昭和51年(ワ)第563号上水道工事同意請求事件


昭和五三年一二月一九日判決言渡同日原本交付 裁判所書記官 蒲 博胤
昭和五一年(ワ)第五六三号上水道工事同意請求事件

判     決

  当事者   別紙当事者目録記載のとおり

主     文

一 被告らは原告らに対し、別紙物件目録(二)記載の各自の所有土地につき名古屋市が水道の布設工事及び給水装置工事をすることに同意せよ。
二 訴訟費用は被告らの負担とする。

事 実 及 び 理 由

第一 申立
  原告らは主文と同旨の判決を求めた。

第二 主張
 一 原告の請求原因
1 別紙物件目録(二)の土地(以下本件土地という。)及び同目録(一)の土地(以下原告ら所有地という。)一帯は元朝倉千代吉及び谷口藤次郎の共有する旧守山町大字小幡字北山二七七三番、二七五八番であつたが、右両名は大正末頃高級住宅地の分譲計画をたて、右土地を約一〇〇坪(三三〇・五七平方メートル)ないし五〇〇坪(一六五二・八九平方メートル)の土地に分割し、いずれも巾員四メートルないし六メートルの通路に接するようにし、昭和元年頃から数回に亘り、小幡翠松園と名付けて分譲した。
2 右分譲の際、一部の土地は通路用地として前記両名の共有のまま残され、通路として整備され、将来は公道にする予定であり、分譲を受けた者らの通行の用に供されてきた。
3 原告らは右分譲の際またはその後それぞれ別紙物件目録(一)の土地を買受け、居住している。
4 右通路用地は、その後転々と所有者が変り、かつ別紙物件目録(二)外一九筆に分筆された。被告らは、本件土地が道路用地として残されたものであり、原告らが通行権を有することを知りながら、それぞれその所有権を取得したものである。
5 原告らは各自多大の費用を支出して井戸を掘り井戸水を使用してきたが、次第に水位が低下しかつ水質が悪化してきたため、名古屋市の水道を利用する必要に迫られている。一方被告らは本件土地に給水工事がされたとしても実害を受けることはない。
6 以上の事実関係からすれば、原告らは被告らに対し本件土地のうち各自の所有土地に名古屋市が水道の布設工事及び給水装置工事をするにつき同意を求めうるというべきである。
7 よつて原告らは被告らに対し、本件土地のうち各自の所有土地に名古屋市が水道の布設工事及び給水装置工事をするにつき同意を求める。
二 被告三洋工業破産管財人、同石田和孝、同石田博政は適式な呼出を受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず、かつ第一回口頭弁論期日までに答弁書その他の準備書面を提出しないので、原告の請求原因事実を自白したものとみなされる。
 三 被告藤原、同岸田は公示送達による呼出を受けた。

第三 証拠
  原告らは被告藤原、同岸田との関係で甲第一ないし第四三号証(第三三、第四一号証には各一、二がある。)を提出し、証人冨永義彦の証言を援用した。

第四 その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定される甲第一一、第一二、第一五、第二四、第二五、第二七号証、第二九ないし第三一号証、証人冨永義彦の証言及びこれによつて成立の認められる甲第三二号証、第三三号証の一、二、第三四ないし第三六号証、第三八、第三九号証に弁論の全趣旨を総合すれば、原告らと被告藤原、同岸田との間で、原告らの請求原因事実が認められ、他に右認定に反する証拠は存しない。
  
第五 以上によれば、原告らの請求は正当であるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民訴法九三条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

名 古 屋 地 方 裁 判 所
    裁 判 官   松  原  直  幹

当  事  者  目  録
(略)


物 件 目 録 (一)(二)
(略)



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