平成4年ワ第2936号(証人調書1)


証 人 調 書
 事件の表示   平 成 四 年 ワ 第 二九三六 号
    証 人 調 書        この調書は、第七回口頭弁論調書と一体となるものである。
 期   日  平成 八 年 八月三〇日
 午前 一〇時 三〇分
   宣誓そ
   の他の
   状況
  裁判長は、宣誓の趣旨を告げ、証人が
  うそを言った場合の罰を注意し、別紙
  宣誓書を読み上げさせてその誓いをさ
  せた。
 氏   名 横  田  英  一
 年   齢 昭和二五年◯月◯◯日生
 職   業 塾教師
 住   所 名古屋市守山区大字小幡字北山
 二七五八番地の◯◯◯
陳  述  の  要  領
別紙速記録記載のとおり
尋問続行
                           裁判所書記官  山 田 高 久

宣      誓

良心に従つて、ほんとうのことを申します。
知つていることをかくしたり、
無いことを申したりなど、
決していたしません。
右のとおり誓います。

             横 田 英 一

  速   記   録   平 成 八 年 八月 三 〇 日
第 七 回 口 頭 弁 論
 事 件 番 号  平成四年(ワ)第二九三六号 証  人
氏  名
 横   田   英   一
原告代理人(高津)
甲第四五号証を示す
この陳述書の記載についてお尋ねします。この訴訟で平成五年五月七日付けで提出してある証拠申出書によりますと、横田証人に対する尋問事項として(一項から六項まで読み上げた)、六項目の事項がありますが、今回提出されました陳述書の記載は、この尋問事項にも答えるということで作成されたものですか。
あらかじめ申し上げておきたいことがございますが、私の書きました陳述書の中でやむを得ず法律の用語を使わざるを得ないところがありましたけれども、私はもとより法律の専門家ではございませんので間違った語法があるかもしれません。で、先ほどの御質問でございますけれども、逐一答える形で書いてないかもしれません。しかしながら、本訴の性格、あるいは本訴の背景、原告の立場について十分に裁判所に御理解いただきたいと願った内容については思うところを書いたつもりでございます。
この陳述書の記載は証人が自発的にお書きになったもので、ほかから言われて書いた事項はありませんね。
先ほども申し上げましたように、本訴について御理解いただくためには本訴の背景になった道路問題の経緯について御理解をいただきたいというふうにも思っておりましたので、証人の申請をした時点から少しずつ準備を始めまして、私が原稿を作り、作成したものでございます。
証人は原告組合の役員ではないですね。
ございません。一組合員でございます。
証人は翠松園会の副会長ですね。
はい。
副会長は何名置かれておりますか。
副会長は私を含めまして三名でございます。
証人は翠松園の道路等整備事業、その関係の仕事を担当する専任の副会長ということですね。
はい。それについては陳述書の中でも申し述べましたけれども、平成二年に翠松園会の規約を改正いたしまして、翠松園道路等整備事業にかかわる業務を専任する副会長を置くことといたしましたので、そのとき以来、整備事業専任の副会長を務めております。
その担当してみえる職務を行う、そういう必要のためにも原告組合と協力して仕事をやってきたということですね。
はい。私の職務については陳述書の中でも書きましたけれども、私の職務を行う上で、現在どこまで整備が進んでいるか、この先、整備が進まないのはどこに起因するかということを十分に理解しておかなければ私の職務自体はできません。で、具体的に申しますと、例えば住民の皆様から… … …。
細かい点は陳述書に書かれてあるとおりでございますが、それでよろしいですね。
はい。
今回提出した尋問事項の第三項は御覧になったですか。
見ております。
この点ですけれども、証人が作成された陳述書の六ページの二行目に、「本件一ないし六土地」とありますが、これは本件準備手続の要約調書記載の本件一ないし六の各土地を指しており、このうち本件の被告有限会社◯◯◯◯の所有土地は本件六土地であり、また本件と弁論分離中の相被告破産者株式会社一商の所有土地は本件二の土地であり、その余の本件一土地及び本件三土地、本件四土地、本件五土地については本年三月から六月までの間にいずれも和解が成立して、訴外名古屋市に寄付され、公道化されたということについても陳述書の二二ページに記載されているとおりですか。
そのとおりでございます。
甲第一号証を示す
翠松園道路対策組合の規約でございますが、これはだれが作ったものですか。
規約にも書いてございますとおり、結成と同時に決められたものでございます。
組合で決められた書類。
組合発足と同時にこの規約を作ったというふうに私は聞いております。
甲第二号証の一ないし五を示す
これはだれが作ったものでしょうか。
これは私が作成いたしました。
いつ作成されたものですか。
これは平成五年の三月末でございます。
甲第五号証を示す
これは何ですか。
翠松園会の会員名簿でございます。
これはだれが作ったものですか。
翠松園会の会員名簿は、翠松園会の規約によりまして年に一度発行することになっておりまして、担当は庶務の副会長が担当しております。
甲第七号証の一ないし九を示す
これはだれが撮影しましたか。
翠松園道路対策組合の当時の副理事長、現在の理事長でございますが、井上さんが撮影なさいました。
撮影の場所はどこでしょうか。
当初本訴を提起いたしました七筆の土地を写したものであると思います。
九の下に「別紙図面」と書いてありますね。
甲第八号証を示す
その別紙図面というのはこれですか。
そうです。
これに撮影場所が書いてあるわけですね。
はい。
これはだれが作ったものですか。
