「そうなの??」

心配そうに亮輝は類の顔をのぞき込む。

「あぁ・・・。」










−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−












「「・・・・・・。」」


司が立ち去った後、類とつくしの間には沈黙が流れた。


「・・・あのさ、つくし。」


沈黙は類が破った。


「・・・つくし、本当にこれで良かった??俺なんかで良かったの??」

「な・・・なに言ってるのよ、類!!いいに決まってるじゃない!」


その言葉を聞いて、類はつくしに駆け寄った。


そして力強く、思いっきりつくしを抱きしめた。



「類・・!!痛い!!」


抵抗するつくしをよそに、類は小さくハッキリとつくしに言った。

類が言った言葉を聞いて、つくしは類の胸に泣き崩れた。





     −なんで泣いてるの?−





「本当は今、つくしは俺のことなんかより、司のことで頭がいっぱいだったんだろ・・?」


苦しそうに言う類の声を聞いたつくしは、類の胸から顔を上げて言った。


「違う!!・・・やっと道明寺が『私のこと思い出してくれたんだ』って思っただけよ・・。」


『グイッ』とつくしは手で涙を拭った。


「それで、ちょっと涙が出ただけ。他になんの意味もないわ。」


そしてつくしは、類の瞳を見つめた。


「私は、類でいいんじゃなくて、類がいいの。」


そう言い、つくしは微笑んだ。


「私は、類だけを愛してる。」


つくしは、類に軽くキスをした。









    −−− 今気付いたんだ




   −−− この例えようのない深い想いに




   −−− どうしてこんなに




   −−− どうしてこんなにも




   −−− 君が愛しいんだろう




   −−− 微笑んでいる君を見ていると




   −−− 一瞬にして心が満たされて




   −−− 君を抱きしめたくなる




   −−− 君にキスをしたくなる




   −−− 君の全てが欲しくなるんだ















「・・・ありがとう。俺もだよ。」



類も軽くつくしにキスをした。













−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−















「パパは、ママのその言葉が、うれしかったよ。本当に。」


だが、類は、そんな言葉とは裏腹に、悲しそうな表情をしていた。


「・・・でも、今でも本当にこれで良かったのかは分からない。

一つだけ分かったことは、本当に大切な何かを守るためには、誰かが犠牲にならなきゃならないんだ。

『そんな事ない!』って、前までは思ってたけど、しょうがない事なのかもしれない。」



類は、空を見上げた。亮輝も類につられて空を見上げる。


「司の記憶が戻ったのは、こんな天気の良い日だった気がする。」


そして、類は亮輝の方を見ていった。


「それからね、亮輝が生まれた日も、こんな天気の良い日だった。」


「えっ!?ボク??」



「あぁ。亮輝が生まれたのは、パパとママが結婚してから10ヶ月くらい経ったころだったよ。」

「そーなんだ。。。」


『パッ』と亮輝は類の方を、大きな瞳で見つめた。


「パパ!!!」

「何?亮輝。」


「ボクが生まれてきたとき、パパとママはどう思った???」

「泣くほど、うれしかったよ。『泣くほど』っていうか、ママもパパも泣いてたけどね。」


類は微笑む。


「本当???ボクが生まれてきて、うれしかった???」


亮輝は、瞳をキラキラと輝かせながら言った。


「あぁ、本当だよ。証拠に、その時の話を聞くか?」

「うんっ!!!」





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