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宗全籠の製作記録   (H20年12月18日〜)

 昨年10月、生意気に個展(姉貴二人は油絵の姉弟三人展ですが、)などやりまして、いくつか籠を並べました。宗全籠も結構人気があり、最近製作の依頼がありましたので、参考までに記録します。
 編み方自体はそれ程難しくありませんが、ただのビク編みとは違って手間はかかります。併せて四隅の当て竹やら黒藤の蔓の縛りなど、補強兼装飾の工程も多くあります。時間と根気があれば十分出来ますので是非挑戦してください。
 細かい部分でプロの方に御指摘を受けるところがあるかもしれませんが、雰囲気は出したいと思います。

                   
“まーちゃんの花籠”第9作も参照してください

   【目次】
12月18日までの作業・・・ヒゴつくり、底編み、胴立ち上げ、縁仕上げ
12月21日・・・四隅の補強竹取付け
12月22日・・・高台の丸竹と縛り
12月23日・・・手竹の削り
12月24日・・・染色
12月26日・・・漆塗り
12月28日・・・手の取付け、縛り
12月31日・・・完成



12月31日

 出来上がりの全景




12月18日までの作業
 材料つくりを始めてから2週間ほどですが、籠の原型らしきところまでたどり着きました。


                                  図形に誤り有り、訂正
                                  底組み縦ヒゴが1組多かったです。

 材料つくり(メダケ

立ち竹、底編み
 幅5ミリ
         78センチ  11本
         74センチ  13本
 挿し込み竹  25センチ  22本 
節の位置を考慮しながら、丸竹のまま寸法に切っておいてから割るとよい。

胴回し
 8〜9メートル分
  .5 ミリ
   2メートルもの 5本   

差し竹(胴上部の四隅)
 幅 6ミリ
 25〜35センチ 
 15段×4方= 60本


底組み
 立ち竹は、幅は5ミリ、11×13本で底組する。二目飛び二目すくい。組んだ後で更に挿込み竹を挿入する。(縦横で22本)

 
外周を細ヒゴで3〜4周して形を整える。

 出来上がりの姿をゆったりとさせるため、横回しのヒゴは締めすぎないように。

 写真は横回しを4段くらい編んだところ
横回し完了
 締めすぎないようにと言うより、ユル褌(フン)状態くらいの方がいいでしょう。
 編み目は二目押さえの二目掬いで進めますが、立ち竹は当然偶数ですので、一周する間に一箇所だけ一目にして、編み目がずれるようにします。
 10段回してひとまず終了です。

 写真下方のヒゴは次の工程のコーナーの差込竹です。適当に竹の節芽も残して「味といいますか景色と言いますか、」 籠がのっぺらぼーにならないように配慮します。
差し込み編み  【正面】
 写真は下から5段、4段が済んで次の4段の一本目を差し込む位置です。
 初めの5段は、コーナーの立ち竹から数えて3本目の立ち竹を押える位置から基本的には2目飛びで編みますが、立ち竹が縦に2目で表裏になるようにするため、適宜1目、或いは3目飛びを配して差し込みます。

【側面】
写真左半分を見て、
 最初の5段の3本目が側面の中央の立ち竹を跨いだら、4本目は一旦立ち竹3本分戻って納め、5本目と続ける。

  ・・・・・・・・・              

 同様の作業を対角のコーナーで行う。

写真右半分を見て、
 残る2コーナーは籠の側面から始まるが、コーナーの立ち竹から数えて2本目を押える位置から始める。

 
編み目の飛び方は前記に準ずる。     

  ヒゴの仕舞いの重なり具合は、正面図の左部分のようにヒゴを始末するが、結果的に側面図で見るのと同様である。                          
 5段、4コーナー(一回り)が済んだら次は4段を2回、このとき差し込み始めの部分は5段の時の1目中心寄りである。・・・最初の5段の2本目から5本までの4本分と同様の軌跡となる。     

 4段が二回り済んだら最後は2段で仕上げるが、編み込みの仕舞い部分を写真のように飛ばして編み上がりとなる。

 これで籠本体の編みは終了します。
立ち竹の縛り
 立ち竹の余った部分は切り捨てずに内側に折り込み、タコ糸で縛ります。
 中枠を先に作って仮にあてがい、各立ち竹に印を付けておいてから折り込むようにすると形が整います。
 