それはもとは株式会社関西地学協会というところが作っております住宅地図でございまして、翠松園の居住者のお名前がよく分かるのに便利でございますので利用しております。これはそれを拡大コピーしたものだと思います。
甲第八号証で、本件六土地はどこにありますか。
これでございます。番号で言うと (9)の矢印がついている土地で、両隣に坂井さんと早川さんのお宅がございます。
「三八二」と書いてありますね。
そうです。
甲第一一号証を示す
これはだれが作成したものでしょうか。
これは表紙にも書いてございますとおり、名古屋市守山土木事務所が作成をいたしまして、平成元年一〇月に翠松園会と翠松園道路対策組合の主催で行いました道路整備に関する説明会において、説明資料として当日配布され、また翠松園会が各戸に配布した資料でございます。
甲第一一号証の二枚目に地図がありますね。その地図は、
甲第四四号証を示す
これと同じものでしょうか。
同じものでございまして、甲第四四号証が原本でございます。甲第一一号証に添付されているのはそれを縮小したコピーでございます。
甲第一二号証を示す
これはだれが作成したものでしょうか。
文案については私が起案いたしまして、会長名で出しました。当時の会長はここにもございますとおり、田島豊さんでございます。
これは何をするためか簡単に答えてください。
園内で未解決のところについては舗装がなされておりませんでしたので、住民は非常に苦労をしておりました。で、そのために住民から強い要望がございまして、未解決道路の一部について、緊急を要する最低限のところについて翠松園会の責任で舗装をした、そのときの回覧の文書が一つと、道路地主にあてたお願いの手紙の写しでございます。
甲第一六号証を示す
これは何ですか。
これは中日新聞の記事の写しでございます。
作成者はだれでしょうか。
厳密に言いますと中日新聞社ということになりますが、これは被告破産会社一商の管財人のほうから仮処分関連についての証拠の請求がございまして、仮処分決定書とともに中日新聞の記事の写しを出したものでございます。
そうしますと、この土地の所有者は相被告の株式会社一商の所有になるわけですね。
そのとおりでございます。
甲第一九号証ないし甲第二一号証をしめす
甲第一九号証は第一回住宅分譲地区画明細図でありますが、これはだれが作成したものですか。
これは翠松園の当時の分譲者が作成したものだというふうに聞いております。
甲第二〇号証は第二回分譲土地区画図ですが、これはだれが作成したものですか。
これも先ほどと同じでございます。
甲第二一号証、第三回分譲地区画図ですが、これはだれが作成したものですか。
これも同じ作成者でございます。分譲者が作成いたしました。
甲第四二号証を示す
これはだれが作成したものでしょうか。
原本は青焼きの図面であると思いますが、名古屋市土木局の作成でございます。これは原本を拡大コピーしたものだと思います。
甲第四二号証のもとになった図面を示す
これを拡大したのが甲第四二号証ですね。
そうです。
甲第四三号証の一ないし一三を示す
これはだれが撮影したものですか。
道路対策組合理事長の井上さんが撮影なさいました。
どこを写したものですか。
これは本件六土地であります二七五八の三八二番の土地を写したものでございます。
撮影の方向などは末尾に添付されている別紙図面のとおりでしょうか。
そのとおりです。撮影のときには私も同行いたしましたので、記載に間違いはございません。
甲第四四号証を示す
これはだれが作成したものですか。
これは記載してありますとおり名古屋市守山土木事務所の作成でございます。
本件六土地の位置はどこになりますか。
これが本件六土地になります。
98という番号がありますが、その横ですね。
そうです。
A流域の中にあるわけですね。
そうです。
本件六土地の道路整備工事の必要性について、証人が考えていることについて、簡単に述べてください。
私の陳述書の中でも書きましたけれども、A流域に住んでおられる方々、現在三四世帯、建築中の家が二戸ございます。この流域の方々は、非常に不安感を持って苦しい生活環境の中で生活されておられます。皆さん方の何よりの希望は、下水道が早くほしいということでございます。現在翠松園の全域で行われております翠松園道路等整備事業、それの施工をだれよりも望んでいらっしゃるというふうに思っております。その方々にとって整備事業の施工順序が問題になります。翠松園の中の道路はいずれも昭和の初めに分譲されたものでございますので、道路幅員が非常に狭いという特殊な事情がございます。そういう中で、傾斜地であるために多量の雨水を排水する必要がありますので、道路の中央部に雨水管を埋設する必要がある箇所がございます。この図面でいきますと、破線で書いてあるのが雨水管の敷設予定の道路敷でございます。道路が狭いために雨水管を中央部の一番深いところに埋設した後でなければ、汚水管ですとか水道本管ですとか都市ガス管の埋設ができません。整備の最後に側溝を敷設し、舗装をかけるという整備順序でございますので、A流域の流末にあたる、三八二番の整備ができない、雨水管の埋設ができないことによってA流域全域の整備ができないというのが、現況でございます。そういう意味で、住民の方々は何よりも早く人並みの生活がしたいというふうに思っております。その偽らざる心境について、私は陳述書の中で書いたつもりでございます。
甲第四五号証を示す
陳述書ですが、これは証人が作ったものに間違いないですね。
はい、私が作成いたしました。
原告代理人(川端)
現在本件の被告との間で紛争になっております三八二番の土地についてお尋ねいたします。まずこの土地は道路側で間口が何メートルありますか。
六メートルほどだろうと思います。正確には分かりません。
乙ハ第五号証を示す
