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釣りにもいろいろありますが、酒が一番似合う釣りと言えば渓流釣りではないでしょうか。2月、3月の解禁の頃、雪が残る河原で、芽吹き出したネコヤナギの脇に腰を降ろして飲む酒はウイスキーとかウォッカなんてのがいいですね。日本酒の燗なら身も心も温ったまります。石灰が仕込まれていて燗がつく便利なものもありますし、手間を掛けるならガスバーナー持参もオツなものです。 釣友の一人に、まだそれ程酒は強くないMさんがいました。自分では“アルコールは発展途上国”で、などといつも言っていました。今から20数年昔の話です。 |
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車は雨の中を3時間、目的地の郡上吉田川支谷の奥長尾には午後11時前に着き、12時を廻るまで車中でいつものアルコール宴会です。正気のうちに明日の釣り場の取り決めをしたら後は飲み放題だ。 宴もたけなわ、Mさんが小用で私の傘を持って車外に出て行きました。外は降りしきる雨、車中の3人は地ウィスキーなど飲みながら話に夢中です。ところが、ふと窓越しに外を見ると、ルームライトの明かりでぼんやりとMさん、ナ、ナント雨の中、傘を真横に差して用を足しているではありませんか。おかしいなー、何をしとるのかなー。よーく見ると私の大事な傘が途中から90度折れ曲がっています。なんでや?「オーイ Mさーん、何してくれるんだー 俺の大事な傘ァー!!」 後で総括するには、どうも車を出てから一度ズッコケているらしいのです。アルコール耐性度では発展途上国のMさん、最近よく半分気を失っては、ちょくちょく転がるそうです。 傘を差しながらもぞもぞと、ズボンのチャックを下ろす前なのか後なのか、フラフラッと草むらに転がったのでしょう。このときに傘の柄が折れ曲がったに違いありませんが、大事なものも曲がってしまったと言うことはないのでしょうね。気が付いて起き上がり一連の動作をやり直したのでしょうが、酩酊した脳みそは傘が曲がったことには気が付かず、ただ傘の柄だけはしっかり握って、雨に濡れながらも本能で用を足していたのでした。 Mさんはもともと常習的にアルコールを嗜む方ではなかったのですが、メンバーに滅茶矢鱈に酒が強く、且つこよなく愛するKaさんが加わってからと言うもの、皆さんもつられて酒量がグッとあがりました。さほど強くもないMさんのアルコール修行が続いた頃のお話です。 今では立派に先進国の仲間入りをし、酒なしでは生きられないMさんが存在します。 このところ寄る年波のせいか、比較的釣り場が近いアユ釣りなどにも良く出掛けます。炎天下の河原で飲む“冷たいビール”は最高ですねー! 20年もかけてやっと分かってきました。アマゴだろうがアユだろが、はたまた乗合船のアジ、メバル、どんな釣りにも酒は似合うと言う事です。
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