにあった木片を3本、木工ボンドで接着した後、丸く削ります。 籠の底にしっくり納まる様にノコと切り出しナイフで丁寧に削り出しました。ウルシを掛けて完成です。籠の底に籐で縛って納めました。

   
細ヒゴの作成・その2

 本作は概ね完了です。かなり時間に余裕が出来ましたので、次作に使える(まだ姿は決まっていませんが、)材料ヒゴを作っておきます。今作と同様に巾0.7oヒゴを400本程です。


 今回は材料竹の割巾を1oまで細くしました。右が割ったもので、左が0.7oに巾きめしたヒゴです。
 ヒゴ作りでは最後に引くときの幅が目的の幅に近いほど都合がいい訳ですから、鉈〜細割りナイフで1oでやってみました。巾きめが一回で済みます。

 材料竹を罫書きで8o、これを半分で4oです。この段階で表皮を削り(磨き)厚みを梳きカンナで0.5o程度に整えておきます。
 更に半分、半分で1oです。幅きめが楽に出来ます。

【考察】 割り工程最終の2oを1oに割るあたりでは、ややナイフの送りが遅くなるきらいがありました。時間的なパフォーマンスを考えると、1.1o位で手を打つのがいいのかもね。