本件土地が競売された際の事件記録の中の評価書を見ますと、本件土地は間口が約五・八メートル、奥行き約二九メートル、地積が一一二平方メートルの長方形の画地であり、南側幅員が約三・六メートルの未舗装道路に接するとありまして、間口の部分が道路に接した部分が五・八メートルとありますが、その程度ですか。
ええ、先ほど申しましたように、六メートルほどだろうと思います。
では、この三八二番、本件六土地のいっとう北の部分の幅員は何メートルありますか。
それも正確なことは分かりませんが、三・五メートルくらいではないかと思います。台形の形をしております。
それで、本件土地の建築基準法上の建築の制限の規定ですが、建蔽率四〇パーセント、容積率六〇パーセントですね。
はい、間違いございません。
本件土地において、もう一つ壁面後退の決まりがありますね。
ございます。
壁面後退はどういうことになっておりますか。
隣地境界から一メートルの壁面後退を要することになっております。
そうしますと、本件土地上に住宅を建てる場合には、今のお話をお聞きすると、一番通路に接した南側で六メートルとすれば、壁面後退を西と東に一メートルずつ取りますと、建物は四メートルの間口の建物になりますね。
はい。
いっとう奥の方へ行きますと、四メートルしかないわけですから、壁面後退一メートルずつ取ると二メートル程度の幅の建物ということになりますか。
そのとおりになります。
こういうふうに普通建物を建てる目的だと、非常に利用範囲が限定された形の土地になりますが、この翠松園内でこういう区画の土地が他にもありますか。
厳密に申しますと、隣地との間で少し分けていただきたいという形で、分筆したときに形状だけ見れば同じようなのはほかにあるかと思いますけれども、それはあくまで一筆全部自分の所有地として利用したいという目的で取得されたということだと思いますので。
そういうふうに隣地を買って自分の住宅地を広げて、それを利用するという方法があるだけなんですか。
はい、それ以外に方法はないと思います。
そういう細長い台形の、しかも第一種住居専用地域ですね。
はい。
住宅を建てるほかに利用目的がありませんね。
ほかにはございません。住居専用でございますので。
店舗を建てたり、そういうことはできませんね。
できません。
まず翠松園ではこういう形の狭い土地は珍しいといえますか。
それは非常に珍しいというふうに思います。
で、被告が競売されたのは昭和六三年だと思いますが、この当時、本件の六土地、この両側に家が建っておりましたか、おりませんか。
建っておりました。先ほど申しましたように、東側に坂井さんのお宅、西側には早川さんのお宅が建っておりました。
で、この土地を広げて利用するとかいうことは考えられましたか。
それは早川さんのお宅も坂井さんのお宅も擁壁を設けて建築をしておりますので、不可能でございます。
私もこの間現地を見せていただいたわけですが、現在この土地はどういう状況になっているか、
甲第四三号証末尾添付の図面を示す
これに基づいてあなたの口から説明してください。
「A流域流末排水現況図」というのを見ながら御説明いたします。現況で申しますと、手前から奥に向かって細い台形の土地がありますけれども、一番奥と手前の三八一の道路に面しているところでは、およそ高低差が二メートルほどございまして、奥に向かって下っていく土地の形をしております。
北のほうへ向かってですね。
そうです。
かなりの傾斜ですね。
急な傾斜地でございます。現在はA流域のすべての雨水、それから生活に伴います排水、それが陳述書にも書きましたとおり、側溝等で集められまして、この図面に付いておりますU字溝というところに集められておる形になっております。U字溝で集められた水は、その図面の中の排水桝に集まりまして、敷設された排水管を通って、県の土地でございますけれども、小幡緑地の中に設けられましたU字溝を経て排水桝に集まり、県が敷設した排水管を通って域外へ排水されています。そういう形で三八二の土地は今も以前も使われておりました。
では、この図面の下のところの道路南側ですが、北のほうへ向かってU字溝があるわけですが、このU字溝は三八二番の土地の中にあるんですか。
この図面でいきますと上下、方向でいきますと南北になるかと思いますが、図面の中の五一五、これが坂井さんのお宅でございまして、七五四が早川さんのお宅でございますが、その土地に接しているU字溝はいずれもそれぞれの所有地、つまり坂井さんと早川さんの土地の中に敷設されております。
では、この東西に矢印があるU字溝、早川さんと坂井さんの家の北側のほうで結んでおるU字溝がありますね。短いU字溝でございますが、これはどちらの土地になりますか。
これは三八二番の土地の中に横断をする形で敷設されております。
この図面を見ますと、このU字溝を通って三八二番の更に北のほうにあるんですね。
そうです。
この点線がありますが、南からいって最初の排水桝というのがありますが、ここのところまで三八二番の土地はいっておるわけですね。
そのとおりです。
そうすると、今の中間にあるU字溝は三八二番の中といいますか、北側ではあるが三八二番を横断しておるということになりますね。
そのとおりでございます。
では、その北にある排水桝はどうですか。
排水桝については、一部でございますけれども三八二の中に設置されております。
今のU字溝を通って排水桝に至る水ですが、この中を通っておる排水の水はどういうものが通っておるんですか。
先ほど申しましたように、A流域に降りました雨水、それからA流域で生活しておられる方々の生活排水、全部でございます。
全部流れているんですね。
全部ここに集まります。
それが三八二番を横断して流れておる現況はすぐ分かりますね。
現地を御覧になっていただければ、すぐに分かっていただけると思います。
では、三八二番の北東の角に排水桝がありますが、これは三八二番に一部かかっておると、今おっしゃったわけですが、その水はこのまま矢印に従って北のほうへ流れていくわけですね。
