当スタジオの店内に上のような貼り紙が貼ってあります。ちょこっと補足しようと思います。

決して「パンクバンド」の出入りを禁じている訳ではありません。このような貼り紙を貼っていると、 単純にパンクバンドを閉め出しているように感じるかも知れませんが、少し意味合いが違います。

パンクバンドの連中が全てマナーが悪い訳では無い事は充分理解しております。

ご承知のように、パンクのライブにおいては、今さらながら、観客に対するダイビングや、ステージ上での 粗暴な振る舞いが大切な演出になっている事は、どうしようも無い事実です。

しかし、これを練習スタジオの中で実践する必要があるでしょうか?当然、機材も傷むしスタジオの床、壁、 備品の楽器類も壊れやすくなります。

過去にバスドラムの上から飛び降りて練習するバンドがありました。 ご自身の楽器でやられるならば、自由ですが、他のバンドの皆さんも使う事になるスタジオの備品を 荒っぽく扱うバンドに対して注意を促す事もやむを得ない事だと思います。

そんなバンドの練習の後には必ずと云っていいほど シンバルが割れ、スピーカーが壊れ、マイクのグリルがボコボコになっています。 これを消耗品だから仕方が無い!とは、思いたくないのです。

当スタジオは企業が利益優先で運営しているスタジオではありません。 私個人が、機材の選定、購入、メンテナンスまで、自分の楽器を扱うように毎日のようにチェックしながら 使用しております。従って壊れたからといって、すぐ新品購入と云う訳にもいかず、自分で修理したり、改造したりします。

スタジオの中で、掃除機をかけ、お客様のタバコの吸いがらを拾い、トイレの掃除をしながら、予約の電話に対応し、 レコーディング用のシールドコードを半田付けし、宣伝用のチラシを作り、このサイトも1人でパソコンに向かって作っています。 そんな状態ですから、スタジオの備品だからといって粗暴に扱うバンドの連中を許す事はできないのです。

良いミュージシャンは例外無く楽器を大切にします。 あのイチロー選手だって野球道具の手入れには人一倍、気を使っていると云います。

このところ、本気でミュージシャンを目指す若い人たちが少なくなっているせいか、 なんでもアリで、粗暴な振る舞いの「お客様」でも、我々スタジオスタッフは注意出来ない。 数少ない「お客様」ですからじっと黙っている。こんな事でいいんでしょうか?

当スタジオに貼ってあるアノ紙は、ささやかな抵抗なのです。

おとなしい音楽をやっているバンドの中にも、ロクに挨拶もできず、スタジオ内での楽器や備品の扱いが 荒っぽいバンドの人達も確かに存在します。

ただ、確率的に「パンク」を勘違いしているバンドに「粗暴な」バンドが多いと云う事実も否定出来ません。 「パンキッシュ」な振る舞いを「練習する」事ほど、カッコ悪い事は無い!と私などは、考えてしまうのですが・・・。

練習は練習!ライブはライブ!、この当たり前すぎる事実を理解していただきたいと考え、 アノ「貼り紙」が貼ってあります。

練習をホントの意味での練習ととらえ、利用していただく分には、「パンクバンド」だろうと「コアバンド」だろうと 大歓迎です。 どんどん利用してやって下さい。

精神的にはとても「パンキッシュ」な「スタジオスタッフ」の独り言でした。