縁仕上げ
 外枠、中枠を作って籐で縛ります。
 糸の縛り目は見えていて構いません。

 これで籠本体が出来上がりました。


12月21日

 上図で示したように、縛り目の部分でもうひと回ししたいところ(3段目の縛り)ですが、蔓が太かったので写真の様にしておきました。
 なお、藤蔓は一昼夜か二昼夜前もって水に浸けておき、柔らかくして使用します。余り浸けすぎても皮がめくれてしまったりして良くありませんので、実際にやってみて丁度いいあたりを見つけてください。

 補強竹はメダケに代えて“
ネマガリタケ”を使用しました。趣が変わります。
 ネマガリタケは渓流釣りに出かけた折、採取したものです。


12月22日  高台の丸竹と縛り

 高台にする丸竹(メダケの細いものを使いましたが、なるべく元から先までコケの少ないものが良い。矢竹があればいいですね。
 四隅は補強竹を咥えますので写真のように抉ります。直線にして4センチでした。

 連結部は斜めにカットして別の丸ヒゴを差し込み、印籠接ぎのようなことで、接着剤を使用しました。(くれぐれも接着剤が表にタレ出ないように。
 
 各辺3箇所ずつ縛ります。出来たら一本の蔓で縛れればいいですが、240センチ程必要です。2本になってもかまいません。
 縛りが完了しました。
 四隅の補強竹を、蔓の縛り目の高さを考慮して、カットします。
 籠を置いたときにガタつかないように、慎重にやりましょう。


 ・・・・・・・・・・
 この後の工程は
 @手竹の削り出し
 A染色  別に削った「落し」も染めておく。
 B手竹の取付け
 C漆塗り、研ぎ出し・・・で完成となります。

 


12月23日   手竹の削り

 写真は高台の縛りを終えた籠本体と、手前が手竹です。
 手竹は幅1a、長さは80aで調製します。
 一旦ここまでを終えた段階で染色の工程に移ります。手竹を取り付けてから染色してもいいのですが、どうしても重なった部分に染色の色むらが出ますので、面倒ですが私はこの段階で染めをしています。


12月24日   
染色

 染色液は「茶粉」ビスマルクブラウンがベースで、メチルバイオレット、マラカイトグリーンが少量。
 大きな籠でも丸ごと染められるように、最近、大きなステンレスタンクを仕入れました。染め液の量が多くなってガス代が高くついています。余談ですが。
 メダケは真竹のようには油抜きしていませんので、染め上がりにムラが出ますが、これもそれなりの味になります。
 30分ほど煮込みます。
 ぼつぼつ染め上がりでしょうか。


12月26日   ウルシ塗り

 手竹を取り付ける前にウルシ掛けをします。本ウルシのしっとりとした艶は合成塗料ではどうやっても出ません。いくらかぶれてもウルシの魅力には勝てないのです。
 痒いですねー、でもこの痒さと友達になればどおって事ありません。
 拭き塗りで仕上げました。刷毛で塗るとどうしてもヒゴの重なった部分にタレが残ってよくありません。まだ取付けていない手竹もウルシを掛けておきます。

 漆を使う工程では、平行して「落し」のウルシ塗りも行います。

 落しの製作・漆塗り
 落しは丸竹を削って作ります。
 表皮側を肉厚の半分くらい削ります。外側は繊維が硬く密になっていますので収縮率の違いからなのでしょうか、ひび割れしやすいのでこの様にするようです。
 落しの漆塗りは最低でも5、6回は塗り重ねます。重ねますと言っても一度塗っては水ペーパーで研ぎ、また塗っては研ぐ・・・の繰り返しです。納得いくまで何回でも。
 最後は拭き取り塗りを2回くらいやって終了とします。

12月28日   手の取付け・縛り
 太い蔓で大胆にがっしりと縛ったほうが見栄えがします。
 この蔓だけは途中で継ぎ足しと言うわけには参りません。
 240、50aの蔓を用意します。

12月31日  完成とします。

 「落し」の漆塗りがまだ続いています。現在内側3回、外側4回くらい塗ったでしょうか。内側が乾いたら外側を塗り、この季節は気温が低く一度塗って乾くのに2日はかかります。こういった調子で納得できるまでボツボツと作業が続きますので、全て完成しましたとはいきませんが、今日は大晦日でもありますので、一区切りつけて一応完成したということにします。



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