資  料 No.14


平成2年2月11日附『中日新聞』

     人並みの生活見えた!!
        守山・翠松園 下水管埋設始まる

 守山区小幡の丘陵部に広がる通称・翠松園地区で十日、下水道管の埋設工事が本格的に始まった。平成三年度までに埋め終わり、四年度中に道路の本舗装を完了する。同地区はこの三十年間、住民が道路地主と「通行権」「水道敷設」「道路舗装」などをめぐり、全国でも珍しい訴訟で争い、三年前に和解した。今度の下水道工事で、三十年越しの『闘争』にようやく終止符が打たれそうだ。


     30年闘争決着へ
        3年計画 下水管埋設始まる

 下水道工事は三年計画。今年度はまず十三・二ヘクタールを対象に、汚水管三・四キロメートル、雨水管七百六十メートルを埋める(工費は三億七百万円)。前後してガス管埋設も進める。
 翠松園地区(約五十ヘクタール、住民約四百二十世帯)は、昭和元年に山林別荘地として売りに出された。しかし、道路用地が確保されていなかったため、民家が増えるに従って問題化。道路に当たる地面は借金の抵当などで次々と地主が代わり、三十五年、地主側が住民の通行を妨害する棒くいを打つなど騒ぎが続いた。
 住民側は訴訟闘争に踏み切り、まず三十九年に通行権確認訴訟(名古屋地裁=勝訴)、四十四年、第一期水道工事同意請求訴訟(同)、五十一年、第二期同(同)と勝ち続けた。六十一年、道路舗装工事同意請求訴訟控訴審(名古屋高裁)では和解に終わった。
 和解条件は、住民が道路地主(約三十人)に和解金一億三千万円を支払い、地主はこの道路を市に寄付するという内容。これで、市道としての舗装,下水、都市ガスの整備がやっと可能になった。和解金の支払いは、既に関係住民の九九%が終わっている。残りについては翠松園道路対策組合(冨永義彦理事長)が折衝中で、工事は市道に移管された部分から始まった。


【忍耐と理解のお陰】 冨永理事長の話
 「道路」に、住民が一億円以上も払う事態になるとは思いもしなかったが、忍耐と理解のお陰で、やっと下水も舗装もある普通の宅地並みになる。三十年。夢のようだ。



註:中日新聞社、転載許諾済


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