資  料 No.7


翠松園地域の道路敷の地目変更についての陳情書

翠松園地域の道路敷の地目変更についての陳情書(案)

   名古屋法務局長  八  巻  正  雄  殿
   名古屋 市 長  本  山  政  雄  殿

昭和56年11月27日


翠 松 園  町 内 会 長
翠松園道路対策組合理事長





翠松園地域の道路敷の地目変更の陳情について

   要  旨
 翠松園内の道路敷1.5万坪は、大正15年翠松園地域第1回分譲以来、分譲に伴う住民通行用として分譲の条件として区画され、以来35年間何ら問題なく平和な生活道路として使用されてきました。
 ところが、その道路敷地目の大半が使用現況に反して、山林等のままに過ごされてきたことが根本のきっかけとなって、地価高騰にともない20年前頃から、今春の通行止の柵強行築造、妨害に至るまで、通行妨害、文書によるいやがらせ、訪問等による金品強要など、物心にわたる挑発、妨害がうち続き、住民の生活の不安が耐えないのであります。
すでに住民の無償通行権、水道工事地役権が全道路敷について判決によって確立されているにも拘らず、地目「山林」を悪用しての住民の生活妨害が陰に陽につづけられているのであります。正に判決に言う権利の濫用であります。
 よって前例もありますことであり、翠松園全道路敷について、不動産登記法第25条-2による、公衆用道路への地目変更を行って頂けますよう、特段のご高配を賜りたくご陳情申し上げます。
 また、名古屋市におかれましては、地方税法第381条7項により、現況に適合いたしますよう翠松園道路敷について、地目の修正、変更方を名古屋法務局に申出をして頂けますよう、特段のご配慮を賜りたく併せてご陳情申し上げます。
 さすれば、20年来苦悩しつづけている新旧全翠松園住民の道路敷不安が大きく解消され、形骸化した道路敷私権の濫用による無用の攪乱妨害から解放されることと相成ります。
 理なくして強いられている我々の窮境をご賢察くださいまして、ご援助下さいますよう園内住民を代表いたしましてお願い申し上げる次第でございます。

     「陳  情  の  理  由」
 以上申し述べました陳情の要旨については以下経過ならびに理由の項目をあげて更に立ち入って実情を陳述いたします。
 ご理解ご対策を切にお願い申し上げます。



----------------- 目         次 -----------------

 第1 平和なりし翠松園
 第2 分譲家督相続者の心外なる措置
 第3 昭和35年より今日にいたる道路妨害と裁判に基づく住民の道路使用権の確保
   1 最初の道路妨害
   2 永代無償通行権の判決
   3 水道工事地役権の判決
   4 最近1ヶ年の道路妨害
    イ 法手続を濫用せる道路かくし
    ロ 偽隣地権の主張と金品強要
    ハ 道路の電柱撤去強要
    ニ 道路敷通行止柵築造妨害とその撤去
 第4 公衆用道路への地目変更の前例
 第5 むすび


 第1 平和なりし翠松園
 大正15年、朝倉千代吉、谷口藤次郎両氏により西側2773番地の大半について第1回分譲が行われてより、全翠松園16万坪(2773番地の残り及び758番地)が計5回の分譲により、昭和15年頃全分譲を完了、以来終戦を経て昭和35年頃にいたるまで、こと園内1.5万坪の道路敷についての住民の自由通行は何ら問題の発生はなかったのであります。
因みに昭和2年10月1日、朝倉千代吉氏はその家督を朝倉兆太郎氏に相続せしめたるため昭和2年以降は兆太郎氏名儀で分譲もすすみ、昭和15年頃全分譲も終り、以来道路敷1.5万坪のみ分譲地主の家督相続者たる兆太郎の所有として、当然問題なく住民の使用すべき生活道路として昭和30年代に至りました。

