○創る人びと“心の風邪”を治す小児科医 高橋昌久さん(37) みんなの優しいパパに
                                  毎日新聞 愛知県内板 2003/8/15 「創る人びと」

「風邪を治せる医者はどこにでもいます。子どもの心の中も、しっかり診てあげたいんです」。豊田市で活動する異色の小児科開業医がいる。「こどもクリニック・パパ」を同市東梅坪町に開き、臨床心理士の肩書も持つ高橋昌久さん(37)だ。一般外来の診察は午前中と夕方だけ。午後いっぱいを心療内科に充て、不登校や児童虐待の問題に取り組む。「マニュアルやテキストなんかない世界。医学だけでは対処できない」と、心の問題に取り組んでいる。

 今のような人生が待っていようとは、思ってもいなかった。医大生だったころ、小児科の雰囲気の明るさにひかれて小児科医を志した。瀬戸市内や岐阜県内の病院で経験を積み、博士号取得を目的に一九九七年、名古屋大の大学院へ。消化器系疾患を研究するために小児消化器外来をつくった。身体的な研究をするはずだったこの外来での出来事が、高橋さんの運命を大きく変えることになった。   
 外来のスタート後、ある異変に気づいた。「おなかが痛い」という子どもを検査しても、全くデータに異常がない。九割以上がそんな状態。事情を聴いていくと、不登校という問題に突き当たった。「心の治療が必要だ」と強く感じた。
 さらに驚くことがあった。「実は…」。診療中に突然、中学生の女子が泣き出し、親からの虐待の事実を打ち明けた。思いもよらない告白。頭を殴られたようだった。正直に言って、困惑した。児童相談所への通報といったマニュアルはもちろん分かっていたが「医師は本当にそれだけでいいのか。見過ごすわけにはいかない」。熱い思いに突き動かされた。

 心の問題を扱うには、子どもだけではなく、親や生活環境への対処も必要になる。子どもや親のカウンセリングを進める一方、
三年かけて臨床心理士の免許を取得し、より専門的な知識を身に付けた。
 その後、豊田市内の病院の勤務医になっても、子どもの問題にかかわり続けた。活躍の場は広がった。「子どもの虐待防止ネットワーク・あいち」(CAPNA)の中心的メンバー。不登校問題を考える豊田市の委員。スクールカウンセラー−。二足、三足のわらじに多忙を極めた。そんな中で「本腰を入れて、不登校や虐待の問題に取り組みたい」と考えるようになり、クリニックを昨年開業した。

 「“心の風邪”は三、四日では治らないでしょ」。完治には長い時間がかかる。根気と配慮が欠かせない仕事だ。だからこそ「かつてカウンセリングをした子どもたちが笑顔を見せてくれると、その瞬間が素直にうれしいんですよ。『医者や臨床心理士になりたい』と言ってくれる子もいて…」。自分までうれしくなるたびに、子どもたちみんなの優しい“パパ”であり続けたい、との思いを強くしている。(渡辺泰之)

「子どもの心の中もしっかり診てあげたい」と話す高橋さん=豊田市東梅坪町の「こどもクリニック・パパ」で

03年度人権賞に高橋昌久さん 豊田で子供の心身の医療−−名古屋弁護士会  毎日新聞 031211

 名古屋弁護士会は10日、03年度人権賞の受賞者を、豊田市東梅坪町で小児科を営む医師、高橋昌久さん(38)=瀬戸市大阪町=に決定したと発表した。同賞は県内で地道に人権擁護活動を続ける人や団体が対象。高橋さんは、「子供が子供らしく生きる権利」を多面的に追求する姿勢が評価された。
 子供のための活動を始めるきっかけは、診察していた女子中学生が親からの性的虐待を突然話したこと。当時、訪れる子供の多くが心身症であることに気づいた高橋さんは、進んで子供の話し相手をするようになっていたが、この件で「生半可な気持ちではできない」ことに気付いたという。高橋さんは、子どもの虐待防止ネットワークあいち(CAPNA)や児童相談所に相談する一方で、カウンセリングの専門家になるべく臨床心理士の資格を取得し、子供や子育てに悩む親を助けるようになる。
 02年10月には、豊田市で小児科と子供の心療内科を兼ねた「こどもクリニック・パパ」を開業。現在は医師、臨床心理士のほかCAPNA理事としても活躍。同市内の中学校のスクールカウンセラーも務めている。
 10日に行われた表彰式で、高橋さんは「これまでやってきたことが結実したわけではないのに賞をいただいたことで、活動を根付かせる責任を感じている」と受賞の感想を話した。今後は「子供たちのために何かしたいと思う仲間を募り、協力して子供が住みやすい地域社会をつくりたい」という。【飯田和樹】 (毎日新聞 031211)
http://www.mainichi.co.jp/area/aichi/news/20031211k0000c023004000c.html

名古屋弁護士会の「人権賞」児童虐待防止の高橋さん(小児科医)に 読売新聞 031211

名古屋弁護士会の第十五回人権賞に「子どもの虐待防止ネットワーク・あいち(CAPNA)」の理事で、小児科医の高橋昌久さん(38)(瀬戸市)が選ばれ、「世界人権デー」の十日、名古屋市中区の名古屋弁護士会館で授賞式が開かれた。 高橋さんは、子どものカウンセリングを通して虐待や不登校を察知。児童虐待防止のネットワークづくりに努め、「子どもらしく生きる権利」を擁護した功績が認められた。
 高橋さんは一九九二年三月、香川医科大医学部を卒業し、名古屋大付属病院などを経て、昨年十月に豊田市で小児科医院を開業した。今年四月から、同市の中学校のスクールカウンセラーも務めている。
 高橋さんは名大病院に勤務していた時、女児が突然、父親から虐待を受けていることを明かしたことがきっかけで、虐待問題に関心を持ち、九九年にCAPNAに入会した。その後は学校関係者を対象に虐待防止講座を開くなどし、家庭、小中学校、児童相談所、医師のネットワークづくりを提唱している。
 授賞式の後、高橋さんは「小児科医としての枠を越えた活動が正しいか分からなかったが、第三者に認められてうれしい。活動を始めたばかりなので、仲間を増やしていきたい」と話した。 (読売新聞 031211)
 
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aichi/news001.htm

愛知県内板 2003/12/11 03年度人権賞