はい、矢印に従って県有地の中にありますU字溝と排水桝、排水管を経て域外に排水される仕組みになっております。
で、この県有地つまり小幡緑地との境界はこのとおり間違いありませんか。
はい、現場には杭がございますので間違いございません。
それでこの県有地に入って、それから一番北のほうにあるU字溝を経ていくと、東西に走っておる一番北側にあるU字溝というのがありますね。これはもちろん県の設備なんですね。
県の設備でございます。
(以上 坂野美和) 
県有地境界の北側にありますU字溝は、もちろん、県の設備なんですね。
県の設備でございます。
それを伝わって、排水桝がありますが、これも県の設備ですね。
そうです。
ここでは、かなり大きな排水桝になっておりますが、そのとおりですか。
はい、かなり大きな排水桝になっております。
それは、甲第四三号証の写真を見ていただければ分かるわけですね。
そのとおりです。排水桝と排水管が分かるように写真を撮りました。
例えば甲第四三号証の一三ですね。
はい、これは手前に写っている白く見えるところが排水桝の蓋でございます。奥の開口部が見えているところが排水管でございます。
相当太い排水管ですね。
これは多分、六〇〇ミリ、六〇センチ、ぐらいの径だろうと思います。
甲第四三号証の一二の写真では、どういうことが分かりますか。
これはまず、正面、上方に見えるのがガードレールでございます。これは陳述書の中でも書きましたとおり、小幡緑地整備に当たって新たに作られた道路でございますので、それ以前に、三八二を経由して域外へ流れていた翠松園の排水を止めない目的で、道路の下に雨水管、排水管が埋設されたという、そのとおり陳述書で書きましたけれども、それが分かるかと思います。中央部、下のところに、排水管の開口部が見えております。
この甲第四三号証の一二の写真で、上のほうに見えるガードレールは小幡緑地という、非常に広い公園の周囲を一周している舗装道路のフェンスといいますか、ガードレールなんですね。
公園内道路のガードレールでございます。
昔から、この下の排水桝を通って、自然にA流域外に排出されていた、この排水桝、あるいはU字溝、排水管といったようなものをそのまま置いて、その上に現在の小幡緑地の周辺の道路が新設されたというわけですか。
厳密に申しますと、道路ができる前は三八二を経由して、北方向に何も隔てるものがございませんでしたので、自然の形で域外へ排水されておりました。ところが県が公園整備に当たって、ドライブコースの道路を土盛りの形で造りましたので、今までの翠松園の排水を遮断する構造になってしまいます。そこで、今までどおり排水を域外へしていくために、管を埋設したというのが事実でございます。
それでは、この道路の下を横断して、小幡緑地の公園内にこの水が流れて行くわけですが、その水はどうなっておりますか。
現在では、この道路の向こう側に出口がございますけれども、公園の一部として利用されておりまして、せせらぎの水源の形になっているのではないかと思います。
私も現地を見ましたが、小幡緑地のこの道路を越えた部分は、非常にきれいに整備されておりまして、池もあり、見晴らし台もあり、非常にきれいになっておると思いますが、違いますか。
そのとおりです。
そのきれいな整備された部分に、せせらぎの水源というのがあって、池みたいになっているわけですね。
はい。下方のほうでは、池のようになっております。
その、せせらぎの水源へ、A流域の家庭用の排水その他が流れ込んでおる、というふうに思いませんか。
はい、現況では、全くそのとおりでございます。
被告のほうで、どういうお考えで本件六の土地をお買いになったのか、それは別としまして、客観的に見て、本件六の土地は、今まで昔から、このA流域の排水を通過させていた。しかもこの三八二番、本件六の土地を途中で横断して、その土地の一部を利用して、県有地のほうへ流れ込んできたと、これは厳然たる事実ですか。
厳然たる事実でございます。競売で所有権を取得された時点以前も、取得された時点も、現在もそうでございます。
これまで排水場として利用していたことは事実ですが、この土地に水道を通したり、あるいは、汚水管を通したり、ガス管を通したり、という必要性はどの程度ありますか。
これはこの写真に添付しました図面の中で、二七一の土地--近藤さんという方が所有されておられますが--に建築をされようとしたときに、水道、ガス、下水は、三八一という道路を通り、三八二という道路を通って引き入れる以外にございませんので、その必要がございます。
この三八二番の本件六の土地は、税法上、道路予定地になっておりますか。
税法上は、公衆用道路となっております。
そういう事実は被告のほうでお分かりにならないでしょうか。
少なくとも、確か証拠として出したと思うのですが、その時点では、公衆用道路として、都市計画税、固定資産税、ゼロであるということになっております。被告のほうで、その事実をお知りにならなかったかどうかについては、私は存じませんけれども、少なくとも、税法上は公衆用道路として扱われてるということに間違いはないと思います。
なぜ、そのような取扱いがなされておったのでしょうか。
これは先ほども申し上げましたように、三八二番という土地は、先ほどの第三回翠松園の分譲の区画図にも道路として明示されておりまして、元々、当時は昭和の初めごろですので、土木工法の技術的な水準はそんなに高くはなかったと思います。ですから、自然に水が集まるところを道路予定地として、道路を開設したということだと思います。で、当初、翠松園の分譲時より、道路予定地として予定されたところでございますし、A流域の排水という点だけから見ましても、非常に大事なところでございますので、翠松園道路対策組合のほうで、公衆用道路として非課税にしてくれるように、という要望は区の税務課のほうにしただろうというふうに思います。