 第2 分譲地主朝倉兆太郎氏の心外なる措置
 第1に述べた翠松園の平和なりし我々の生活道路に大被害が昭和35年来ひきおこされました。根本の理由は勿論我々住民に対して無断で行われた見出しの分譲家督相続者の行為であります。即ち登記簿謄本の示すところによれば、昭和32年9月3日分譲者朝倉兆太郎氏は翠松園居住の全被分譲者に生活道路敷として永久にその通行権を保証すべき立場にありながら、分譲完了後20年間も平和に我々の生活道路として確保されてきた全道路敷1.5万坪を金300万円の金銭貸借の抵当物件として転用し、1年後必然的にこれ等が流されてしまいました。
 その直後から、この1.5万坪の全道路にわたって、新道路敷所有者からの住民への直接妨害がひきおこされるに至りました。

第3 昭和35年代より今日にいたる新道路敷所有者の翠松園住民に対する道路妨害と裁判にもとづく我々住民の道路使用権の確保
1 最初の道路敷妨害
 この頃、全1.5万坪道路敷(2773、2758の両番地にわたり)の大半を新たに所有した朝倉丞作により、当時の全住民に対してなされた強要、妨害の数々は
・ 坪5,000円にて道路敷を買上げの強要
・ 園内各地道路上の通行妨害の杭うち
 (消防車、パトカーも通行不可)
・ 当時唯一の翠松園入口に建築物を築造せんとする行為
・ 最後には当時人口稠密地たりし2773番地全住民を被告席に引出し同上要求、更に電柱撤去等の理不尽な要求までいたしたのであります。
2 永代無償通行権の判決
本裁判はS36年~S40年にわたり、名古屋地方裁判所に於て、S42年には名古屋高等裁判所において行われ名目的地目「山林」に名をかりての新道路敷取得者の要求は、総べて私権の濫用に外ならず全道路敷にわたり永代無償通行権、電柱撤去の要求排除等すべて住民の地役権が完全勝訴をもって確認せられました。
3 水道工事地役権の判決
さらに全翠松園地域道路(2773番地及び2758番地の1.5万坪道路)に生活上不可欠の名古屋市上水道給配水管の工事にあっても、S43年西側、S50年東側の仮処分決定、更にS48年西側、S53~54年東側の同仮処分に係わる本裁判の完全勝利によって、道路敷水道工事権も保証され、工事が完了し、枯渇し、悪質化した井戸水生活から解放せられたのであります。
 これ等の前後、文書訪問等により道路購入の強要(坪5万円)、U字溝撤去等強要脅迫が続けられました。
4 この一年間の道路妨害
特に昨年より今春にいたる1カ年間には、前述の通行・地役権にかかる二大裁判後にも拘らず、名目的地目「山林」に藉口した道路妨害等がひしめきました。
イ 登記法手続を逆用しての公図上よりの道路敷抹消
 例えば現2773番地-193筆内にはS40年の我々の完全勝利の道路裁判により住民の永代無償通行権が確認された道路2773-42(4,500坪)の一部が分筆され、2773番地-196となり、その部分20坪の道路部分が、やがて隣接の2773番地-193へ合筆されています。そのため、その部分だけ道路敷が公図上から消滅しておりましてこの消滅道路敷部分をふくむ建築申請等も出されて住民に大混乱を与えました。
 本件については、我々の再参にわたる陳情努力がくりかえされた結果、名古屋市建築局審査課におかれましても、この道路敷をふくむ住宅建築は認めない事とされ、又守山区役所税務課におかれても、本件の実情をよく理解されて、当該2773番地-193筆所有者に対し長期にわたり懇切徹底せる行政指導をされた結果、当該20坪即ち2773番地-196部分が住民の永代無償通行権の道路部分であることを納得せしめられたのであります。
 我々はかかる地方税法関係、建築確認審査関係の行政指導に対し深く感謝するものでありますが、かかる混乱は当翠松園内に於ても外にも波及の例もすくなからずみており、総べて名目的地目が山林となっているために園内道路がかかる混乱の憂目を負わされておりますが、この苦痛は抜本的地目変更をお願いする以外解決する途はないと思料されます。
ロ 道路敷を否定する偽隣接地権の主張と金品強要
例えば2773番地-42道路敷権の如き、通行権確立の道路についてさえ、上記虚偽の権利を主張して、その道路敷に接して新建築を希望する新住民に、建築局への承認印と高額の承認料を強要し、一方建築局へも妨害行為をする始末であり、かかる事例は翠松園内全域にわたって今日に至るまで、陰に陽に絶え間なく行われています。これ一重に名目的地目に藉口しての私権の濫用であります。
ハ 道路敷電柱撤去なる理不尽要求
 昨年秋から年末にかけて、園内東北部2758番地-584道路(約1,000坪)上の5本の電柱を撤去せよ、との強要が中部電力に対して加えられたが、中部電力はS40年2773番地-42道路敷通行権裁判における翠松園住民との共同の立場に立って本強要を拒否して参りました。
ニ 2758番地-584道路に加えられたバリケード通行止柵妨害とその撤去
 同上道路敷所有者は、更にみだしの如き暴力的行動にまで出て、住民の道路通行権をふみにじりました。
 我々住民は団結してたたかい、ついにS56.3.6同通行止柵を撤去する権限を我々住民に認め、又今後ともかかる通行妨害をなしてはならぬことを道路持主に命ずる仮処分決定が名古屋地方裁判所民事第2部、伊藤保信裁判官により決定され、バリケード柵は住民一同の手で撤去することが出来ました。
 ひとえに名目的地目「山林」に藉口しての暴挙でした。(詳しくは別記資料S56.3.13及び3.15の中日新聞にもみえている)
 S36年におきた西側通行妨害の20年ぶりの東側再発でした。私権の濫用を戒める法の権威と住民の団結とにより漸く苦境を又一歩のりこえた我々でありましたが、かかる理不尽から我々を救助して頂けますよう、行政の特段のご配慮により、地目変更のご措置を実施してくださいますよう切にお願いせずにはおれません。
 (以上のイ・ロ・ハ・ニと集中した妨害強要については、別添当翠松園道路対策組合第21期総会報告書P2~4に詳く述べています。)

