資  料 No.82


昭和59年2月19日附『中日新聞』

       道路舗装 同意せよ
        守山区翠松園
         住民の訴え認め地主に命令     名地裁

 「道路を所有する地主の反対で市の舗装工事を受けられない。地主に同意するよう裁判所からいってほしい」と名古屋市守山区小幡北山の分譲住宅地・翠松(すいしょう)園の住民が仮処分を訴えていたのに対し、名古屋地裁は十七日までに、訴えを認めて地主に舗装に同意するよう命令する決定をした。私道の所有権を一部制限した決定として、他の私道への影響も注目される。
 訴えていたのは、同園道路対策組合(冨永義彦理事長)の住民八人で、相手は同市内の不動産業者ら四人。
 申請書や冨永理事長の話では、同園は昭和二年ごろから宅地分譲され、現在、三百五十世帯が住んでいる。ところが、当時、延長約十五キロの道路部分は分譲されずに、あとになってこま切れに転売され思惑買いの業者も加わって、約八十人が所有者になった。
 このため住民と道路の地主との間でトラブルが続発し、住民は三十六年に道路の無償通行権を主張して提訴、勝った。続いて水道敷設権も提訴して勝ち、今回の舗装問題まできた。
 同時に住民側は名古屋法務局へ地目変更を求め、現在までに、延べ二千メートルが「山林」から「公衆用道路」に変わった。
 最近、「公衆用道路」の簡易舗装には地主の同意が必要なため、話したところ一部地主が見返りに金を要求するなどして同意を渋り、このままでは道路が雨水に削り取られ日常の通行に支障があるだけでなく、防災上からも問題として仮処分を申請していた。
 舗装を担当する名古屋市道路管理課は「仮処分の内容を検討し、住民の要望に対処したい」という。



註:中日新聞社、転載許諾済


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