本件土地の競売の際における評価書、先ほどお話しした乙ハ第五号証については、結局、土地の価格として更地価格五万円という評価がありますが、この評価が基になって最低競売価格が決まっておるんですが、当時、この程度の価格だったんでしょうか。
… … …。
つまり、平方メートル当たり五万円と。
土地の売買については私は余り詳しくございませんので、その価格が当時の価格として妥当なものかどうかは分かりかねます。
この競売事件の記録の中に現況調査報告書というのがありまして、これは乙ハ第三号証に当たるものと思いますが、前の原告の理事長の冨永義彦さんなどが、この現況調査においでになった執行官に、本件土地の利用状況も詳しく御説明をしてるわけですが、それにもかかわらず、本件土地が執行官の現況調査報告では、雑種地という認定になっておるんですが、これはどう思いますか。
それは多分、こういう理由からだと思います。通常、私どもが道路という言葉を聞いて、頭に思い浮かべますのは、人が通っている、車が通っている-そういう意味では、通行の用に供している、ということでございます。翠松園全体の中で、この三八二という道路が占めている位置は、ちょうど、とかげのしっぽのようになっておりますので、当時は、さほど、皆様方、通行ということだけに限って言えば、必要性が低かったので、樹木が一部残った形になってたと。それを御覧になって、人が通ってないところだから道路ではない、というふうに御判断されたのではないかと思います。これは翠松園の中では、当初、道路予定地であって、通行の必要性が低いために、つまり、居住者が少ないために、ほかの道路に迂回すれば日常生活は済んでしまうという場合には、ほとんど人はとおりませんので、山林のままで残ってたところは、数多くございます。その数多く残ってたところは、名古屋市が公衆用道路として寄付を受けましたので、現在、階段になってきれいに整備されております。ですから、多分、裁判所の執行官の方は、そういう理由で、道路ではないように思われる、というふうに御判断なさったのではないかと。これは飽くまで私の推量でございます。
今の現況調査報告書の中で、本件土地の東隣の坂井さんの奥さんの坂井みち子さんという方は、これが道路であるので、翠松園会からお金を出してもらって、側溝を直したり、U字溝を直して平坦にしたりということもやった、とおっしゃってるんですが、そのとおりですか。
そのとおりでございます。
まだほかの方もおられますが、この坂井さんは、本件土地は、私(坂井)や周辺住民は道路と思っています、と述べておられるんです。これ、現況調査報告書に、きちんと載っているわけですが、この方のおっしゃっていることは、間違っていますか。
いえ、坂井さんには、その現況調査報告書について御質問も致しました。そのとおり話した、というふうにおっしゃっていただきましたので、事実でございます。
ただ、現況調査の際に、本件土地の上に、自動車が一台止まっていたということがあるようです。写真に出ているんですが、付近の方が車の駐車に使っていたりということがあったということが、執行官のお目に止まったと思うんですが、そういうことはあるんですか。
御付近の方、どなたかは分かりませんが、駐車場として御利用になっていることもあるようでございます。
そのほか、道路であるという根拠について、何かお気付きの点がありますか。
先ほどの調査報告書で、執行官が現況調査された時点でございますけれども、その当時の理事長の冨永先生が、いろいろお話しになっておられますが、当時は、三八二番が、A流域全体でどういう排水上の役割を果たすのか、ということは全く分からない状態でございました。と申しますのは、この流域区分図が作成されたの自体が、すべての道路が名古屋市に移管され、名古屋市のほうで翠松園道路等の整備について、概要を立て、設計をし、初めて出てきた図面でございます。ですから、当時は、分筆の経緯から言って道路であるんだということを執行官にはお伝えするより方途がなかったのだろう、というふうに思っております。現在では、この三八二番というのが、流域の住民の生活にとって、どれほど重要な道路敷であるかということは、先ほどから述べているとおりでございまして、当時の執行官は、現況から見て、飽くまでそういうふうに御判断なさった、というふうに思っております。
この翠松園の道路の問題について、名古屋市、あるいは建設省関連、そういったようなものは、この翠松園の道路整備、道路対策、整備、その他一般について協力的ですか、どうですか。
翠松園の道路は、元々全部の道路敷が私道でございましたので、陳情書の中にも書きましたとおり、住民と道路所有者の間での和解によって、昭和六二年当時、平米二五〇〇円の和解金を支払うという形で、所有権が名古屋市に移管され、名古屋市の道路、つまり、公道になった道路でございます。ですから、名古屋市としては、住民の負担によって公道にしてもらったということで、少なくとも、多少の負目は感じてるだろう、というふうに思います。そういう意味で、私どもが、道路の整備を含めて、整備をお願いしたい、という要望を名古屋市に持って参りますときには、できる限りの協力をしてくれているように思います。ただ、翠松園内の道路を含めて、名古屋市としては、都市計画法に定められた道路の新設でございますとか、あるいは、区画整理事業だとか、都市開発事業だとかいうことによって法的な裏付けがあるものについては、道路の取得を用地買収によって行いますけれども、翠松園内部のような生活道路については、名古屋市が用地買収をするということがございませんでしたので、私ども住民が負担をしたということでございます。それは現在も変わっておりません。
名古屋市以外の官庁はどうですか。