 第4 公衆用道路への地目変更の前例
 以上の通りの道路不安と裁判闘争のさ中にあって、翠松園地内において別記の通り16筆、北側隣接地域において52筆、実に計68筆の道路敷が不動産登記法第25条の2によって、公衆用道路に地目変更されましたことは、道路不安妨害、強要に脅かされ続けてきましたし、今も続いている350世帯の園住民にとって、将来への一条の光明といわねばなりません。
 即ち、登記の手続きが当事者の申請による申請主義にのみ委せられている限り、これを悪用逆用しての事実に反した登記行為が横行し、故にこのまま放置できなくなっての職権による地目変更への着手であったわけで、今や我々住民は残存大部分の明々白々たる道路敷についても、全く同一の理に基づく措置をとって頂きたいと切に願うものであります。
 それによってのみ、今も続いている道路不安の根が根絶できるのであります。
この地目変更が行われたのは、昭和45年から昭和46年にわたってであって、当時地価高騰に乗じ園内道路敷を「山林」なる地目を利用して、「山林」として売買せんとの勢も強く、また一方分譲以来戦争中を介して、園内住宅建築もすすまず土地は道路敷共々管理されず、ために各筆、或は道路敷の区画、地番等も当時の公図に於いて不明瞭を生じ、甚だしきはこれを改竄するものまであらわれ、ついに古い公図の供覧が停止される等の事態ともなり、名古屋法務局が大英断をもって、登記法第18条による図面再作成のための再測量、再作成がなされました。
 而してその機会に、たまたま翠松園西側2773番地域については水道本管工事地役権に係わる本裁判が名古屋地方裁判所に於て続行中(その後2年にして我々が完全勝利)であったため、登記法第25条2項による職権による地目変更は当該裁判地域をさけて、園東側2758番地について、翠松園主出入口に接する道路敷など16筆が隣接地の52筆と共に公衆用道路として地目変更がなされたものであります。

 別  記
 上述しました昭和46年10月5日、不動産登記法第25条2項による翠松園地域の公衆用道路への地目変更については、昭和44年(ワ)第685号、西側水道本裁判の、第6準備書面の別紙目録(下記)として、昭和47年2月20日、当方弁護士より名古屋地方裁判所へ提出されたものであります。

