以下、上記『翠松園道路対策組合解散のお知らせ』に関し私見を記す。
A 解散と理事長兼務(解散後も名前が存続)の矛盾
翠松園道路対策組合の解散が成立したとの前提に立てば、
1. 解散により消滅し最早存在しない組織(翠松園道路対策組合)が、代表者(翠松園道路対策組合理事長)を置くことはできない。
代表者を置くことができるのは、組織が形式的にであれ存続している限りにおいてのことである。
但し民法では、法人の解散に関し次の特例が認められている。
民法第73条【清算法人】
解散シタル法人ハ清算ノ目的ノ範囲内ニ於テハ其清算ノ終了ニ至ルマテ尚ホ存続スルモノト看做ス
しかし、翠松園道路対策組合は<権利能力なき社団>ではあるが、民法が定める<法人>には該当しない。また翠松園道路対策組合も清算が未了であることを否認している。
2. 従って、翠松園会会長が既に存在しない翠松園道路対策組合理事長を兼務できる筈はない。
3. 兼務が可能なのは、翠松園道路対策組合が形式的にであれ存続している限りにおいてのことである。
しかし、それは解散と対立する。
4. 名前が存続とは、以下が前提となる。
1) 実体的には存在の要件を満たしていないが
2) 形式的には組織存在の要件を満たしている
例えば、所謂ペーパーカンパニーは実体的には存在しない法人であるが、形式的には定款を有し、役員を置き、法人としての登記を行い、形式的には組織存在の要件を満たしている。
かかる場合のみ、名前が存続していると言えるのである。
しかし翠松園道路対策組合は、解散を前提とする限り、実体的にも形式的にも存在していない。
5. それでもなおかつ兼務を主張するのであれば、それは、最早存在しない組織の代表者の地位を詐称することによってのみ可能である。
B 権利の委譲と理事長兼務(解散後も名前が存続)の矛盾
裁判の原告としての権利は翠松園道路対策組合から翠松園会へ委譲された、との前提に立てば、
1. 翠松園道路対策組合は権利を翠松園会へ委譲し、権利を放棄したのであるから、既に何も保全すべき権利を有していない。
確定判決あるいは認諾調書の効力が民事上の債権であるとすれば、民法第466条 弟1項の定めにより、譲渡が可能であると考えられる。
但し、債務者及び第三者に対抗力を有するためには、譲渡人及び譲受人の双方が書証をもって債権譲渡を確認する必要がある。
2. 「権利の保持と行使については翠松園会会長が翠松園道路対策組合理事長を兼務して行う」とは、権利の譲渡と背反する。
翠松園会が民事上の債権の譲受人となったのであれば、譲受人の代表者として翠松園会会長が債権者を代表しうる。
兼務を主張することにより、譲受人が譲渡人を兼務することとなり、債権譲渡について齟齬をきたすこととなる。
3. 裁判(平成2年ワ第1109号及び 平成4年ワ第2936号)では、翠松園道路対策組合の当事者能力及び原告適格が第一の争点となった。
上記翠松園道路対策組合の決議では、今後係争となった場合、債権が何処に帰すのかを始め当事者能力を争点とされる危険性がある。
C 翠松園道路対策組合決議における二律背反
1. 上述の通り、今回、翠松園道路対策組合は二律背反する決議を行っている。
2. 翠松園道路対策組合は解散したのか、本当に解散しえたのか、私には疑問である。
3. もとより私は法律の専門家ではない。
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