名古屋市以外の官庁につきましては、直接関係がございますのは、私が担当した限りでは、建設省中部地方建設局の愛知国道工事事務所でございますが、これは翠松園の南側に東名阪自動車道、名古屋環状二号線を建設する施工者でございましたので、環状二号線の対策の直接の窓口でございました。私どもが翠松園内の特別な道路事情をお話しをし、できるだけ協力をお願いしましたところ、建設省として、住民に協力できることについては、できるだけ協力したいということで、これは別の被告になりますけれども、一商の土地については、二七七三の一九六、これは旧地番ですが、そのうち〇・二七平米を建設省が用地買収する予定になっております。これはちょうど、三〇二号線という、国道の歩道部に当たりますが、翠松園内でこういう訴訟をやっているという事情をお話ししまして、用地買収については翠松園の訴訟の終結を待って行う、ということで、待ってくれております。そういう意味では、非常に翠松園に協力をしてくれてる、というふうに思っております。
A流域の方が本件土地を利用できないために、生活上、具体的にどういうふうにお困りになってるかということは-。
本件土地に雨水管が埋設できませんために、本件土地に接続するA流域の上流部の沿線にお住まいの方々は、全員が公共下水道の恩恵には浴することができません。それはなぜかと申しますと、先ほど申しましたように、雨水管が一番下に来る、その上に汚水管が埋設されるという構造上の問題でございます。雨水管が埋設できないために、汚水管が埋設できない。したがって、公共下水道が利用できない、という現状でございます。ですから、皆様は今、浄化槽をお使いでございます。一日も早く公共下水道が使いたいというのが、住民の皆様の切実なる要望でございます。それと同時に、現在、一部の道路敷においては、名古屋市による仮舗装が行われておりますが、三八一については陳述書でも書きましたとおり、当時の所有者によって私どもが舗装したアスファルトが剥がされるという事態が起きましたので、現在は地道のままでございます。それに出入りする道路は急な坂になっておりますので、お年寄りの方々は、足元がおぼつかないということで、お困りになっておられる、そういう道路整備、舗装ができないということによる苦労も、皆様被っておられます。もちろん、都市ガスも使えません。そういうことで、翠松園のほかのところで整備が進んでいる地域においては、先ほど申しましたすべての恩恵、即ち、翠松園道路等整備事業の恩恵に浴しております。このA流域の方々は、等しく和解金を負担なさっております。そういう意味で、非常に不公平な立場に、これはやむを得ず置かれてるというのが正直なところでございまして、誰の責任でもございませんが、ただ、そういう不公平な状況の中で、できるだけ早く、翠松園全域で整備が進み、翠松園の中で、道路問題について語らなくていい時代が来るというのが、翠松園全体の住民の願いでもございますし、特にA流域の皆さん方の願いであろうと思いますし、私の願いでもございます。
あなたは今のお立場で、本件訴訟を含めて、長年翠松園の道路対策に非常に尽力しておいでになったわけですが、これはどうしてですか。
私は、陳述書でも書きましたとおり、平成元年度に町内会の副会長になりました。平成元年度は名古屋市等による翠松園道路等整備事業が開始された時期でございまして、一番最初に、園内の仮舗装が土木局によって行われました。その後一〇月に、私どもが尽力いたしまして、工事説明会を行い、雨水管の埋設が始まったのが、私の陳述書の中で「人並みの生活見えた」という記事を掲げましたけれども、あの雨水管の埋設が翠松園全体の整備の始まりでございます。整備を継続して支障なく行っていくためには、受け皿である翠松園会の側で、統一的に情報を名古屋市に申していく、あるいは住民の皆様方からの苦情の窓口になっていく人間が、引き続き残った方がいいであろうというふうに思いました。当時の規約では、一年で副会長とはさよならをできる、という規約でございましたけれども、事業が続いておりましたので、二年度以降、道路等整備事業専任という形で残ったわけです。ちょうど平成二年度に、陳述書の中でも述べました、未解決道路敷の沿線の皆様方から、舗装ができてないところは何とかならないのか、という強い要望が寄せられまして、未解決道路のうち、緊急を要すると思われるところについて、仮舗装を翠松園会の責任で行いまして、その中に三八一番の道路敷が含まれております。この三八一番の道路敷を舗装しました後、当時の所有者から、連日のように、「剥がすぞ、金を出せ」という形で脅しが入りまして、私は脅しが入りましてから一か月ほどは毎日見張りをしておりました。翠松園会の責任でしました仮舗装を剥がされてしまって、コンクリートパイルを持ってきて、杭を打つぞ、ということも言われまして、沿線の住民の方々には、やむを得ず杭を打たれたときのために、仮処分を行うための委任状をお出しいただきました。私は一軒一軒回って委任状を頂きましたので、よく覚えております。その沿線の人たちに対する責任がすべてでございます。
それをあなたが背負って、今まで一生懸命努力しておいでになったわけですね。
それ以外にはございません。
被告代理人
先ほど出ました「翠松園の方々が等しく負担をなさった」ということですが、それは、何を負担なさったということですか。
昭和六二年、道路地主と和解しました和解金でございます。原資を負担したということでございます。
翠松園というのは、何戸ありますか。
当時は四二〇世帯、今、四五〇ちょっとでございます。
それで一軒当たりどれだけ負担したんですか。
これは所有している地積によって案分いたしましたので、一番少ない方で二五万円ぐらい、多い方は一〇〇万円以上だろうと思います。
そうすると、一坪当たり幾らかという負担をされたと。
いえ、園内に所有されておる土地が何坪から何坪までの方は負担金は幾らです、という形で、段階的に決めておりました。
