一 本件物件の取得経緯について
(1) 被告丹羽は、昭和四一年一二月二三日、当時の本件物件の所有者山田正司に対し金二〇〇万円を利息日歩四銭一厘、損害金日歩八銭二厘、返済期限昭和四二年六月二二日の約定で貸し渡し、その担保として本件物件に代物弁済予約を原因とする所有権移転の仮登記および抵当権設定の登記をなしていた。
この当時被告丹羽は、本件物件は山林であるとの説明により、道路敷地であったことは知らずに二〇〇万円もの大金を融通し、担保に取ったものである。
(2) 然るに、訴外山田は右借入金の返済をしないので、被告は止むを得ず競売の申立をなしこれを競落により取得することになった。
その取得に際し、本件が現況道路であることを始めて知った。
昭和四一年といえば今から二五年以上も前のことであり、その頃の二〇〇万円は現在の一〇倍以上の価値があったものであり、本件分譲地は一坪数千円であったはずである。
二 本件翠松園の宅地造成について
本件宅地は、原告が自認するように、大正末期または昭和初年に名古屋市郊外の別荘として分譲計画されたものであるから、原告が主張するように、到底現在の近代都市に於ける文化的な諸設備のための負担を当時の道路部分に予想されていたものではない。
排水は自然排水であり、ガスはなく、水道も自然水または井戸水であった。