平成4年ワ第2936号(被告さいとう 第三準備書面)


第三準備書面

平成四年(ワ)第二九三六号

          第 三 準 備 書 面

原  告翠松園道路対策組合
被  告株式会社さ い と う
 外八名


 平成六年二月一日

右被告株式会社さいとう訴訟代理人     
弁護士  加 藤 洪 太 郎
弁護士  田   原   裕   之


名 古 屋 地 方 裁 判 所 民 事 第 六 部(合議係) 御 中


  被告株式会社さいとうは、この準備書面により、原告の請求原因に対して以下の通り認否する。なお、以下の認否は、従前の認否及び主張を前提に、原告の準備書面による主張を踏まえて、整理したものである。

第一 主位的請求原因に対する認否
一、地役権の存在
1 原告は、「昭和二年ころ、朝倉、谷口の両名が翠松園分譲土地購入者のために道路敷地に無期限の無償通行地役権を明示または黙示的に設定した」旨主張する(訴状請求原因三)。
 被告株式会社さいとう(以下、単に被告という)は、右主張を否認する。原告は、その後、「通行地役権が明示的に設定された」との主張も立証もしていない。原告は、「明示の設定契約」の主張を撤回したものと思料される。
2 原告は、「通行地役権が黙示的に設定された」ことが推認される事情として三点を主張する(平成五年九月七日付け第四準備書面、一)ので、これについて認否する。
 (1)の事実について
   不知ないし否認する。
 (2)の事実について
   不知ないし否認する。
 (3)の事実について
   不知ないし否認する。
二、地役権の主体
  被告は、原告主張の地役権が誰と誰との間で設定されたのかと明確にすることを求めてきた(平成五年六月二五日付け第二準備書面、一項)が、原告は明らかにしない。
 後述する平成五年一〇月一五日付け訴変更申請書別表(一)記載の土地の所有者が現在の地役権者であると主張するものと思料される。
 仮にそうだとすれば、被告は原告の右主張を否認する。
三、地役権の内容
1 原告は、「通行地役権の内容には、下水排水設備または公共下水道に連結するための設備、市道に埋設の上水道、都市ガスの基幹管からの導入管設備をすることを含む」旨主張する(訴状請求原因三)。
 被告は、右の事実を否認し、主張を争う。その理由は、平成五年六月二五日付け第二準備書面、二項のとおりである。加えて、個々の地役権者の通行のために、原告組合構成員全員の用に供する設備を設置する内容が含まれることはありえない。
2 原告は、さらに、右主張内容を平成五年九月七日付け第四準備書面、二において敷衍している。
 被告は、右に摘示する事実は不知ないし否認し、主張は争う。
四、妨害予防請求権としての承諾請求
  原告は、本件承諾請求は、妨害予防請求権である旨主張する。しかし、妨害予防請求権としての承諾請求権はありえない(平成五年六月二五日付け第二準備書面、四項)。
五、地役権の対抗力
1 原告は、平成五年一〇月一五日付け第五準備書面において、「通行地役権は登記なくして被告に対抗できる」旨主張する。
 被告は、右主張を争う。
2 原告は、右主張の理由として、二点を挙げる。
(一)原告が摘示する第一点のうち、本件土地(一)を取得したのが昭和四一年以降である事実は認め、その余の事実は否認する。
(二)原告が摘示する第二点のうち、被告が導管工事の施行についての承諾要請を拒否している事実は認め、その余の事実は否認する。「被告が導管を拒否することが信義則違反、権利の濫用として許されない」「被告は登記のないことを主張しうる正当な利益を有する第三者に該当しない」との主張は争う。
六、任意的訴訟担当
  任意的訴訟担当に関する原告の主張は争う(平成五年六月二五日付け第二準備書面、五項)。

第二 予備的請求原因に対する認否
一、囲繞地
 平成五年一〇月一五日付け訴変更申請書別表(一)記載の土地が囲繞地となっている事実は認める。
二、囲繞地通行権の主体
 右訴変更申請書別表(一)記載の所有者が、本件土地(一)について、被告に対して囲繞地通行権を有することは認める。原告は、「住民の通行権」(右訴変更申請書三丁裏八行目)とするが、「住民」一般は通行権の権利者足りえない。
三、囲繞地通行権の内容
 本件囲繞地通行権に、「下水排水設備または公共下水道に連結するための設備、市道に埋設の上水道、都市ガスの基幹管からの導入管設備工事をなす権利を包含する」旨の主張は否認する。囲繞地通行権は、袋地から公道に通ずるための権利であり、これに原告主張のような権利が含まれることはありえない。加えて、右第一でも述べたように、個々の囲繞地通行権者の通行のために、原告組合構成員全員の用に供する設備を設置する内容が含まれることはありえない。
四、妨害予防請求権としての承諾請求
 原告は、本件承諾請求は、妨害予防請求権である旨主張する。しかし、妨害予防請求権としての承諾請求権はありえない。この理は、右第一で述べたと同様である。
五、囲繞地通行権の対抗力
 原告の平成五年一〇月一五日付け第五準備書面(三)の主張のうち、「付言」部分の主張は認め、その余の主張は争う。
六、任意的訴訟担当
  任意的訴訟担当に関する原告の主張は争う。この点は、右第一と同様である。



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