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    第
26
  
1995年5月3日   石徹白の林道に追いはぎが出た  (R 2年 2月26日 記)


 最近車を変えました。三菱のRVRと言うやつでもちろん四駆です。まあ歳から言っても最後だろうし、ご時勢ですので衝突被害軽減ブレーキというやつですよ。これでスーパーに買い出しに行きます。
 今まで乗っていたのがデリカ5、定年を機に買い替え、12年乗りました。更にその先代もデリカで15年乗りましたが、こいつが優れモノで、高い席から運転がし易く、とりあえず男4人が抱き合って寝ることが出来ました。渓流通いには最高でしたね。
 先代デリカで思い出すのは今から25年も前の話になりますが、追いはぎ事件でしょう。
 5月、この時期源流部は雪の中、イワナを求めてOti、Su、Hiと、私Naサンの4人、岐阜県と福井県の県境石徹白川(イトシロ)源流を目指した。

 白山中居神社脇から石徹白川の本流沿いに林道を行きます。私、こういったガレ道の林道が好きですねー。ただこの時期、以前ならこの辺りから既に雪道であったと思いますが、この頃は随分雪も少なくなっていました。この年の前年でしたか、大水が出てかなり河原も荒れたようで、各所で災害復旧工事をやっていました。
 支谷の倉谷川を過ぎてしばらくのあたり、情けない話にOtiとSuが車酔いして降ろしてくれと言います。土砂崩れがどの辺りか、どこまで車が入れるのか確認しなくちゃいけませんので酔った二人を降ろし、Hiと二人で先を偵察することにしました。

 この先には白山登山の登り口があります。そこを過ぎて案の定、しばらく行ったところで崖崩れになっていました。「Hi君、今晩はこの辺りで車停めて、明日はここから源流まで歩きだな!」  さーてと二人を迎えに戻らにゃいかんなー、、今来た林道を下ります。「あれ、何で明かりが見えるんだ ?」
 降ろした二人がうろうろしています。それとヘッドライトを点けた車が斜めになっている姿が目に飛び込んできました。なんじゃこりゃー、「Hi君、車がブチ落っとるぞー。」

 見ると若い二人のアベックです。車が路肩から滑り落ちてスタックしています。
 二人で登山口に向かうつもりだったのでしょうか。ちょうどこの辺りで災害復旧の工事用道路が河原側に仮設されているようだ。

 林道を彼氏と彼女はワクワクしながら進んでいたのでしょう。「ナニあれ、なんだろな? 追いはぎだー。左に道がある、こっち行こう。 アレー、、」 まともな道路でありません。

 そりゃビックリするだろうね、真っ暗な林道に車のライトで突然、腰を屈めたムサイ男が二人立っていたら誰だって腰を抜かすでしょうよ。

 左にとったのは工事用の仮設道路です。真っ暗な中、路肩もはっきりしないところへ侵入したものですから、ズリズリー、、二輪駆動の乗用車では万事休す。タイヤを空転させもがいていました。

 どれどれ、なーんでこんな方に突っ込んじゃたんだよ。そーか、このおじさんたちを追いはぎと思ったんだよな?
 大丈夫、助けたる。この日のために、この時のために愛車デリカ4WDにはけん引ロープを積んでいます。懐中電灯を点け、ワイヤーロープを繋ぎました。よく見えるようにバックで引き揚げます。若者、運手席に乗り込んで、、、サー引くぞ…… 訳なく引きずり上げました。

 かの追いはぎ二人も何かと世話をやき、万事目出度しめでたしです。この時若者はオジサンたちを石徹白林道で出会った神様 に思えたのではないでしょうか。

 「ありがとうございました、缶ビール是非受け取ってください!」「そんなんせんでもえーよ、君ら楽しみに持ってきたんだろうに、」 500㎖の缶ビールを差し出すではないですか。どうしても受け取ってほしいと懇願され、それ程言うのならと頂くことにしました。余程嬉しかったんだろうね。

 なーんか原因作ったのは我々の方だったかもしれませんが、ま、人助けをしたということで心が和みました。「気を付けて行けヨー、」  さーてこの二人、今はどうしているのでしょうか。