そうすると、その負担金というのは、全部でどれだけ集めましたか。
一億五〇〇〇万くらいだろうと思います。正確なことは分かりません。
それの使途というものは、それを集めて、どういうところに使うと。
道路和解金の特別会計ですから、全部、道路和解金として道路地主にお渡しをしたわけでございます。
その和解金は、現時点では、どれだけ残ってるんですか。
私は、道路対策組合の役員ではございませんので、存じておりません。
おおよそも分かりませんか。
分かりません。
調べれば分かりますか。
当然、調べれば分かります。
あなたの陳述書の一から六が今回提訴された土地の全部ですね。
厳密に言いますと、もう一筆ございましたけれども。
それで、今係争で残ってるのは、◯◯◯◯さんの土地と、一商の土地の二つだけですか。
はい。
それ以外は和解で終わってるということですね。
そうです。九九・八パーセントは名古屋市の道路になっております。
今回の裁判で、一商と◯◯◯◯以外、和解で終わったんですが、それの和解金も、さっき言った予算から出ているわけですか。
そうです。
甲第二一号証を示す
あなたのお話ですと、甲第二一号証が、一番最初の区画図だろうということですね。
はい。
甲第四二号証を示す
これを見ますと、本件の三八二がどこかということは、すぐ分かりますね。
はい。
甲第二一号証ですと、三八二はどこになるんですか。
(証人は指で指示しながら)ここです。
(129)、(130)の右、東側の道路ですか。
はい。
この道路を見ますと、形状が、甲第四二号証のほうは、図面の下のほうの道路が一直線でなく角になってますけれども、甲第二一号証は、真っすぐですけど、これはどういう事情ですか。
これは事情は分かりませんが、甲第四二号証のほうは、現在の法務局の原本を基にしたのだろうと思いますが、勝川に登記所があった時代の図面を見ますと、三八二番は、第三回分譲地区画図のとおり、真っすぐでございます。
そうすると、現況はどうなってるんですか、どっちに近いんですか。
現況は甲第四二号証のようになっております。
甲第四二号証で見ると、三八二の北側に、ベルトみたいに細長い道路のような土地がずうっと左右につながってますね。
はい。
これは元々はどういうものだったんですか。
元々、道路予定地であるというふうに聞いております。
すうすると、それについては、甲第二一号証には出てませんね。
はい。
甲第四二号証で、三八二のちょうど上が一六八、その左が一六九、右は二七五八の一六七とあるんですけれども、これは現在どういう現況なんですか。
現況は山林の形になっているところと、一部、道路の形になっているところがございます。
あと右のほうに二七五八の九〇〇、二七五八の九〇一、二七五八の九〇二とありますが、これは道ですか。
九〇〇のところが、現況一部道路の形になっております。
どこまでですか。
厳密にはどこまでということは、ちょっと分かりづらいと思うんですが、九〇〇の途中だろうと思います。
すると、二七五八の九〇二、二七五八の九〇一というふうに、右からありますが、こっちもずうっと通れるようになってるんですか。
一部通れます。「一部通れます」と申しますのは、散歩で人が通る程度であれば通れます、ということでございます。
そうすると、五一六のところでは、もうベルト自体がなくなってるんですが、それはどういういきさつですか。
いきさつは分かりませんが、所有者の方が合筆されました。前理事長が「道路隠し」と、言っておられました。合筆をされた結果、消えてしまいました。
要するに、ここの所有者が自分の物にしちゃったということですね。
そうです。
その左のほうの、先ほど言った、二七五八の一六七、二七五八の一六八、二七五八の一六九というのは、現状は。
現状では山林の形になっています。
今お見せしている甲第四二号証でいうと、上のほうに、小幡緑地の道路ができたんだというをおっしゃってますね。
はい。
それはいつできたんですか。
それは調べようとしたのですが分かりませんでした。
いつごろ。
私がお話をお聞きしました中村さんという方は、昭和三五年当時高校生で、現在地にお住まいだということでございましたので、その時には道路はなかったということですから、それ以降であるだろうと思います。
あなたはいつから住み始めたの。
昭和五四年から翠松園に住んでおります。その時点ではできております。
現況のように、土盛りしてできておったわけですか。
はい。
すると、いつの時点かというのは分からないですか。
その間にできたのは確かだろうと思います。
この土地のことですけれども、今係争の土地が三八二、右が五一五、誰ですか。
坂井さんという方です。
左は。
左側は早川さんです。
どちらかの土地は、昭和六二年か、六〇年くらいに建設されたと。
早川さんのほうが遅いと思います。
ということは、どっちのほうですか。
図面(甲第四二号証)に向かって左側。
左側のほうが、七五四とか二七二の辺りですね。
七五四番ですね。
早川さんところが建てる前は、七五四というところの状態はどういうふうでしたか。
私は、そのときは具体的に見ておりませんので、分かりません。
地形、現在は土盛りがしてコンクリートの擁壁があって、土が高くなってますが、当時はそういうものはなかったんじゃないですか。
当然なかったです。普通の山林の形であっただろうと思います。
すると、三八二と七五四というのは、高低差があるわけじゃなくて、つながってると。
高低差は、七五四から三八二に向かって下っておりますので、自然の状態ですから山ですから、そういう意味では高低差はあります。
自然の状態の高低差はあったけれども。
人為的な高低差は当然なかったということです。
 評価書を見ますと、その時点で早川さんが、ちょっと手を入れたといいますか、
乙ハ第三号証を示す
