平成4年ワ第2936号(被告◯◯◯◯ 準備書面)


準 備 書 面

平成四年(ワ)第二九三六号

          準  備   書   面

原  告翠松園道路対策組合
被  告株式会社さ い と う
 外七名

 一九九五年七月二四日

右被告有限会社◯◯◯◯(吸収前有限会社◯◯◯◯)
代理人弁護士伊   神   喜   弘

名古屋地方裁判所民事第六部 御  中


                記

(原告第九準備書面「第三、被告有限会社◯◯◯◯所有土地について」につき)
一、(一)に対する反論
1、被告の主張に対し、原告は名古屋地方裁判所昭和五一年(ワ)第五六三号水道工事同意請求事件の確定判決の既判力に抵触するという。しかし、この主張は以上の諸点により失当である。
1) 第一に原告は右事件の当事者ではないし、これの承継人でもない。
2) 第二に原告は右別訴判決は本件(七)の土地を道路用地と認定しているというが、この認定には既判力は及ばない。
既判力があるのは、別訴判決当時名古屋市が実行しようとしていた水道の布設工事及び給水装置工事に対する同意請求権についてだけである。
 しかも水道工事の布設工事及び給水装置工事は既に終了しているのであるからこの後に更に別訴判決について既判力を観念する余地はない。
3) 第三に今回の請求は「原告が訴外名古屋市に対し、名古屋市私道整備要綱(昭和四九年三月一三日制定)による整備工事施行申請及び私道における公共下水道設置要綱(昭和六一年四月一日施行)による公共下水道設置申請をし、且つ、これに基づき別紙図面(八)記載の道路整備工事及び下水排水工事をし、その保持、管理をすること」であり、いわば道路工事及び下水道工事の受忍を求めるものであって、別訴判決とは全く異なるものである。
4) 第四に別訴判決は被告三洋工業株式会社の破産管財人不出頭のまま擬判日自により判決がなされたものであるところ、この事情は原告においても十分承知のところである。
 したがって、たまたま被告不出頭で得られた判決を笠にして、厳密な意味での既判力が認められる事項を越えて、前訴の判決の既判力に名を藉りて拡大して権利主張することは、訴訟上の信義則にも反する。
2(一)原告は本件土地が最低地であることを強調するが、それは本件土地の左右の土地をその後土盛したという人為的な行為によるものである。
(二)  本件土地を道路として使用しなければならない必要性が全く認められないことは、その位置関係より明らかである。
 本件土地に関する名古屋地方裁判所昭和六二年(ケ)第二九一号強制競売事件の現況調査報告書(乙三号証)によれば、執行官は関係者の意見も十分聴いた上、「それら現況を重視した観点からすれば本件土地はとうてい道路敷地とは認め難いものである。以上により、本件土地は雑種地と認めるのを相当とする」とある。
 被告有限会社◯◯◯◯は「道路敷地でなく雑種地」との右現況調査報告書の記載を信頼したうえ、六二八万円で本件土地を競落したものである。
(三)  原告らは本件土地が最低地で下水道管敷設が必要だというが、本件土地は道路敷地と認められないし、且つ、原告ら自身の土地の地中に下水道管を埋設することは技術的に十分可能のはずである。
 したがって、仮に下水道管敷設が必要としても地中埋設の方法で原告らのいずれかの土地を利用すればよいのであり、これをしようとせず本件土地に下水道管を埋設しようとすることは不当に自己の利益を擁護するとのそしりを免れえない。
3、原告らは名古屋高等裁判所昭和六一年(ネ)第五九五号道路舗装工事同意請求控訴事件の昭和六三年一二月二〇日の裁判上の和解(甲一〇号証)に三洋工業株式会社が利害関係人として参加しているという。
 しかし、本件土地は名古屋地方裁判所昭和六二年(ケ)第二九一号強制競売申立事件により昭和六二年六月一日競売開始決定がなされ、同月二日その旨登記もされ、この差押の効力は被告有限会社◯◯◯◯が平成元年一〇月一六日売却により所有権取得するまで続いていた(甲六号証の六)。
 したがって、かかる差押の効力の続いていた期間の途中の昭和六三年一二月二〇日において、当時の所有者である三洋工業株式会社は処分権を有しないことは法律上明白であり、原告引用の和解(甲一〇号証)は本件土地に関しては無効である(そもそも三洋工業株式会社の委任状の交付自体疑問がある)。
二、(二)に対する反論
   本件土地が道路用地と認定しうるものでないことは前述した。
  原告は翠松園第三回分譲地区画図を引用するが、かかる文書は被告有限会社◯◯◯◯には何のかかわりもないものである。
三、(三)に対する反論
   前述したところであり、下水道の域外土地に排水するについては原告らの土地を利用すればよい。 

註:当事者からの申し入れにより、当事者名の一部については匿名としました。


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