尾張瀬戸駅周辺の散策

瀬戸の古い町並みを歩きたくなり、瀬戸駅周辺巡りをしてみた。多分、戦火を免れたのだろう、昔ながらの曲がりくねった細い路地に民家がひしめいている。車も自由に使えず、住民にとっては住みにくいかもしれないが、私のような老人には子供時代を思い起こさせてくれる貴重な町並みである。
一方では、やはり開発の波はじわじわと押し寄せており、瀬戸駅は新築され、国鉄バスターミナルは廃止され瀬戸蔵が建った。瀬戸川沿いには撤去されるのを待つばかりの廃屋が数軒目に止まった。このままでは貴重な文化財とも言える町並みはいずれ消えてしまうおそれがあり、保存について市当局の一層の尽力を期待したいところだ。特に地図上のA〜Bの地点付近は、このコース地図にこだわらず丁寧に小径を歩いてみると、なつかしい発見がたくさんあるだろう。

コース(主要地点間のみ):P 陶祖公園駐車場→1.2km→春慶翁宅跡(Aの地点)→2.6km→
    東公園展望台(Cの地点)→3.1km→瀬戸蔵(Fの地点)→3.1km→P 陶祖公園駐車場
日付:平成21年5月14日(木)
天候:晴れ
所要時間:推定2時間40分(休憩時間を除く。)
歩行距離:10.0km

    コース地図を開く  ここをはじめてクリックするとプラグインのインストール画面が
            (初期値は1/6000)      表示されるので、「はい」をクリックする。不具合が発生した
                                 場合はこちらの「8」参照

                                 なお、念のため他のウィンドウをすべ閉じておくこと。


  (移動軌跡データファイルのみの呼び出し方法および地図の利用上の留意点)
 
1.この上にカーソルを当て、右クリックで「対象をファイルに保存」を選択し、デスクトップに「移動の軌跡
  データ」を保存します。ここでは、そのファイルは開かないでください。

2.国土地理院の電子国土ポータルへジャンプする。
3.国土地理院のプラグインのインストール画面が表示されたら、「はい」を選択する。
4.小さな日本地図が表示されるので、「ファイルを開く」(ボタンは画面右側の作図パネルの下部に隠れている)で、
  先ほどデスクトップに保存したファイルを指定して、それを開くと、地図の上に「移動の軌跡」が合成される。
5.この状態では、まだ地図の縮尺が小さいので、縮尺スケールが600mほどまで拡大して利用します。地図の表示
  窓が小さいので見にくいが、印刷結果はとても鮮明です。不要になったら、デスクトップのファイルは削除してくだ
  さい。
  地図の呼び出し方について、詳しくはこちら

6.留意点
 (1)地図上の赤線はGPSよる移動の軌跡を、手書きで地図に転記したもので、実際の軌跡データとは若干の誤差が
   ある。
 (2)地図上での経緯度線の表示は省略した。
 (3)地図と緯度経度の関連付けをより明確に知るにはカシミール3Dのホームページのフリーソフトを利用されたい。

******************************************************************************

(各地点の説明)