二〇枚目、(「6」の「本件土地は」以下「本件土地上の木を切ることを認めました。」までを読み上げた上)このように書いてありますが、そうすると、それ以前はこの三八二は雑木が生えていたということですね。
当時の三八二の現況については私は分かりません。
先ほど、裁判所の評価の時点で、要するに、この土地は道路敷としての課税であった、というようなことをおっしゃったけれども、乙ハ第三号証の二六枚目の一番上を見ますと、(陳述人、渡辺信治の陳述内容、本文の「本件土地は昭和60年度より山林として課税されています」以下「昭和60年以前は評価が安いので非課税扱いとなっています。」までを読み上げた上)このように言ってるんですから、あなたの証言はちょっと間違いじゃないですか。
いえ、少なくとも、平成元年以降は非課税になっていると思います。
それはあなたの証拠も出ているから、現時点は分かりますが、競売手続が進む時点では、道路敷で非課税ということはなかったんでしょう。
その記録を見る限りではなかったと思います。
甲第四三号証を示す
この写真帳の後ろにある「A流域流末排水現況図」で質問します。あなたの話ですと、結局、これを左右に横切っているU字溝、ちょうど (7)で矢印がありますが、左右のものが三八二の中に設置されているということですね。
はい。
これは誰が設置したものか分かりますか。
これは分かりません。多分周囲にお住まいの方々だろうと思います。それは競売記録の中では「一一組町内会」というふうに書いてある方々、その一一組と申しますのが、A流域の組の名前でございます。
それはどういう権限と言うと難しくなるけれども、地主の承諾を得てやったことですか。
そこまでは分かりません。
この辺りの地形を聞いておきたいんですけれども、三八二の辺りの地形、早川さんとか坂井さん、全体的な地形としてはどういう地形なんですか。
全体的な地形としては、三八二に接するところがちょうど山の盆地の所に当たっております。ですから、そういう意味で、流域の水が集まってくる一番の低地だということです。甲第四三号証末尾添付の「A流域流末排水現況図」上、三八一の地番の右左、それぞれに向かって坂を上る形になっております。北端部で一番低いところになっておりますので、南へも上る形になっております。
甲第四三号証の一というのは、別紙図面の (1)から撮ったものですが、これをみると、奥のほうで 低くなっているようなふうに見えるんですが、違うんですか。
 現況を、行って御覧になれば、高低差、五メートルほどの急な坂になっております。奥のほうが高いです。
今までのお話だと、競売物件になったということは分かった、ということですね。
分かりましたのは、平成元年の、確か一二月ごろだったろうと思います。競落者の有限会社◯◯◯◯から測量を頼まれたということで、測量を担当する者が、道路対策組合の理事長のところに連絡をしてきたことで、緊急事態だという連絡が入った覚えがあります。
乙ハ第三号証の「現況調査報告書」を読みますと、裁判所の執行官が来ていろいろ聞いていったわけでしょう。
はい。
そうすれば、その時点で当然、もうこれは競売になっている、ということは分かるんじゃないですか。
残念ながら、当時、そこまで法的な知識がなかったんだろうと思います。
しかし、これを見ますと、裁判所の判決を見せられたり、いろいろな資料を見せられてしてるわけだから、少なくとも、役員というか、責任のある人は、競売になるということは分かるんじゃないですか。
私は、当時の理事長の冨永氏からは、「突発事件が起こった」というふうに聞きましたので、冨永理事長の中では、突発事件だというふうに思ってらしたんだろうと思います。
評価書でいろいろ意見を聞きに来た時点ですよ。
その時点のことは、私は役員でないから分かりません。平成元年からでございますので。
そうしますと、どうしてそこを競落しなかったかどうかも分からないわけですね。
… … …。
大事な土地であれば、組合のほうで落とすとかいう努力されればよかったと思うんですが。
それは多分しなかっただろうと思います。と申しますのは、翠松園道路対策組合は、道路地主から道路を買い上げろという要求を突き付けられて、柵を設けられて、通行料を寄こせということを経て、通行権の裁判をやってきたという経緯がございますので、直接売買によって道路問題を解決するということは、翠松園道路対策組合の方針として、最初からございませんでした。ですから、それはなかっただろうと思います。
裁判所を介しての競落ということででもですか。
… … …。
裁判所を介しての競落になりますね。直接の話じゃなくて、一応裁判所の評価人が中に入ってそこで価格も出てくるというシステムだと思うんですが、そうであってもなお-。
今までの方針から行くと、--だろうと思います。
甲第二八号証を示す
これで、本件の三八二についても、名古屋市が水道の敷設工事及び給水装置工事をすることに同意せよ、という判決になってますね。
はい。
本件土地に、水道管とか、そういうものは埋設されておりますか。
現在は埋設されておりません。今までのところ必要がなかったからです。
ということは、早川さんとか坂井さんのところは、前面の道路から水道管を引けるということですか。
そうです。先ほど申しましたように、二七一番の土地に建築の際は、三八二から水道、ガ ス、下水を引かなくてはいけませんが、その土地について建築の予定がございませんでしたので、今は水道管は入っておりません。
二七一というのは、近藤さんのことですね。
近藤さんです。
(以上 川島 麗子) 

名 古 屋 地 方 裁 判 所
       裁判所速記官  坂 野 美 和
       裁判所速記官  川 島 麗 子

註:当事者からの申し入れにより、当事者名の一部については匿名としました。


Back to :

経緯概要 判決一覧 資 料 集 公判記録
Home Page