前頁へ戻る

      9作 宗全籠
 お茶の世界では定番の宗全籠を製作しました。久田宗全という茶人が作った籠だそうで、胴が裾広がりの手つき籠です。

  各種の写真などで見ると手の長さとか形が微妙に異なっていますが、短いヒゴを四隅で差し込み、各四面で斜めに交差させているのが特徴のようです。

  底の台、胴の四隅の補強竹、手の取り付けなど黒藤の蔓で縛っていきます。サイズ的にもかなり大きくて、また蔓も太めで縛り目も大胆なものになり、出来上がりの姿はかなりどっしりとして頑丈そうに見えます。黒藤の蔓は、乾燥状態では相当固くなっていますが、1、2日水に浸けて柔軟にしてから用います。余り長く浸けすぎても皮が剥け易くなってしまうようです。

ぴっちりと繊細にではなく、ざっくりと大胆に仕上げるという感じです。

“宗全”さんはどのように考えてデザインしたのか、ひょっとして途中まで編んだ所で横回しの長いヒゴ材料が無くなってしまい、後は短いヒゴを何とか利用したところ、意外にも面白いものが出来上がったのかと思ったりもしましたが。どうもそんな事ではないようでした。

   先生の観評を頂いたところ、“綺麗に整っている。首がやや長い。上出来だがもっとキタナク・・・でした。

  それなら幅決めをしなくて、割りっぱなしのヒゴで編んだらキタナク? できるかもしれませんので、次作で実践してみます。
                宗全籠製作記録(H20・12)へ戻る