       P 陶祖公園駐車場【北緯35度13分51秒 東経137度06分31秒】。芝生広場東側の駐車場を
     利用。ここは陶祖藤四郎(加藤四郎左衛門景正)の業績をたたえた陶製の六角塔の碑「陶
     祖碑」が建てられたことに端を発し、瀬戸公園と呼ばれている公園である。
   @六角陶碑【北緯35度13分40秒 東経137度06分32秒】。慶応3年(1867)に当時の瀬戸窯
     の名工加藤岸太郎の作である。高さは4.1mあり、日本最大の焼き物である。碑に刻まれて
     いる陶祖の伝記の訳文はこちら
     六角陶碑の前には、陶製志野焼燈籠が2基ある。明治5年(1872)に製作されたもので、昭
     和53年に灯籠保護のためガラスの覆いが設置された。
     なお、六角陶碑についても当初は覆いがなかったが、昭和44年に地元篤志家の寄付で陶
     祖堂が建設され中に陶祖碑が納められた。
   A春慶翁宅跡【北緯35度13分35秒 東経137度06分26秒】。深川児童遊園地の奥に陶祖春
     慶翁宅跡の碑がある。「春慶」は加藤四郎左衛門景正の別号である。
   B宝泉寺【北緯35度13分35秒 東経137度06分36秒】。 宝泉寺は、建長4年(1252)霊水山
     神宮寺として創立され、尾張三十三観音巡拝の26番札所。山門はりっぱな竜宮門で、境
     内には陶彫の祖、渡辺幸平の墓やそのほか多くの石仏がまとめて祀られている。
     また、門前には明治44年の三面八臂の馬頭観音が祀られている。近くの道筋にあったも
     のをここへ移したとか。
   C瀬戸東公園展望台【北緯35度13分14秒 東経137度06分51秒】。テニスコート、野球場、オ
     リエンテーリングなどの設備あり。展望台は周囲の樹木に遮られ眺望は望めない。
   D一里塚本業窯【北緯35度13分11秒 東経137度06分33秒】。本業窯は登窯の一種で本業
     製品(陶器)を焼成する窯として江戸時代後期から使用されている。
     ここの本業窯は昭和25年に再構築されたもので、案内板に従って進むと私有地の奥まっ
     た場所にある。
   E城見山【北緯35度13分25秒 東経137度06分31秒 標高163m】。山頂には墓地と物置風の
     神社社殿のほか、ほとんど壊れてしまった社殿(豊川神社?)がある。
     ここでいう「城」とは名古屋城か?
     ここに至る250mほど手前に、大きなまねき猫と並んで一里塚跡の標柱があった。一里塚
     があるということは、かつて重要な街道だったことを意味している。この付近を走っていた街
     道は三州小原街道と思われる。市役所北の追分で瀬戸街道から分岐し、赤津を通り小原へ
     向かう街道である。
   F瀬戸蔵【北緯35度13分32秒 東経137度06分03秒】。瀬戸蔵は市民会館の跡地に平成17
     年にオープンした。1階は喫茶と和洋食器などの売店、2・3階は焼き物を中心とした博物
     館(入館料/一般500円)になっている。
     この建物の前には、「(鉄道)省営バス発祥の地」碑が建っている。
     昭和2年の地図によると、この付近には町役場、巡査派出所、区裁判所出張所などの官
     公庁があったようだ。また、記念橋は現在の位置ではなく、南から瀬戸川に流れ込む一里
     塚川にかけられていた小さな石橋の名称だった。明治39年に中之島という三角州に日清
     日露の戦死者の霊を祀る記念碑(忠魂碑)が建てられたことによるのだろう。
     瀬戸川を挟んで北側には銀座商店街がある。このアーケード商店は昭和38〜39年に完
     成したものだが、当時の香りがそのまま残っていて思わずいくつかの店の前では足を止め
     た。
   G民吉生誕記念碑【北緯35度13分35秒 東経137度05分52秒】。この場所に加藤民吉の出
     生地である大松屋敷があった。民吉は江戸時代後期に九州で磁器製法を学び、磁祖とし
     て窯神(かまがみ)神社に祀られている。
   H窯神神社【北緯35度13分44秒 東経137度05分46秒】。磁祖加藤民吉翁が信仰していた秋
     葉大権現、天満威徳天神、金比羅大権現三神の遥拝所建立を申請し、文政7年(1824)5
     月に尾張藩の許可を得て、翁の窯場背後の山上に祀ったのが始まりである。
     その後、民吉翁が合祀され「やきもの」の神社として市民の崇敬を受けている。
   I無風庵【北緯35度13分41秒 東経137度05分58秒】。草葺き入母屋造りの建物は、工芸家
     藤井達吉(1881〜1964)が小原村の芸術家村で工房として使用していたものを、そこで学
     んだ陶芸家たちの尽力により、昭和27年に茶室無風庵として移築したものである。
   J法雲寺【北緯35度13分40秒 東経137度06分07秒】。この寺には、おそらく全国的にもここ
     だ けに保存されていると思われる陶製の梵鐘が境内に展示されている。
     第二次世界大戦の金属回収令により寺院の仏具、梵鐘類も強制供出になった。そのため
     代用品を製作したのがこの陶製梵鐘である。
   K深川神社【北緯35度13分40秒 東経137度06分10秒】。創建は771年で瀬戸の産土神(う
     ぶすながみ)として由緒があり、社伝によると陶祖藤四郎が参拝した折、ご霊験により辰巳
     (東南)の方向に祖母懐の土を得たとされている。社宝として陶祖藤四郎の作という陶製狛
     犬、切支丹灯籠などがある。参道の商店街には「地下商店街」の看板がかかっている。
     隣接する陶彦神社には鎌倉時代に中国に渡り陶業技法を学び瀬戸に伝えたとされる「陶
     祖藤四郎」(加藤四郎左衛門景正 別号 春慶)が祀られている。
   
    【参考資料:瀬戸市ウォーキングマップ(瀬戸市保健推進協議会編集)、瀬戸市史(瀬戸市史編
          纂委員会)、瀬戸なんでも事典(瀬戸青年会議所発行)、歩こまァー瀬戸」(瀬戸文
          化財保存会)、池田のあゆみとその付近<自治会発足四十周年記念>(小澤武夫)】

トップへもどる