資  料 No.3


翠松園道路対策組合声明書


声  明  書

昨今問題化している翠松園内道路敷は当該部落が住宅地として分譲を開始した大正の末期自至昭和の初期より実在するものであつて当時希に見る一大理想的分譲計画として道路側溝を完備した巾員四米自至六・五米の事実上公道に等しきものであることは公私を問はず何人と雖も異論のない処であります。又分譲開始以来三十有余年の間極めて平穏裡に通行しこれを活用し来り今日の発展を見るに至つたことは単にその時代的様相の反映によるもののみでなく個々の居住権の認可並に送電通話等諸施設の現存がこれを明瞭に物語つており溯つて当該道路敷の代価は分譲の要素常道とも云うべくこれに接する個々の所有地の分譲価格に悉く折半包含されおることも又分譲者被分譲者等しくこれを互認する処であり明らかに既得権並に地役権の存在するものであることは皆様の御了解に難くない処であります。今日不幸にして当該道路敷が悪徳業者の所有するところとなり当時ビツクニユース(各新聞共写真入りで報道済)と して世相に一大センセーシヨンを惹起しましたことは皆様の御記憶に今尚新しい処で、貧困市政の弱みにつけ込み敢て二重買いを強要するが如き不当行為は断じて容認することが出来ません。
昨今道路を遮断交通を妨害しあまつさえ脅迫的態度に出て暴利をむさぼろうとするが如き行為は明らかに権利の濫用であり暴力以外の何ものでもありません。永年平和な部落に彼等が波紋を投じ蠢動し始めてより足かけ三年、今以て無辜の良民を欺瞞し不当利得をなし、ために不法建築のそしりを受け個人の経済を圧迫するに至らしめ、一方一般民衆に対しては「道路問題は片付いた、安心して分譲する様」との虚偽の宣伝をすることにより自ら不当行為を糊塗しようと努め、又訴訟中いち早くたらい廻し的道路敷所有権の移転を行い法の盲点を巧みに利用暗躍を続ける等社会秩序の破壊を招くは無論のこと日々我々の生活権を脅かすこと頗る甚大であり法秩序を無視した言動と云はねばならず人権侵害も甚だしき次第であります。この様な非民主的行為が公然と横行し、いたずらに放置されおることは単に翠松園部落内の問題のみにとどまらず市、県ひいては国全体の一大悲惨事と云はねばならず速かに行政的配慮を以て排除さるべき緊急且重要課題であると思考致します。我々は勿論のこと居住権を有する皆様方共通の利害問題でもあり生活権擁護のためにも、もはや漫然と時の流に委ねる訳にはまいりません。今日我々が組合を結成した所以はここに存するのでありまして一日も早くこの社会悪を取除き公正な配慮がなされる様ここに全部落民こぞつて悪徳業者のボイコツトに立上り、明朗なる都市育成の基ともなるべく平和な住良い部落造りに邁進することを誓うと共に広く皆様方に訴える次第であります。
名市合併を目前にひかえた守山市中にかかる無法事態の発生を見ることは我々市民等しく恥辱とする処であり断じてこの禍根を絶たなければなりません。皆様の御賛同により御支援よろしきを得て速かに善処されることをここに切望する次第であります。
  昭和三十七年二月                   翠松園道路対策組合

追 記
 当該道路は目下訴訟中でありますので土地をお買求めになるお方は予め組合事務所までお問い合せ下さる様御案内申し上げます。
 組合事務所々在地  愛知県守山市大字小幡字北山二七五八   電話三二九〇


 

註:名市合併とは、愛知県守山市が名古屋市に合併され名古屋市守山区になることを指す


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