 目  録
 名古屋市守山区大字小幡字北山2758番の内、次の地番のもの
    8,542,592,629,637,638,639,640,697,699,720,
  721,722,723,724,760              以上 16筆
 名古屋市守山区大字小幡字北山2761番の内、次の地番のもの
   79, 98,286,287,292,319,320,321,322,323,324,
  325,326,350,351,352,358,359,360,476,477,478,
  501,516,517,518,519,520,521,522,523,524,527,
  528,529,530,531,532,533,535,536,537,540,541,
  627,711,714,715,751,776,783,785
                                    以上 52筆
                                     合計  68 筆

第5 む す び
 かくて我々住民は、昭和40年から昭和42年に、永代無償通行権裁判を、ついで昭和48年西側水道本管工事地役権裁判、更に昭和53年から昭和54年には、同東側水道本裁判の完全勝利、更に加えて今春3月には仮処分ながら、園東橋の1,000坪の道路敷についても、通行妨害を厳禁せる法決定をうけることが出来ました。
 又、地方税法第348条による現況道路による道路敷非課税措置についても、我々の再度にわたる切実な陳情を、おとり上げいただいて、園内道路の大半について適用されているところであります。
 かくの如き裁判並びに非課税措置等の住民への道路権の重なる確認保証にも拘らず、前記第3に詳述しました如き道路妨害は全く止むことなく、いやがらせ、建築妨害、理不尽なる金品強要等が陰に陽に今日につづいている事実は、ともに前記第3の4イ、ロ、ハ、ニ、に詳しく述べた通りであります。
 法務局におかれましては、何卒以上詳述しました実情をとくとご理解せられまして、すでに裁判もすべて完了していることでもあり、残された翠松園内山林名目及び甚だしきは宅地名目の全道路敷について、格段のご配意をもって前回同様、公衆用道路として地目変更方ご措置されますようご依頼申し上げる次第でございます。
 また、名古屋市長におかれては、詳述いたしました趣旨にご理解を賜り、進んで地方税法第381条の7による地目修正の申出行為を名古屋法務局に対して、おとり下さいますようお願いいたします。実はこのことの有効性を法務局も示唆しております。
 すでに、名古屋地方裁判所並びに同高等裁判所における翠松園通行、水道本裁判そのものが、憲法、民法の法理にもとづき、日本最初の道路敷にかかわる判決であり、私権の濫用を禁止して、住民の生活道路としてその永代無償通行権及び上水道地役権を認めることにより、我々園内居住者の生活権を保護された、言わば画期的な判決でありました。
 繰り返へして誠に恐縮でございますが、不動産登記法第25条-2、地方税法第381条-7等の住民擁護にふさわしいご措置を大英断をもって我々のため適用され、以って我々の生活道路不安の根源理由を除去してくださいますよう、住民一同を代表して心から陳情申し上げる次第であります。
 なお、今回は以上の通り、地目変更のご措置方にしぼって要望いたしましたが、かねてお願いしている道路舗装問題、下水道問題等の進展のネックもつよくこの点に係わっており、そのいみで本件の実施方を切望しているわけでもあります。
 最後に、本件については住民一同の翹望していることであり、失礼ながらそのご回答を本年度末までにはぜひ頂きたくよろしくお願いいたします。



添 付 資 料


守山市翠松園一覧図
(S35年第一回道路妨害発生以前の全翠松園図面公図によるもの)
● 昭和40年10月16日名古屋地方裁判所、昭和39年(ワ)第2931号通行権確認等反訴請求事件判決書第二目録
(名古屋市守山区大字小幡字北山2773番地の42 山林一町五反、別紙図面斜線の部分)
● 昭和56年3月19日(金)同15日(日)中日新聞
(翠松園東北端道路通行止柵及び仮処分による住民たちの同撤去作業状況)
● 昭和56年4月19日翠松園道路対策組合第21期総会報告書
(P2-4 最近1カ年の道路妨害状況詳報)




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